労働組合の存在意義に疑問を感じる理由
労働組合のある企業に勤めている方の多くは、自動的に組合に加入しています。基本的に強制加入であり、加入を拒否できる雰囲気でもありません。
しかし、その組合費に見合う恩恵を実感できている人は、果たしてどれほどいるのでしょうか。私自身、長年会社員として働いてきましたが、労働組合の活動に対して「形骸化しているのでは」と感じる場面が少なくありません。

スト権が行使しにくい時代と変わらない活動スタイル
労働組合の基本的な権利の一つに「団体行動権(ストライキ権)」があります。労働者が不当な待遇や条件に対して抗議するための正当な権利です。
しかし、現代においてこのスト権を行使することは極めて難しくなっています。なぜなら、ストライキを実施すれば、直接的に企業の顧客や利用者に影響が及び、かえって労働者への世論の反発を招きやすいからです。
特にインフラ系以外の企業では、スト権を使うこと自体がタブー視されており、結果として「行使できない権利」に成り下がっているように思えます。
さらに、多くの労働組合は、前年の活動内容をそのまま踏襲しており、新しい時代に合った動きが見られません。経営側の提案に対しても、毎回決まったパターンで反論するだけで、実効性を感じにくいのです。
特権化する組合員と取り残される非正規労働者
かつて労働組合は「弱者=労働者」を守るための存在でした。しかし今の時代、労働現場には正規雇用と非正規雇用が混在し、非正規社員の比率も高まっています。
正規社員は労働組合に加入し、待遇改善やボーナス維持などを会社に要求できます。一方、非正規社員は同じ職場で同じような仕事をしていても、労働組合に加入していないため、何も要求できません。
例えば、隣の正社員が「ボーナスの維持」を訴える一方で、自分にはそもそもボーナスの支給がない。このような状況が当たり前に存在しているのです。
労働組合に加入していることが、もはや「労働者の保護」ではなく「特権」になってしまっている。これでは、本来の存在意義が問われても仕方がありません。
時代錯誤な政治活動が世論の理解を遠ざけている
労働組合の活動として、以下のような例が見られます。
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沖縄での反米軍基地デモへの参加
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反原発活動の署名活動
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憲法9条を守るキャンペーン
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特定政党(例:民主党)への選挙支援
これらの活動が、果たして労働者の権利向上に直接つながっているでしょうか?確かに、活動している人たちは信念を持って取り組んでいると思います。しかし、一般の労働者や世論がこれに共感しているかというと、かなり疑問です。
政治的な活動に労働組合が関与すること自体が悪いとは言いません。ただし、それが「労働者のため」ではなく「一部の思想の押し付け」に見えるとしたら、それは明らかに方向性を誤っていると思います。
まとめ:労働組合は変わらなければ本当に見放される
私は、労働組合という存在自体はとても大切なものだと考えています。労働者が経営側に対抗するためには、個人では限界があるからです。
しかし、今の労働組合の幹部たちが、現場感覚を持たないまま、昭和から続く活動スタイルを繰り返しているように見えるのです。多くの幹部は、入社後すぐに専従となり、現場を離れたまま組合組織内で出世していく。そのような人たちに、今の労働現場の苦労や変化がどれほど理解できるのでしょうか。
このままでは、組合の組織率はさらに低下し、誰からも支持されない「過去の遺物」になってしまいかねません。
ちなみに、私は投資家でもあります。投資家の立場からすれば、労働者の待遇が低いほうが企業の利益が増え、株価も上がる可能性があります。しかし、それは持続可能な発展とは言えません。労働者が適切な報酬を得てこそ、健全な経済成長が実現するのです。
国民が苦しんでいる国は、どれだけ企業が儲かっても本質的には発展していません。同じことが、日本の労働環境にも言えるのではないでしょうか。
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