雑記

富裕層は本当に増税されるのか?実態と中間層への影響を考察

富裕層は確実に増えている

以前から何度か取り上げていますが、日本における富裕層の数は増加傾向にあります。

野村総合研究所の2019年の調査によると、純金融資産が5億円以上の世帯が約8.7万世帯も存在しています。特に2009年以降、株価の上昇などを背景に富裕層の数は右肩上がりです。

階層 階層の定義 純金融資産 世帯数 世帯数比率(%)
超富裕層 5億円以上 97兆円 8.7万世帯 0.16
富裕層 1億円以上5億円未満 236兆円 124万世帯 2.30
準富裕層 5,000万円以上1億円未満 255兆円 341.8万世帯 6.33
アッパーマス層 3,000万円以上5,000万円未満 310兆円 712.1万世帯 13.18
マス層 3,000万円未満 656兆円 4,215万世帯 78.04

株や不動産の資産価値上昇によって、上位層の資産はますます拡大しているのが現実です。

データは全て野村総合研究所によるものです。

日本の純金融資産の占有率を考えてみた。日本の金融資産の約60%弱はアッパーマス層以上が保有。野村総研が2019年の日本における純金融資産保有額の世帯別と資産規模を発表しました。 2020年12月21日に野村総合研究所が2019...

富裕層への「増税」は実質ショボい?

上記の前提で下記の記事を見つけました。

富裕層の資産増加を政府が見逃すはずもなく、財産没収ともいえる政策が順次進められている。株式会社アレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏が指摘するのは以下のような点だ。

“2020年の政府税制調査会では「格差の固定化」を阻むべく、贈与税にも何らかのメスを入れるべく検討を進めると明言されていますし、生命保険を使った富裕層向けの特殊な税金対策である低解約返戻金逓増(ていぞう)定期保険も今月フタをされることが報道されました。数年前、海外に移住することで相続税を逃れていた富裕層に対する移住期間が、5年から10年に延長されたことも記憶に新しいところです。”江幡吉昭氏『富裕層の「財産没収」に本気モードの日本政府…包囲網強化の裏』(2021/3/24 幻冬舎ゴールドオンライン連載記事より)

大まかに、日本の富裕層は「地主」「企業オーナー」「医師」「大企業役員」の4つにわけられる。世界を見渡すと、コロナ不況脱却のため、英国や米国は法人税率を上げる意向を示している。日本も右に倣えと法人税率や贈与税率の引上げが本格的に始まれば、富裕層の資産防衛意識はますます高まっていくといえよう。

出典:GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)

上記記事をまとめると富裕層に増税されるのは、

家計の金融行動に関する世論調査、2019年の調査結果によると2人以上世帯の金融資産保有額は平均値で1,139万円、中央値で419万円。いずれも前回調査より減少。金融広報中央委員会が2019年11月18日、「家計の金融行動に関する世論調査(2019年)」を公表しました。 金融広報中央委員会が世帯...

では、政府が進める富裕層への増税は実際どうなのでしょうか?

具体的に挙げられている施策は以下のとおりです。

  • 贈与税の見直し

  • 低解約返戻金逓増定期保険の規制

  • 海外移住による相続税回避の制限(5年→10年)

  • 法人税・贈与税の税率引き上げ(ただしまだ仮定

この中で、実際に「増税」と呼べそうなものは低解約返戻金型の逓増定期保険への規制くらいです。

この保険は、契約から数年後に支払った保険料がほぼ全額戻ってくるという仕組みで、企業経営者が法人税対策として多く活用していました。とはいえ、これ一つを封じたところで「富裕層の財産を奪う」と言うには大げさすぎます。

苦しくなるのは中間層

富裕層への増税が実質的に進まない一方で、社会保険料や税金の負担が着実に増えているのは中間層から低所得者層です。

コロナ禍では、政府が大規模な財政出動を行いました。その「ツケ」は結局、徴税しやすい中間層が負うことになりそうです。

富裕層は政治的影響力も大きく、税制改正を抑える力もあると考えられます。一方で、声を上げづらく、控除も限定的な中間層がターゲットになりやすいのです。

まとめ:富裕層はやはり強かった

結局のところ、「富裕層に対する本格的な増税」は実施されていないというのが現実です。規制はされているものの、その影響は限定的であり、むしろ中間層の方が厳しい立場に追い込まれています。

私は富裕層ではないので直接的な影響はありませんが、このような状況を見ても、富裕層の資産と影響力の強さを改めて実感しました。

時代が変わっても、環境が変わっても、強いのは富裕層。それが日本の現実なのかもしれません。

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