役職がなくても老後は迎えられるのか
50代に差し掛かると、多くのサラリーマンは「役職定年」「昇進の頭打ち」「給与のピークアウト」といった現実に直面します。特に役職がなく、いわゆる“平社員”として過ごしている場合、「このまま定年まで勤め上げて本当に老後は大丈夫なのか」という不安が強くなるのは自然なことです。
しかし、必ずしも役職や高年収が逃げ切りの条件ではありません。むしろ重要なのは、今ある収入と資産をどう管理し、どう増やしていくかです。本記事では、平社員でも現実的に老後を逃げ切るための戦略を整理していきます。
1. 逃げ切りに必要な老後資金の目安
老後資金の目安としてよく取り上げられるのが「老後2,000万円問題」です。しかしこれは平均値であり、実際の必要額は生活水準や住まい、医療費への備え方で大きく変わります。
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持ち家か賃貸か
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子どもの教育費がまだ続くか
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夫婦2人か単身か
総務省の家計調査(高齢無職世帯)によれば、平均的な支出は月26万円前後。これに対し年金収入は月20万円程度で、月5〜6万円の赤字になるケースが一般的です。つまり、20年生きれば1,500万円前後の取り崩しが必要。長寿リスクまで含めると、やはり2,000〜3,000万円程度の資産は確保しておきたいラインと言えます。
2. 平社員の「収入の現実」と向き合う
50代の平社員の年収は、大企業であっても600万円前後、中小企業では400〜500万円に留まる場合もあります。役職手当やボーナスの伸びがないため、可処分所得はピークを過ぎて減少傾向にあります。
一方で支出はむしろ増えることが多い。子どもの大学費用や住宅の修繕費、親の介護などが重なり、手取りの余裕は思った以上に少なくなりがちです。
だからといって悲観する必要はありません。むしろ、ここからの戦略次第で「逃げ切れるかどうか」が決まります。
重要な視点は3つ
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支出を定年仕様に変える準備
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年金以外の収入源を持つ
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余剰資金を投資で守り育てる
3. サラリーマンの終盤戦略① 支出最適化
逃げ切りの第一歩は「支出の調整」です。
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固定費の削減:通信費・保険料・サブスクの見直し
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住まいの最適化:賃貸なら住み替えで家賃を抑える、持ち家ならリフォームは必要最低限に
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教育費の終わりを見据える:子どもの独立後に浮いた支出を老後資金へ振り分ける
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生活習慣をダウンサイジング:車を手放してカーシェアに切り替える、外食を減らし自炊を増やす
特に重要なのは「定年後にかかる支出をシミュレーション」することです。現役時代の支出水準を維持したまま老後に突入すれば、確実に赤字が拡大します。
4. サラリーマンの終盤戦略② 収入確保
定年後は年金が収入の柱になりますが、繰下げ受給を活用すれば支給額を増やせます。加えて以下の収入源を確保するのが現実的です。
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再雇用や嘱託勤務:フルタイムでなくても年100〜200万円の収入確保が可能
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副業・パート収入:週数日働くだけで月5万円程度のプラスに
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資産収入:配当金や不動産収入など、働かなくても得られるキャッシュフロー
平社員であっても、労働収入と資産収入を組み合わせることで「逃げ切り可能な収支」を実現できます。
5. サラリーマンの終盤戦略③ 投資で資産を守る
インフレ時代に現金を眠らせるのは最も危険です。銀行預金の金利はほぼゼロに近い一方で、物価は5年で11%以上上昇しています。つまり、現金だけでは資産が目減りするのです。
投資戦略の基本
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新NISAの活用:全世界株式や米国株インデックスへの長期投資
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高配当株投資:安定的な配当を得て生活費を補う
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バランス投資:株式だけでなく債券・REITも組み合わせてリスク分散
投資経験が浅い人は、まずはインデックスファンドで少額から始めるのが安心です。
6. ケーススタディ:「資産7,000万円の平社員」
仮に50代で金融資産7,000万円を持っているケースを考えてみましょう。
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年金収入:月20万円(夫婦で)
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生活費:月27万円
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赤字:月7万円(年間84万円)
4%ルールを単純に当てはめれば、年間280万円を取り崩せる計算になり、生活費の不足分を十分にカバーできます。実際には市場の変動や医療費のリスクもあるため、3%程度で計算する方が安心ですが、逃げ切りは十分可能です。
逆に資産が2,000万円未満だと、再雇用や副業での収入補填が欠かせません。つまり「資産規模によって選ぶ戦略」が変わるのです。
7. マインドセット:肩書きより戦略
役職や昇進の有無にとらわれすぎる必要はありません。大切なのは「自分が持っているもの」を正確に把握し、それを最大限活かすことです。
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貯蓄と投資のバランスをどうするか
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家族にどこまで援助するか
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自分の健康にどれだけ投資するか
平社員であっても、これらを現実的に考え抜けば、老後の不安は大きく軽減できます。
まとめ:平社員でも「逃げ切り戦略」は描ける
役職や高収入がなくても、50代からの戦略次第で老後を乗り切ることは可能です。
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支出を定年仕様に整える
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収入源を複線化する
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投資でインフレから資産を守る
この3点を押さえれば、「平社員でも逃げ切れる」のです。
大切なのは、肩書きではなく、数字に基づいた現実的な戦略を持つこと。
あなたの老後は、まだ十分にコントロールできます。今日から一歩を踏み出しましょう。
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