はじめに:積立を減らしても“投資をやめない”理由
新NISAが始まった2024年、私は月33,333円を積み立てていました。しかし2025年、教育費や物価上昇で家計に負荷がかかり、積立額を13,000円に減額。内訳は「オルカン1万円」「S&P500に3,000円」。
正直、減らすと“負けた気分”になります。それでも私が積立を続けるのは、投資の本質が「時間を味方につける行為」だからです。やめた瞬間、複利の時計が止まる——これだけは避けたい。
50代の家計現実:現金フローを優先する
私の家庭は賃貸暮らし、妻は専業主婦、子どもは高校3年生と中学2年生。学費や受験費用、通学・通信費、保険料も重なり、一時的に100万円規模の支払いが発生しました。
ここで積立を維持するより、現金フローの安定を優先する方が合理的です。投資は余剰資金で行うもの。家計がきしむなら、入金力を守るために一時的に減らす判断が必要です。
減額=撤退ではない。仕組みを壊さない調整だ
積立を完全停止すると、再開の心理的ハードルが上がります。いっぽうで「少額でも続ける」なら、口座・銘柄・設定はそのまま。私はここを重視しました。減額のポイントは次の3つです。
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固定費の上に投資を置かない:通信・サブスク・保険を見直し、投資は余剰で淡々と。
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キャッシュクッションを厚めに:生活費6〜12カ月分の現金を優先確保。相場急変時の狼狽売りを防止。
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自動積立は稼働し続ける:ゼロにしない。最低額でも“習慣”を絶やさない。
配分をシンプルにした理由(オルカン+S&P500)
減額と同時に銘柄を整理しました。採用基準は「分散」「低コスト」「継続のしやすさ」。
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全世界株式(オルカン):一本で地域分散。日本円ベースの私にとって、為替・地域の偏りをならす効果が大きい。
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S&P500:世界時価総額の中核。米国比率を“追加”で持つイメージ。
比率はオルカン:S&P500=約3:1。これなら相場観を持ち込まずに済み、日々の判断を削減できます。50代は時間と集中力が有限。迷いを減らす設計がパフォーマンスに効きます。
続けるための“家計×投資”マイルール
私は次の5つで運用をルーティン化しています。
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自動化:証券口座へ給与天引き→毎月同額で自動買付。手動はミスの元。
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年1回の見直し:増減・銘柄変更は原則1月の年次点検のみ。頻繁な調整は成績を悪化させやすい。
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現金バッファの監視:生活費残高が3カ月を割りそうなら、積立を一段階だけ下げる。反対に余裕が戻れば戻す。
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信用・レバレッジは使わない:下落局面の追加資金を確保するためにも、身の丈運用を徹底。
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情報の摂り過ぎを防ぐ:SNSは1日15分。人と比べない。投資は競争ではない。
減額の効果:メンタルの安定が最大のリターン
金額を落とすと“増えるスピード”は鈍ります。しかし、継続率とメンタルは大きく改善します。入金のプレッシャーが下がると、下落時でも積立を止めにくい。結果として「安い時に買い続ける」という、ドルコスト平均法の核心を守れます。私はこの1年、積立を止めずに済んだことで、評価損に耐えるストレスが目に見えて減りました。
シミュレーションで腹落ちさせる
仮に月1.3万円を20年、年率5%で運用すれば将来値はおよそ約427万円。月3.3万円なら約1,084万円(どちらも税引前、単純計算)。差はありますが、重要なのはゼロにしないことです。ゼロは“複利の破断”を意味します。家計が厳しい時期はリズムを保ち、余裕が戻ったら段階的に増やす。これが現実的な戦い方です。
支出サイドのチューニングで“入金力”を回復させる
積立額だけをいじるのではなく、固定費の最適化にも手を入れます。
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通信:家族のギガを見直し、不要なオプションを解約。
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保険:過剰保障を削り、ネット保険へ乗り換え。医療は高額療養費制度を前提に最小限。
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キャッシュレス:特典狙いの多重カードは整理。管理コストは見えない赤字。
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住まい:賃貸の更新時に相場を確認し、割高なら交渉か住み替え検討。
支出の骨格を締め直すことで、将来の“増額余地”をつくれます。投資より先に家計改善。これが50代の順番です。
それでも続ける理由——“逃げ切り”のために
私はFIREではなく逃げ切り戦略を選びました。つまり、働けるうちは働きつつ、投資は無理なく続け、年金と運用益で老後の不安を最小化する考え方です。
減額はそのプロセスの一部にすぎない。むしろ家計の安全率を高め、“続けられる設計”を守る行為です。積立額の大小より、続けた年数の方が将来の差を決めます。
まとめ:減らす勇気、続ける仕組み
積立額を減らすのは敗北ではありません。家計の安全を確保し、複利の時計を止めないための前向きな調整です。50代の私たちに必要なのは、他人と比べず、淡々と積み立てる日常。固定費を整え、現金クッションを厚くし、オルカンとS&P500でシンプルに継続する。——この地味な設計こそ、老後の安心を近づける最短ルートだと私は考えています。
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