インデックスファンドは退屈な投資スタイル?
インデックスファンドへの投資は、基本的に「長期保有+配当再投資」によって市場平均のリターンを目指すというシンプルな戦略です。短期間で資産を何倍にも増やすようなド派手な展開はありません。
実際、「株やFXで1億円!」といった刺激的な世界とはまったく無縁。毎月コツコツと積み立てを続けるだけです。しかもリターンは“市場平均”程度。
この「地味で退屈な投資スタイル」が、インデックス投資が続かない一因だと考えられます。事実、日本における長期保有型のファンドの平均保有年数は、わずか3.5年とも言われています。多くの人が数年で投資をやめてしまうのは、変化が乏しく、成長を実感しづらいためです。
継続が難しいのは投資だけじゃない
私たちは、何事も長く続けるのが苦手です。英語学習もダイエットも、やるべきことは昔から変わっていないにもかかわらず、毎年のように「新しい学習法」「2週間で痩せるダイエット」が登場します。
英語なら「読む・書く・聞く・話す」、ダイエットなら「運動+食事制限」。やることは決まっているのに、多くの人は継続できません。これが人間の本質です。
これは投資においても同じ。短期間で資産を築いたという成功体験や情報に触れると、どうしても地味なインデックス投資が魅力的に思えなくなるのです。
インデックス投資では億は目指せない?
数百万円の元手から「億り人」になったという話はよく聞きますが、それはあくまでごく一部の成功例であり、多くの人にとっては再現性が極めて低いものです。
また、こうした華やかな成功談はメディアやSNSで目立ちやすく、より多くの人に影響を与えてしまいます。その結果、「インデックス投資なんてやっても意味がない」と感じてしまう人も出てきます。
ただし、その誘惑に負けてはいけません。なぜなら、インデックスファンドは“つまらない”からこそ、堅実な成果が期待できる投資法なのです。
情報過多がパフォーマンスを下げることも
投資初心者は不安からさまざまな情報を検索します。その結果、FXや個別株トレードで短期的に大金を得た事例に触れることが多くなります。
そして、「もっといい投資法があるのでは?」という錯覚に陥ることになります。これは「過剰な情報収集」がもたらす弊害です。
確かに、情報は武器になりますが、取捨選択できなければ逆効果です。焦りや欲に流されて、一貫性のない投資行動を取ってしまい、結果としてパフォーマンスを下げてしまうのです。
投資のプロでさえ市場平均に勝てない
アクティブファンド(市場平均を上回る成績を目指す投資信託)の大半が、長期的に見るとインデックスファンドに劣後するというデータがあります。つまり、投資のプロがチームで運用しても市場に勝てないケースが多いのです。
これは「市場は効率的である」という考え方にもとづくもので、素人はおろか、プロですら“予測は当たらない”ことを示しています。
一般の個人投資家が、プロと同じように情報を分析し、常に正しい判断を下すのは現実的ではありません。だからこそ、シンプルなインデックス投資が最適解なのです。
投資より大切なのは生活習慣と貯蓄力
ここで、パーキンソンの法則を紹介しておきます。これは「仕事や支出は与えられた枠に応じて膨張する」という人間心理に関する法則です。
- 第一法則:「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
- 第二法則:「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」
この第二法則は特に、資産形成において重要な示唆を与えてくれます。収入が増えれば生活レベルも上がってしまいがちですが、それを抑える意志こそが貯蓄のカギです。
収入を増やすことも大切ですが、支出を抑える意志力こそが本質です。生活レベルを一度上げると、下げるのは非常に難しいのです。
金融機関の窓口に相談してはいけない理由
資産運用に関して、金融機関の窓口で相談をするのは避けるべきだという声があります。実際、50代女性が銀行の窓口で資産運用を相談した結果、手数料の高い投資信託を契約させられ、しつこい営業電話にも悩まされたという事例があります。
多くの人は金融機関を信用しすぎてしまいがちです。特に高齢者は、銀行を“堅実”で“信頼できる存在”と考える傾向にあります。しかし、現在の金融機関は、低金利や経営の厳しさから利益を確保するため、顧客本位の姿勢を失っているケースが少なくありません。
高額な手数料がかかる投資信託、毎月分配型ファンド、外貨建て保険など、販売側にとって利益が出る商品を優先して勧めてくることも。
家族に高齢者がいる場合、知らないうちに勧められるまま商品を購入していることもあるため、定期的に資産の状況を確認することが大切です。
投資の成功に必要なのは、才能よりも継続力
派手な成功例に目を奪われがちですが、投資において成功を収めている多くの人は、実は「平凡な方法を継続しているだけ」の場合が多いです。
例えば、毎月一定額を積み立てる「ドルコスト平均法」も、インデックスファンドとの相性が抜群。価格変動のリスクを平準化しながら、淡々と資産形成を進めていくことが可能です。
また、税制優遇のある「新NISA」「iDeCo」などと組み合わせれば、長期投資の恩恵をさらに最大化できます。
まとめ:地味だからこそ成果につながる
インデックスファンドは、派手さも刺激もありません。市場平均を取りに行くだけのシンプルな戦略です。
しかし、その分「失敗しにくい」「継続しやすい」「再現性がある」ことが最大の強みです。
投資で成功するために必要なのは、運やひらめきではなく、継続する意志とルールの徹底です。
華やかな成功談に心を奪われそうになったら、ぜひこの言葉を思い出してください。
インデックス投資は、つまらないけれど、最も確実な資産形成術である。
それこそが、私たち普通の個人投資家にとって最大の武器なのです。
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