順序リスクが怖い|50代が老後資産を守る“取り崩し前”の5つの現実策
「平均で年5%で回るなら、老後も大丈夫」——昔の私は、こんなふうに雑に考えていました。ところが資産が増えてくるほど、逆に怖くなってきたのが“順序リスク”です。
私は50代の平社員。妻はパート、子どもは高校3年と中学2年。家は賃貸です。総資産は8,000万円台に乗りましたが、FIREを目指すより「老後を安心して迎える逃げ切り戦略」を重視しています。そんな私が、順序リスクをどう捉えて、何を準備しているかをまとめます。
順序リスクとは?平均利回りが同じでも結果がズレる
順序リスク(Sequence of Returns Risk)は、資産運用の“成績そのもの”よりも、成績が出る「順番」が結果を左右するリスクです。特に影響が大きいのは、資産を取り崩す局面(退職前後)です。
同じ平均利回りでも、取り崩し中に「最初に大きな下落」が来ると致命傷になりやすい。なぜなら、下がった資産から生活費を引き出す=安値で多く売ることになり、回復局面の“戻り”を取り逃しやすいからです。
ざっくり数字の例を出します(理解のための概算です)。
・元手:3,000万円
・取り崩し:毎年120万円(生活費の一部)
・10年間の平均利回り:どちらも同じ
ここで、最初の2年が「-20%、-10%」の順に来た場合、資産は減った状態で取り崩しが続くので、10年後の残高がかなり目減りします。逆に「+20%、+10%」が先に来ると、同じ平均利回りでも残り方が大きく変わる。これが“順番の怖さ”です。
ポイントは「長期で見れば戻る」は、積立期の話だということ。取り崩し期は、戻る前に売ってしまう可能性がある。ここが積立期と決定的に違います。
50代が順序リスクを意識すべき理由
20代・30代の積立期は、むしろ下落が来たほうが「安く買える」ので歓迎すらできます。でも50代になると状況が変わります。
1)出口(取り崩し)が視野に入る
老後資金は「いつ売るか」が避けられません。新NISAもiDeCoも、結局はどこかで取り崩します。積立期の“時間が味方”から、取り崩し期の“時間が敵になる瞬間”が出てきます。
2)家計イベントが読みにくい
うちは教育費が山場。さらに親の介護、家電の買い替え、車の更新など、まとまった出費が増えやすい。相場が悪い年に限ってお金が必要になると、順序リスクが現実になります。
3)入金力が落ち、回復を待ちにくい
若い頃は下落しても給与で買い増しできますが、50代は昇給も期待しにくい。仕事のストレス耐性も下がり、「耐えて待つ」が難しくなる。順序リスクは、メンタルのリスクでもあります。
順序リスクを増やす“落とし穴”3つ
対策の前に、私がやりがち(そして今も油断するとやりそう)な落とし穴を整理します。
・暴落の年も「いつも通りの金額」を機械的に取り崩す
・生活費の大半を運用資産から出してしまい、現金が薄い
・資産配分を決めていないので、下落局面で売る/上昇局面で買うが起きる
順序リスクは、相場というより「運用の運転ミス」で大きくなります。だからこそ、仕組みで防ぐのが効果的です。
順序リスクを和らげる“現実的”な5つ
順序リスクはゼロにはできません。ですが、ダメージを小さくする工夫はできます。私が重視しているのは、派手なテクニックではなく「仕組み化」です。
1)取り崩し用の現金(バッファ)を先に作る
最強の対策はこれだと思っています。相場が悪い時に売らないための“時間”を、現金で買う。
目安は人それぞれですが、私は「生活費の1〜2年分くらい」を意識して、現金比率を一定に保つようにしています。現金は利回りが低い代わりに、暴落時の精神安定剤になります。
ここで大事なのは、「生活防衛資金」と「取り崩しバッファ」を混同しないこと。生活防衛資金は病気や失職などの非常用。取り崩しバッファは“相場が悪い年に売らない”ための資金です。役割が違うので、私は別物として管理しています。
2)資産配分を「積立期のまま」にしない
順序リスクが一番怖いのは、取り崩し直前なのに株式100%に近い状態のまま走ってしまうことです。
私は基本、長期・分散・低コストのインデックス派ですが、年齢が上がるにつれて「値動きの小さい資産(現金・債券など)」を混ぜる意味は増えます。
重要なのは“当たる予想”ではなく、“続けられる配分”です。
よく「結局、株式比率は何%?」と聞かれますが、正解は人それぞれ。私の基準はシンプルで、「暴落時でも売らずに暮らせるか」。この一点で配分を決めています。
3)取り崩しルールを「固定」から「柔軟」に変える
よくあるのが「毎年、資産の○%を取り崩せばOK」みたいな固定ルール。便利ですが、暴落直後にも同じ金額を引き出すと、順序リスクを増幅させます。
現実的には、次のような“ゆるいルール”が効きます。
・相場が大きく下がった年は、取り崩し額を少し減らす
・生活費の中で削れる項目(外食・旅行・サブスクなど)をあらかじめ決めておく
・資産が回復したら、取り崩し額を戻す
・臨時支出は「翌年以降に分割」できないか検討する
要は「下がった時だけ、少し我慢できる仕組み」を先に作ること。気合では続きません。家族の理解も必要なので、私は“我慢する候補”を事前に言語化しています。
4)バケツ(バケット)+リバランスで“売る順番”を決める
順序リスクは「何を、どの順番で売るか」が鍵です。私が分かりやすいと思うのは、バケット(バケツ)戦略。
・バケツ①:直近の生活費(現金)
・バケツ②:数年分のクッション(値動き小さめ資産)
・バケツ③:長期成長を狙う(株式インデックス)
考え方は単純で、相場が悪い年は①と②でしのぎ、③は売らない。逆に相場が良い年に③が増えたら、少し利益確定して①②を補充する。これを“リバランス”として仕組みにしておくと、感情で売買しにくくなります。
5)「働く」と「年金」を出口設計に組み込む
50代の強みは、まだ働けることです。完全リタイアにこだわらず、数年でも収入があるだけで、順序リスクは大きく下がります。
私も、FIREという言葉に憧れはあります。でも“逃げ切り戦略”としては、
・定年まで働く(あるいは少し延長する)
・副業は無理せず、収入源を細くでも増やす
こういう地味な方が、結果的に強いと思っています。
そして、公的年金は老後の“下支え”になる最大の仕組みです。繰上げ・繰下げは家庭事情で最適解が変わりますが、少なくとも「いつから受け取るか」を資産取り崩し計画とセットで考えるだけで、順序リスクへの耐性は上がります。
よくある誤解:配当があれば順序リスクは消える?
「配当で生活できれば売らないから安全」と言われることがあります。気持ちは分かりますが、私は万能薬ではないと思っています。
・配当は企業の業績次第で減ることがある
・高配当を狙うほど、業種や地域の偏りが出やすい
・配当が出ても、株価下落が重なると資産全体は減る
結局、順序リスクの本質は「相場が悪い年に現金が必要になったとき、どうするか」です。配当は助けになりますが、現金バッファや取り崩しルールとセットで考えるのが現実的だと感じています。
私が今やっている“順序リスク対策”の現実
理屈は分かっても、完璧な対策はできません。私も株式中心で運用していて、相場次第で資産は大きく上下します。
それでも、以前より怖さが減ったのは次の3つを「先に決めた」からです。
・暴落時に売らないための現金バッファを持つ
・毎月の積立は少額でも継続する(新NISA中心)
・取り崩しの“ルール案”を紙に書いておく(下落時は節約で調整)
家計には、教育費や急な出費もあります。だからこそ、投資で利回りを追いすぎず、守りを固める。50代の投資は「勝ちに行く」より「負けない」ほうが大事だと感じています。
まとめ:順序リスクは「利回り」ではなく「設計」で減らす
順序リスクは、運用成績が悪いから起きるわけではありません。むしろ、平均利回りが良くても、タイミングが悪いだけで資産寿命が縮むのが怖いところです。
だから私が意識しているのは、相場を当てることではなく、
・下落局面を“やり過ごす時間”を現金で買う
・資産配分を続けられる形にする
・取り崩しを固定せず、生活側で調整できるようにする
・売る順番をバケットとリバランスで決めておく
この4点です。
50代は、資産形成のラストスパートと、取り崩し準備のスタートが同時に来ます。順序リスクを知っているだけで、「相場が悪い年に売らない」判断がしやすくなる。今日からできる対策から、少しずつ整えていきましょう。
にほんブログ村に参加してます。クリックして頂くと有り難いです。

