はじめに
「富裕層」と一口に言っても、実はその定義は調査機関によって異なります。
代表的なのは 野村総研(NRI)の資産ベースの区分 と、博報堂「新富裕層調査2025」の所得ベースを含む分析 です。
この記事では、両者の違いを分かりやすく比較しつつ、50代サラリーマンがどの層を現実的に目指せるのかを考えてみたいと思います。
野村総研の富裕層区分(資産ベース)
野村総研は、日本人世帯の「純金融資産保有額」で富裕層を区分しています。毎年のレポートで引用されることが多く、メディアでも広く使われている基準です。
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超富裕層:5億円以上
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富裕層:1億円以上5億円未満
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準富裕層:5,000万~1億円未満
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アッパーマス層:3,000万~5,000万円未満
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マス層:3,000万円未満
つまり、野村総研の定義は「持っている資産」で線引きするシンプルなもの。収入が高くても、貯蓄や投資で資産が積み上がっていなければ富裕層には入りません。
博報堂「新富裕層調査2025」の特徴(所得ベースを加味)
一方で、博報堂が2025年に発表した「新富裕層調査」では、収入(フロー)と資産(ストック)の両面からアプローチしています。
定義
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インカムリッチ:世帯年収1,500万円以上
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ウェルスリッチ:金融資産1億円以上
さらに「年収3,000万円以上」「年収5,000万円以上」の層を細かく分析しているのが特徴です。
主な調査結果
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年収3,000万円が分岐点
この層から資産1億円以上を持つ割合が大きく増加。所得の多さが資産形成に直結していることが浮き彫りになりました。 -
投資の多様化
高年収層ほど株式・投資信託に加え、金やアート・高級時計など現物資産も保有。 -
ライフスタイルの変化
外注志向(家事・育児サービス利用)、教育への投資、ストーリー消費(モノの背景やブランド価値を重視)などが強まる。
両者の違いを整理すると?
項目 | 野村総研(NRI) | 博報堂(新富裕層調査2025) |
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基準 | 純金融資産額 | 年収+金融資産 |
主な区分 | 資産ストックで階層化 | インカムリッチ/ウェルスリッチ |
特徴 | 「結果(資産量)」を示す | 「過程(収入→資産化)」を示す |
富裕層像 | すでに築いた人 | これから築く人も含む |
つまり、NRIはゴールを示し、博報堂はその道筋を可視化しているといえます。
両者を併せて見ることで「今の立ち位置」と「目指すべき方向性」がクリアになります。
シミュレーション:準富裕層に到達するには?
では実際に、50代のサラリーマンが「準富裕層(5,000万円以上1億円未満)」に到達するにはどうすればよいのでしょうか。
ケース1:資産3,000万円からのスタート
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毎月10万円を新NISAなどで積立投資
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年利4%で20年運用
→ 3,000万円は 約6,400万円 に成長(複利の力で2倍以上)。
この場合、定年後でも「準富裕層」入りが視野に入ります。
ケース2:資産1,000万円からのスタート
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毎月5万円を積立
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年利4%で25年運用
→ 1,000万円は 約3,500万円 に成長。
こちらは「アッパーマス層」が現実的ですが、副業や退職金を加えれば準富裕層到達の可能性は十分。
収入と資産、どちらが大事か?
博報堂の調査が示すように、年収3,000万円以上の層は一気に資産形成が加速します。しかし、多くのサラリーマンにとってこの水準の年収は非現実的です。
だからこそ、野村総研の定義にある「資産形成を着実に積み重ねること」が鍵になります。
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高収入でなくても、倹約+長期投資を続けることで資産は膨らむ。
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収入を増やす努力(昇進・副業)も重要だが、支出の最適化と投資の継続の方が再現性が高い。
50代サラリーマンにとっての現実的な位置づけ
私自身も50代で投資を続けていますが、多くのサラリーマンにとって目指す現実的なラインは「準富裕層(5,000万~1億円)」です。
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野村総研の定義なら、純金融資産5,000万円を突破すること。
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博報堂の視点では、年収がそこまで高くなくても「堅実に資産形成を進める人」も将来の富裕層予備軍とみなせる。
つまり、収入が限られていても、投資を続けて資産を積み上げれば「準富裕層 → 富裕層」への道は開けます。逆に、収入が高くても浪費すれば資産は残らない。
まとめ
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野村総研(NRI):資産額で区分。すでに築いた「結果」を示す。
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博報堂:年収を含めた「過程」を分析。富裕層に近づく人も見える化。
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両者を合わせて見ると、「今の立ち位置」と「将来の可能性」が分かる。
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50代サラリーマンなら、「準富裕層 → 富裕層」を目指すのが現実的な戦略。
富裕層という言葉に惑わされず、「収入と資産の両輪」を意識していきたいですね。
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