日本銀行が緊急会合を開き追加の金融緩和を行うことになった。
日本銀行は2020年3月16日に緊急で金融政策決定会合を開き上場投資信託(ETF)の買い入れ額を年間6兆円から12兆円に拡大し、追加の金融緩和を行うことにしたと報道されています。新型コロナウイルスによる感染の拡大から株価が暴落しています。それらの金融安定化を狙い金融緩和を行うことにしたのです。報道されても想定通りの金融緩和内容だったと思います。
政策金利を引き下げることが出来ない日本銀行
通常、金融緩和を行う際には政策金利を引き下げる対応が実施されます。しかし、日本銀行は既にマイナス金利政策を実施しています。なので、これ以上の金利引下げが出来ない状況にありました。はっきり言えば金融緩和政策の手詰まりです。これ以上の金利引下げが出来ないので上場投資信託(ETF)の買い入れ額を増やすしか手がないとしか言えません。
上場投資信託(ETF)買いはナンセンス
はっきり言って日本銀行の上場投資信託(ETF)を買い入れて、金融の安定化を図る政策はセンスの良い政策とは言えません。中央銀行による大量の株式会は市場を歪めてしまいます。また、今の日本市場の多くは外国人投資家です。世界的な金融危機が起きている状況だと外国人投資家も資金を引き上げる動きに出る公算が高いです。そこで、いくら日本銀行が上場投資信託(ETF)を買い入れても焼け石に水です。
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2020年3月16日の日中に日本銀行の金融緩和の強化が報道されました。しかし、日経平均株価の終値は17,002.04円となり、前日比−429.01円の下げで取り引きを終えています。市場は好感したとは言えない状況です。
アメリカの米連邦準備制度理事会(FRB)も緊急利下げを決定
アメリカの米連邦準備制度理事会(FRB)は2020年3月15日に1%の緊急利下げを実施しました。政策金利が年1~1.25%だったのが、年0~0.25%となり実質上のゼロ金利政策に入ったことになります。アメリカは日本と違いゼロ金利政策を実施していないので、金利を引き下げる余地がありました。しかし、これでアメリカも金利引下げ余地がなくなってしまいました。
世界的経済は危機的な状況にあるといえる
今の世界的な経済状況を鑑みると金融緩和をしないと行けないことは明らかです。また、財政出動も積極的に行わないと大変な経済危機になることが予想されます。なので、世界的に金融緩和の動きがどんどんと起きると思います。裏を返せば、それだけ危機的な状況になっていると言えます。
中国の工場が稼働しないと部品が供給されない
新型コロナウイルスの発生地でもあります中国の工場が停止しています。中国の工場が停止すると世界的に部品や部材などの供給が止まっていまいます。最近、不動産業界では話題になっていますが、新築住宅のトイレの便器が供給されないというのがあります。住宅は他の設備や建物が完成しても便器がなければ住むことは出来ません。トイレのない家など考えられません。
不動産業界ではトイレがないので引き渡しが出来ない
しかし、施工業者は建物が完成しないと引き渡しが出来ないので、工事は終わっているがお金が貰えないという状況になります。なので、今回は新型コロナウイルスによる特別な措置として一部の住宅設備が未設置の状態でも完了検査を受けれることになりました。これで施工業者は完成による引き渡しが出来るのでお金を請求することが出来ます。
だが、購入者としてはトイレがない家を引き渡されても困ります。なので、入居時期をズラしたりしないといけません。そうすると余分は賃貸料金などを払う必要があります。また、退去の手続きをしていたら一時的に住む場所を探す必要が出たりするのです。
資金繰りが苦しくなる工務店が出てくる可能性がある
恐らく、中間に工務店が入っていることが多いと思います。工務店もトイレがない家を買い主に引き渡すようなことはしないです。なので、工務店側がお金を受け取ることが出来なくて資金繰りが苦しくなる業者が増えるのではないでしょうか。最悪の場合、倒産になる危険もはらんでいます。
政府は積極的な財政出動をしないと中小企業の連鎖倒産が現実的になってしまう。
これは不動産を例に出して説明しましたが、このような事例は各業界でいろいろと起こってくると思います。一部の部材が届かない、プロジェクトが一時中断してしまったなどの保証問題は、どの業者にも起きます。その時に不利に働くのが中小企業などの業者になることが多いです。
中小企業の場合、もともと不利な契約の場合が多くある
もともとの契約条件で中小企業などは不利な条件で契約して、仕事を請け負っている場合が多々あります。そのリスクが顕在化した時に黒字倒産みたいなことが起きてしまうのです。
政府は経済的な支援を財政出動で行うと言ってます。しかし、この対応を間違えると、本当に日本経済は危機的な状況になると思います。実体経済の停滞が世界的に起こっているので迅速で適切な対応で対処しないと日本だけ取り残されます。また、支援策も一部の業界や業種に対してでなく全業種に行き届く支援をしないと効果が限定的になります。