野村総研が2019年の日本における純金融資産保有額の世帯別と資産規模を発表しました。
2020年12月21日に野村総合研究所が2019年の日本における純金融資産保有額の世帯別と資産規模を発表しました。こちらは2年ごとに発表している内容で各種統計から推計した数値になります。
上記の図を見たことがある人も多いと思いますが、野村総研が保有資産ごとに階層分けしたピラミッドの図になります。
なかなか、きれいなピラミッド図ですが、実際はこのようなきれいな階層には分かれていません。比率で言えばマス層が約80%を占めます。
各階層ごとの世帯数比率
各階層の世帯数比率でみると。
階層 | 階層の定義 | 世帯数比率(%) |
超富裕層 | 5億円以上 | 0.16 |
富裕層 | 1億円以上5億円未満 | 2.30 |
準富裕層 | 5,000万円以上1億円未満 | 6.33 |
アッパーマス層 | 3,000万円以上5,000万円未満 | 13.18 |
マス層 | 3,000万円未満 | 78.04 |
上記の表のようになります。
円グラフにすると、
となります。
マス層が80%近くありますが、アッパーマス層になると急に約13%になります。なので、本当は、きれいな三角形のピラミッド型にはなりません。
アッパーマス層になると急に細くなるのが正確な図かもしれません。
2005年からの推移
野村総研の発表では2005年からの推移も公表しております。
富裕層以上だけを見ると2009年で一旦下がるものの、右肩上がりに増えています。富裕層は年々増えているのは間違いないようです。
本当に日本の格差は拡大しているのか
2005年からの日本の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移をグラフにしてみました。
これを見ると若干、富裕層以上の比率が増えていますが大きく変わりません。だいたい同じぐらいの構成比率で推移しています。
日本全体の純金融資産保有額が増えていますので、お金持ちの純金融資産額が大きく増えている印象が大きいのかも知れません。
富裕層が増えているのは日本全体の総世帯数と純金融資産保有額が増えているから
また、2005年からずっと総世帯数も増加してますので富裕層の数も増加しています。
なので、マス層も増えていますが、富裕層の数も増えています。なので「マス層が増える一方で富裕層が増えた」という印象を受けて格差が広がっているように感じるのかも知れません。
しかし、実際の構成比率は大きな変化はありません。
純金融資産保有額の配分はどのようになっているのか
2005年からのマス層とアッパーマス層以上の保有資産額は、
2005年 | 2007年 | 2009年 | 2011年 | 2013年 | 2015年 | 2017年 | 2019年 | |
アッパーマス層以上 | 641 | 703 | 601 | 638 | 747 | 799 | 866 | 898 |
マス層 | 512 | 470 | 480 | 500 | 539 | 603 | 673 | 656 |
※単位は兆円
となります。
これをグラフで表すと、
となります。こちらも2005年から大きく構成は変わっていません。だいたい半分以上はアッパーマス層以上の世帯で占めています。
純金融資産保有額の比率で見てみると
比率にすると、
2005年 | 2007年 | 2009年 | 2011年 | 2013年 | 2015年 | 2017年 | 2019年 | |
アッパーマス層以上 | 55.6 | 59.9 | 55.6 | 56.1 | 58.1 | 57.0 | 56.3 | 57.8 |
マス層 | 44.4 | 40.1 | 44.4 | 43.9 | 41.9 | 43.0 | 43.7 | 42.2 |
※単位は%
となります。2019年には、約60%近くがアッパーマス層以上の世帯が占めています。
日本の60%弱の金融資産はアッパーマス層以上が保有している
マス層は約80%近くを占めます。しかし、日本全体の純金融資産保有額の60%近くはアッパーマス層以上の人が保有していることになります。
60%近くと書くと盛っていると言われそうですが、おおよそです。
パレートの法則までは行かない
パレートの法則とは、80:20の法則とも呼ばれます。
経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した法則です。
全体の数値の大部分は全体を構成するうちの一部の要素が生み出している
という理論です。
20%を構成するもので、全体の80%を占めるという法則です。あるお店の全体の売り上げの80%は上位20%の商品で構成されていると言われたりします。
なので、ざっくりですが、マス層が約80%で、アッパーマス層以上が約20%なので、パレートの法則でいくと、全体の純金融資産保有額の80%はアッパーマス層以上の人が占めるかと思ったらそうはなっていませんでした。
節約をして貯金額を増やしたい人は、まずアッパーマス層を目指すべき
アッパーマス層になるには3,000万円以上の金融資産の保有額を持つ必要があります。これは不動産を含みません。
3,000万円以上の金融資産を保有すれば日本の上位の約20%に入ることが出来ます。これは世帯ごとの金融資産なので、結婚している人であれば、夫婦で頑張ると実現不可能な数値ではありません。
なので、まだ純資産額が3,000万円以下の人はアッパーマス層を目指してみてはどうでしょうか。
目標があれば節約にも力が入ります。
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