トヨタ自動車の豊田章男会長が「終身雇用の継続は難しい」と発言。
日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)が「終身雇用の継続は難しい」と発言されたことが大きく取り上げられています。
日本を代表する大企業のトヨタ自動車が終身雇用崩壊的な発言をされたのを取り上げて、マスコミは話題にしているようです。
終身雇用についての正確な発言内容
ただ、正解には記者会見で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べられています。
確かに終身雇用を守るのが難しいと言われていますが、どちらかと言えばインセンティブについて語られいるのだと思います。
日本はどちらかと言えば企業に福祉的な役割を担うことを求める向きを感じます。雇用の維持や賃金上昇なども政府は企業に要求します。
本来であれば福祉的な役割は政府が担い企業は純粋に利潤を追求することに注力することが望ましいと思います。
ただ、今の政府はこの少子高齢化が進み医療費が上昇していて中、財政赤字が膨らんでいます。なので、これ以上の福祉サービスを提供することが難しくなってきているのです。
政府が労働組合化している
なので、企業に対して簡単に解雇できない制度にしたり、長期安定雇用を求め、派遣労働者などに対しては企業に正社員化を促したりしているのです。
かといって国や地方自治体などが派遣労働者などを積極的に正社員化しているかといったらそうではありません。
また、年金の財源が不足するので定年延長まで企業に要求したり、最近では連合でなく、政府が企業に賃金アップを要求したりしています。
これを受けて、国や政府などが企業に終身雇用を要求するなら、これをきっちり実施している企業に対して、何かしらのインセンティブがあってもよいと言われたと思います。
企業の目的は利潤の追求
企業は本来、利潤の追求に注力すれば良く、失業問題や福祉的のことは政府が考えればいいのです。
企業はすでに終身雇用を維持することが厳しいというのは分かっていて、多くの会社が早期退職を募ったりしています。
だいたい45歳以上が対象になる感じです。
子どもが高校生や大学生が多い世代だと思うので家計的にも出費が多い時期です。
企業側からしたら給料が高く生産性が低いとされ、伸びしろも少ないので、この世代をリストラするのが効率的です。
リストラが当たり前になったらどうなるか。
サラリーマンは一般的に起業して成功した人よりかは収入は少ないです。しかし、逆に安定した収入が入ることがメリットです。
この前提が崩れた場合、サラリーマンでもリスクがあることになります。
そうすれば起業する人が増えるのかと言えば、そうはならないでしょう。恐らく年配の人でもパートやアルバイト、派遣社員になる人が増加することになります。
どちらかと言えば不安定な雇用の年配者が増加してしまいます。なので、格差は、もっと分かりやすく広がることになります。
起業しても成功確率は低い
勇気を持って起業すればいいとは思いますが、起業して成功。または、数十年間、会社を経営できる確率はかなり低いです。
起業というのは経済的にはかなりのギャンブルなのです。よっぽどの自信がない限り始めるのは危険です。
中間層が没落していく
サラリーマンが不安定な職業となると社会の仕組みが根底から崩れます。住宅ローンなどは、今ほどの低金利にもならないし、35年ローンなんて組む人は公務員ぐらいになってしまいます。
そうなると不動産価格も上がるだろうし、持ち家比率もどんどん下がっていきます。
富裕層は経営者や投資家となり中間層は公務員といったかたちになるのでしょうか。
ただ、その中でも優秀なサラリーマンも出てきますので高年収のサラリーマンが多く出てくるかもしれません。
しかし、この人らもいつクビになるか分からない状態で働くことになると思います。
終身雇用を前提に社会構造が成り立っている
少し前に比べるとサラリーマンの地位が相対的に上がりました。30年ほど前は正社員希望というのは、少なくフルタイムで働く人は基本的に正社員だったのです。
だが、雇用形態も多様化していろいろな働き方をしている人が増えました。それにより格差も広がってしまったのです。
恐らく終身雇用制度が急になくなりはしないですが、徐々になくなっていくのは確実だと思います。
やはり、今の制度だと企業側が従業員をなかなかクビにはできないので、企業側も簡単に正社員を雇うことをしません。
サラリーマン側も終身雇用を前提に年金や退職金制度が整えられているのであまり転職をしようとしないのも事実です。
これでは人の流動性にとってよくないです。産業もどんどん変わるので人もどんどん移っていく必要があります。雇用の流動化は大切なのです。
なのでリストラなどというのはやめて明確な、金銭的ルールのもと企業側から従業員を解雇できる制度を作るべきなのです。
そうすれば雇う側も雇われる側も自分がどのようなリスクを負っているのかが明確になります。リスクが明確になっていれば人生の選択をする際に判断がしやすいです。
また、サラリーマンも危機意識を持って仕事をするので生産性も上がります。
最後に
雇用や人事制度は必ずいい面ばかりでないので、変更するには慎重になる必要があります。派遣法の改正がいい例で、これにより派遣切りや格差など、大きな問題を生みました。
人事制度も成果主義を導入した企業などは、企業内では秘密主義が横行してチームで成果を上げるのが難しくなったりしました。一見良さそうに見えても大きな副作用も含んでいます。
しかし、雇用の安定は少なくともなくなる方向なのは確実だと思います。なので、今のうちに自分の人生プランはしっかりしておいた方がいいです。
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