取り崩しが怖い人へ|年金までの橋渡しを含む50代の出口戦略5ステップ
私は50代の平社員。妻はパート、子どもは高校3年と中学2年。家は賃貸です。総資産は増えてきたのに、「そろそろ出口(取り崩し)を考えないと…」と思った瞬間から、逆に不安が増えました。
増やす局面は「入金して、淡々と積み立てて、余計な売買をしない」でだいたい説明できます。ところが取り崩しは、資産運用というより“生活の設計図”を書き直す作業。家計・相場・健康・家族の希望が絡むので、怖くて当然です。
この記事では、私が怖さの正体を分解し、家計と運用を「取り崩し前提」で整えるためにやったことを、5ステップでまとめます。結論から言うと、怖いのは「取り崩すこと」そのものではなく、「いつ・何に・いくら使ってよいかが曖昧なこと」です。
ステップ1:出口が怖い理由を3つに分解する
取り崩しが怖い理由は、だいたい次の3つに集約できます。
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橋渡し期間が読めない:年金開始まで何年ある?働けなくなる可能性は?
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暴落で減るのが怖い:必要な時に値下がりしていたらどうする?
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家族の合意がない:自分だけで決めると、あとで揉める
特に50代は「教育費ピーク」「親のこと」「健康」「会社の先行き」が同時に来ます。未来の不確実性が高いのに、口座残高は“数字だけ”増えていく。だから「増えているのに不安」という矛盾が起きます。
ここで一つだけ言えるのは、出口戦略は“正解を当てるゲーム”ではない、ということ。私は「不安が消えるまで計算する」より、「迷った時に戻れるメモを作る」方向に切り替えて、かなり楽になりました。
ステップ2:取り崩しの用途を3段階に分ける
私が最初にやったのは、“取り崩しの用途”を3段階に分けることでした。ここが曖昧だと、取り崩しは一生怖いままです。
1) 生活費:毎月の赤字を埋めるお金
年金が始まるまでの橋渡し、あるいは年金だけでは足りない分を埋めるお金です。ここは「必要度MAX」なので、取り崩し口座(=売却して現金化する先)を決め、現金バッファも厚めにします。
私の場合はまず「家計の基本ライン(賃貸の家賃+生活費+教育費)」を固定し、投資は“それを壊さない範囲”に置きました。出口も同じで、生活費部分は守りを最優先にします。
2) 臨時費:年1〜数年に一度来る大きな支出
家電の買い替え、車検、家族イベント、医療費など。毎月の生活費に混ぜると家計がぐちゃぐちゃになります。私は「臨時費は臨時費の箱」を作り、予算を年単位で持つようにしました。
臨時費は“想定外”のフリをしてやって来ます。でも、たいていは想定できます。過去3年の支出を見返して、「だいたい毎年起きている臨時費」を書き出すだけで、怖さがかなり減りました。
3) 贅沢費:幸福度を上げる“使っていいお金”
旅行や外食、趣味。ここがゼロだと人生が味気ない。でも無制限だと生活水準が固定化して出口が崩れます。私は「贅沢費はルール化」して、家族が納得できる範囲で出す、と決めました。
具体的には「年○回まで」「1回あたり上限○円」「暴落年は一段下げる」の3つだけ。細かい家計簿より、ルールが効きます。
この3つを分けた瞬間、「取り崩し=資産を減らす恐怖」から、「用途ごとの予算配分」へ頭が切り替わりました。
ステップ3:年金開始までの“橋渡し”をレンジで作る
出口戦略が怖い最大の理由は、橋渡し期間が曖昧なことです。私は完璧なシミュレーションは諦めて、まず“幅”で作りました。
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年金開始までの年数(例:あとX年)
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年間の赤字見込み(例:年△△万円〜□□万円)
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必要な橋渡し資金=②×①+臨時費の余白
ポイントは「赤字を一つの数字にしない」こと。教育費や収入はブレるので、レンジで置きます。私は“悲観・標準・楽観”の3本でメモにして、毎年アップデートする方式にしました。
「数字の精度」を追いかけるより、「更新できる形」にするほうが、長く続きます。
ステップ4:“取り崩し率”より先に決める3つ
よく「4%ルール」など取り崩し率の話が出ます。でも私の体感では、率を先に決めても不安は消えません。先に決めるのはこの3つです。
1) 現金バッファの厚さ
私は生活費の3か月分以上を現金で持つ派です。取り崩し期は、これに「臨時費」と「暴落時の耐久力」を足します。現金は利回りが低いですが、“判断時間”を買っていると思っています。
2) NISAの出口を分ける(取り崩し口座の分離)
地味ですが、かなり効きます。私は「長期で持ち続けたいNISA口座」と「取り崩しに使う口座」を分けて考えています。売却の意思決定を分離すると、相場の上下で感情が揺れにくい。口座を“目的別の箱”にする感じです。
3) 取り崩しの順番
私の基本は、生活費=現金→(必要なら)取り崩し用投信→それでも足りない時に長期枠、の順です。逆に、長期枠から先に崩すと、相場が回復した時に“戻す”のが難しくなります。
ステップ5:暴落ルールと家族共有を「メモ1枚」にする
出口で一番怖いのは「暴落順序リスク(必要な時に下がっている)」です。なので私は、ルールを先に書いておきました。
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ルール1:生活費の不足分は、まず現金バッファから出す(慌てて売らない)
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ルール2:暴落局面では“贅沢費”を一段下げる(ゼロにはしない)
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ルール3:取り崩し用の投信は、回復局面で補充する(逆の順番にしない)
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ルール4:値下がり時に「全部売る」は禁止。判断は48時間置く
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ルール5:SNSの相場実況は遮断(不安を増やすだけ)
要は、相場に合わせて生活を激しく変えないための“ショックアブソーバー”を用意しておく、ということです。
家族会議は「結論」ではなく「前提共有」
取り崩しは一人で決めると失敗します。私は家族会議を「結論を出す場」ではなく「前提を共有する場」にしました。
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最低ラインを共有:家計の固定費と最低生活費(賃貸前提で)
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臨時費を見える化:年間で発生しそうなイベント
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贅沢費の上限を決める:回数と上限金額だけ決める
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投資の目的を言語化:「老後の安心」「子どもが自立するまでの安全運転」
ここまで決めると、暴落が来ても「想定内の会話」に戻れます。怖さはゼロにならないけど、コントロールできます。
「口座分離」を手でやる具体例
証券会社の画面でフォルダが増えるわけではありません。私は“運用ルールを分ける”ことで、実質的に口座分離をしています。
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長期枠:新NISA(つみたて・成長投資枠)。原則、売らない
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取り崩し枠:特定口座。ここは売ってOK。取り崩し用の投信を置く
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現金枠:銀行口座。生活費・臨時費の支払い先
売却したお金は、いったん「取り崩し専用の銀行口座」に移し、そこから生活費口座に月1回だけ移します。これだけで“自動的に使い過ぎない仕組み”になります。月次で移す金額が決まっていると、家計は安定します。
私がやらないようにしているのは、長期枠(NISA)を「ATMみたいに」使うこと。いったんそれを始めると、相場が良い時ほど取り崩しが増え、相場が悪い時ほど不安で売る…という最悪の循環に入りやすいです。
出口戦略は「年1回の更新」で十分
完璧に作ろうとすると、数字が変わるたびに心が持っていかれます。私は“更新頻度”もルールにしました。
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基本の見直し:年1回(誕生月など固定)
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例外の見直し:収入変化・健康・家族イベント(入学/独立/介護)など大きな変化があった時
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見直す項目:年間赤字のレンジ、臨時費リスト、現金バッファ、贅沢費ルール、取り崩し順番
更新といっても、紙1枚(メモ1枚)を直すだけ。数字がズレても、メモがあれば立て直せます。
私は見直しのたびに「家計が黒字で回っているか」「現金が3か月分以上あるか」だけ先に確認します。投資の出口は、結局“家計の出口”とセットです。
CTA:自分の“怖さ”を言語化するチェック5つ
最後に、私が使っているチェックです。YES/NOでOK。
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年金開始まで、家計が赤字になる月は何か月ある?
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“臨時費”の年間予算を言える?(家電・医療・イベント)
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生活防衛費(現金)で何か月もつ?
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取り崩しに使う口座(箱)を決めている?
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暴落時に削る支出(でもゼロにしない支出)を決めている?
全部埋まらなくても大丈夫。埋まらない項目が、そのまま「不安の正体」です。出口戦略は、完璧な計算より、“言語化して家族で共有すること”から始まります。
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