最近、「平均貯蓄は2,000万円」「平均金融資産は1,900万円」といった見出しをよく見ます。数字だけ見ると「自分は全然足りない…」と焦りますよね。私も50代に入って、教育費が重なる時期にこういう“平均”を見ては、心がザワつきました。
でも、資産データは読み方を間違えると危険です。平均は、ほんの一部の富裕層に強く引っ張られます。そこで今回は、「平均に騙されない」ために、資産データの見方を“入門”としてまとめます。数字に振り回されず、家計の意思決定に使える形にするのが目的です。
そもそも「平均」はなぜ危ういのか
平均値は、全員の合計を人数で割った数字です。なので極端に大きい値が混じると、ぐっと引き上げられます。資産はまさにその典型で、分布が右に長い(お金持ちが少数いる)形になりやすい。
たとえば「二人以上世帯の平均金融資産1,940万円」と聞くと、つい“普通の家庭像”を思い浮かべます。でも実際は、中央値(真ん中の世帯)がどのあたりか、上位層がどれだけ厚いかで、体感はまったく変わります。平均だけで自分を裁くと、必要以上に不安が大きくなります。
10人の例で体感する:平均と中央値は別物
ここで、ざっくりした例を出します。10人の資産が「0、0、50、100、150、200、300、400、500、10,000」だったとします。
・平均:合計11,700÷10=1,170
・中央値:真ん中(5番目と6番目の平均)=(150+200)÷2=175
この場合、平均1,170は「10,000の1人」に強く引っ張られています。一方で中央値175は、“真ん中の体感”に近い。資産の話はだいたいこの構図です。
まず大事:その「資産」の定義は何か
同じ「資産」でも、統計で指している中身は違います。ニュースの見出しはここを省略しがちです。
たとえば「金融資産」に、日常の支払い用の現金・預金が含まれるのか。住宅や車などの実物資産は入るのか。借金(負債)を引いた“純資産”なのか。
この定義が違うと、数字の意味が変わります。比較するなら、同じ調査の同じ定義で揃えるのが安全です。
資産データを読むときの「5つのチェックリスト」
ここからは、私が統計を見るときに必ず確認しているポイントです。慣れると、ニュースの見出しに踊らされなくなります。
1) 対象は「個人」か「世帯」か
資産統計は「世帯」が多いです。単身か、二人以上か、子どもがいるかで家計の姿は別物です。自分の生活単位と合わせて考えないと、比較の軸がズレます。
2) 平均と中央値、どっちの数字か
平均だけが出ている記事は要注意です。中央値(真ん中の人の値)が併記されていれば、まず中央値を“体感の基準”に置き、平均は「上にどれだけ厚みがあるか」の参考にします。中央値が載っていないなら、一次資料で探すか、「平均は上に引っ張られる」と一度“割り引く”だけでも効果があります。
3) 「保有していない世帯」を含むか
金融資産ゼロ世帯を含めるのか、金融資産保有世帯に限定するのかで、数字は大きく変わります。比較するなら、同じ母集団で揃えるのが鉄則です。
4) 時系列で見る(単年の数字で結論を出さない)
資産は、相場や景気で上下します。単年の平均で一喜一憂するより、数年の流れで見たほうがブレません。
特に株式比率が高い家庭は、年末の評価額で数字が派手に動きます。「今年の平均が上がった=みんなが豊かになった」とは限らない、くらいでちょうどいいです。
5) できれば「分位(五分位など)」で自分の位置を知る
平均と中央値の間を埋めるのが分位です。上位20%・真ん中・下位20%といった“層”で見ると、「上位は別世界」「真ん中はこのあたり」という現実が見えやすいです。ここが分かると、平均への誤解が一気に減ります。
よくある誤読3つ(ここで転ばない)
誤読1:平均=普通、と思い込む
平均は「合計÷人数」なので、富裕層が混ざるほど上がります。だから平均だけ見て“自分は遅れている”と決めるのは危険です。まず中央値、次に分位(上位20%・下位20%など)を確認する。これだけで、焦りがかなり減ります。
誤読2:「金融資産」と「純資産」を混同する
資産は“持っている額”だけでなく、“借金を引いた後”も大事です。貯蓄だけ見て安心していたら、負債も大きくて実態はギリギリ…というケースもあります。貯蓄と負債をセットで見る癖をつけると、家計の実態に近づきます。
誤読3:定義の違う数字を並べて比べる
「金融資産」「貯蓄」「預貯金」など、言葉が似ていても中身が違います。比較するなら、同じ調査の同じ定義で揃える。これが一番の近道です。
ニュース見出しの読み替えテンプレ(私がやっていること)
私は、SNSやニュースで資産の数字が流れてきたら、心の中で次の3行に変換します。
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「その数字は平均?中央値?どっちだろう」
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「対象は世帯?単身?年齢層は?(自分と同じ?)」
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「定義は?生活防衛費は含む?負債は引いてる?」
この3行を挟むだけで、“見出しの圧”が一段落ちます。数字って、不思議なくらい“落ち着いて”見えるようになります。
データを“安心”に変える:50代の使い方
統計は、他人と競うためではなく、自分の不安を小さくするために使うのが健全だと私は思っています。ポイントは3つです。
1) 比較は「過去の自分」と「自分の必要額」
他人の平均と比べると、永遠に満足できません。私は総資産が増えても、相場が下がれば数字は戻るし、教育費や生活費の伸びもあります。なので、見ているのは「この先の支出が賄えるか」「暴落が来ても生活が崩れないか」です。
2) 生活防衛費と運用資産を分ける
統計上の“金融資産”は定義が様々です。自分の家計では、まず生活防衛費(現金・普通預金)を別枠に置き、運用資産(新NISAの投信など)と混ぜないようにしています。こうすると、相場の上下でもメンタルが安定します。
3) 攻めすぎない:長期・分散・低コストに戻る
50代は取り返す時間が減ります。だからこそ、短期で増やそうとしてレバレッジ商品に寄るのは、私には合いません。新NISAを軸に、インデックスをコツコツ積み立てる。地味ですが、データに振り回されない投資になりやすいです。
まとめ:数字に負けない“読み方”を持とう
平均は便利ですが、資産の世界では誤解の元にもなります。見るべきは、①定義、②母集団、③平均と中央値、④時系列、⑤分位。この5点を押さえるだけで、ニュースの数字は“怖いもの”から“使える情報”に変わります。
最後に、今夜5分でできる行動を書いておきます。
・家計の「金融資産」と「負債」をざっくりメモする(まずは把握)
・生活防衛費を別枠にして、相場の上下と切り離す
・積立額は“続く金額”に合わせる(増やすのは慣れてから)
私は、統計を見たら必ず自分の家計簿(年間支出と現金残高)に戻り、数字を“自分事”に翻訳するようにしています。この習慣があるだけで焦りが減ります。
50代になると、家計の課題は「増やす」だけでなく「守りながら続ける」ことに移ります。平均に振り回されず、自分のペースで“逃げ切り”を目指していきましょう。
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