経済

新型コロナウイルスは日本にとってリーマンショック以上の経済的打撃を受けると考える理由。

2019年10月から12月の実質GDPは大幅に減少した。

2020年3月9日に内閣府は2019年10月から12月の実質GDPの改定値を発表しました。先月の2月に発表した速報値からの下方修正でした。前期比1.8%減、年率換算では7.1%減ということになりました。速報値では前期比1.6%減、年率6.3%減だったので大きく下げたことになります。

名目GDPと実質GDP

名目GDPでは前期比1.5%減、年率換算では5.8%減となりました。こちらも速報値では前期比1.2%減で、年率換算4.9%減だったので名目、実質共に大きく下げたことになります。

名目GDPとは、

 ・国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額

を言います。

これに対して実質GDPは、

 ・名目GDPから「物価変動の影響」を除いたもの

を言います。

なので、生活の実感として近いものは名目GDPといえます。

GDP減少の要因は消費増税

これだけのGDPの減少は、言うまでもなく消費増税の景況が大きいです。政府は消費増税を実施しても景気対策を同時に実施するので大きな影響はないとの想定でした。しかし、実際は大きくGDPが減少したかたちになります。(さすがにこれくらいのGDPの落ち込みは政府も想定はしていたと思いますが。)

消費税10%は計算もしやすいし心理的なインパクトは大きかったと思います。一般庶民の購買意欲を減速させるには十分な数値です。

消費増税に対する景気対策の効果は限定的

政府は消費増税の景気対策として、キャッシュレス還元を導入してキャッシュレス化と景気対策を同時に実施しました。しかし、効果は限定的でした。また、軽減税率を導入したのでレジの入れ替えや設定などで中小企業は経済的な打撃だけでなく、手間暇がかかるという散々な政策だったと思います。それなのに政府は実施したので国内景気を減速してしまいました。

過去の消費増税の時も増税後はGDPが大きく減少してます。これは駆け込み需要などもあり増税後は消費が落ち込むのは通例なのです。しかし、今回は駆け込み需要が限定的という報道もありながら、消費増税後の消費は落ち込んでしまっているのです。なので、今後は早く個人消費が回復して消費が活発にならないと景気後退に入る恐れがあります。

新型コロナウイルスは日本にとってリーマンショック以上の経済的打撃を受けると考える。

政府は消費増税を行う前にリーマンショック級のことがない限り消費増税を実施すると言ってきました。実際にはリーマンショック級のことは起こらなかったので、消費増税は実施に踏み切りました。しかし、政府にとってタイミングが良かったのか悪かったのか分かりませんが、今になってリーマンショック級の出来事が起こってしまいました。下手したらリーマンショック級以上かも知れません。リーマンショックはサブプライムローンに端を発したリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻によるものです。これは金融破綻によるものです。しかも日本でなくアメリカで起こった出来事になります。日本は幸いにしてサブプライムローンの債権を大量に購入していた金融機関があったわけでなく世界の金融破綻に巻き込まれたかたちになりました。

日本の景気は消費増税以降、下落し続けている

 

しかし、今回の新型コロナウイルスは中国の武漢から端を発して、日本にも感染して、さらには感染が拡大していっています。被害はどんどん拡大しており、国内の人とモノの移動がどんどん制約されて来ています。イベントの中止や出張や旅行のキャンセルなど、経済的には大きな損害です。リーマンショックの時と違って、日本の国内景気に直接影響する事態になっています。

冒頭で記載しました消費増税の影響を受けたGDPの減少値は2019年10月から12月の値です。新型コロナウイルスの感染の拡大は2020年になってから起こっています。なので、日本においては消費増税以降、国内の景気が下落傾向になっていると考えるのが妥当です。

新型コロナウイルスの影響で日本の景気減速懸念が強まる

なので、昨年までの傾向としてアメリカ株が上昇すると日本株も上昇するとうような連動性がありました。しかし、今回の新型コロナウイルスの影響をみるとアメリカ株が反発しても日本株は下げるというように、日本の景気減速懸念は強くなっていると感じる展開になっています。例えば、2020年3月10日のニューヨークダウ平均株価は、前日より1167.14ドル高い25,018.16ドルで取引が終わっています。しかし、翌2020年3月11日の日経平均株価は451.06円安い19,416.06円で取引を終えています。アメリカ株は大幅に上昇したのに対して日本株は大幅に下落してしまっています。

アメリカにも感染が広がっているので、世界経済減速に対する警戒は強める必要がある。

昨年まで世界経済はアメリカが引っ張ってきたと言ってもいいです。しかし、今回の新型コロナウイルスの感染はアメリカにまで広がっています。今までの新型コロナウイルスの感染の影響は中国と、その周辺ぐらいにとどまると観測されていました。しかし、既に世界全体に広がりつつあります。それにアメリカも加わったことにより世界経済の影響は想定より大きくなる可能性が強くなりました。個人投資家の人は想定より慎重になる必要があるかも知れません。