「貯金より負債の方が多い世帯はどのくらい?」結論はシンプル。日本では二人以上世帯の約4割が負債を抱えています。若年層に偏っており、30〜40代前半は純資産がマイナスに振れやすいのが現実です。本記事は賃貸暮らし前提で、最新統計に基づく実態と、今日からできる家計の整え方をやさしく解説します。
1. 日本の世帯で負債を抱える割合は約4割
総務省「家計調査(貯蓄・負債編)2024年」によると、二人以上世帯で負債を保有する割合は38.8%。10世帯中およそ4世帯という水準です(2025年5月公表)。この“負債”には住宅・教育・自動車など目的ローンが含まれ、借金=悪とは限りません。
重要なのは、毎月の負担と資産形成のバランスです。家計の全体像を“フロー(収支)”と“ストック(資産負債)”で分けて確認するだけでも、次の一手が見えやすくなります。
2. 純資産マイナスは若年層に集中
J-FLEC(旧 金融広報中央委員会)の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」では、年齢別にみて50歳未満は負債が貯蓄を上回りやすい傾向が表れます
いっぽう50代以降は支出の山を越え、純資産がプラスへ転じやすくなります。30代のうちに“仕組み化”を作れば、40代の負担期も乗り切りやすくなります。
3. 年齢別の負債・貯蓄バランス(ざっくりの見取り図)
若いほど負債が多く、年齢が上がるほど貯蓄が厚くなるのが一般的な流れです。特に30代〜40代前半は家計の“負担期”。
この時期は「住居費の見える化」×「少額でも積み立て継続」が最適解。賃貸派でも、資産形成は十分に可能です。実際、私は“固定費の棚卸し→つみたて自動化→年1回の総点検”の順番で整えたところ、赤字月が劇的に減りました。
4. 賃貸暮らしの住居費|“家賃”と“投資”を同時に回す
結論は、住居費を守りつつ投資も回すこと。どちらか片方だけでは長続きしません。
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家賃KPI:手取りの25%目標(上限30%)。共益費・家財保険・更新料の月割りも含めて“住居費”として管理。
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更新料・退去費の月割り:更新料が家賃1か月/2年なら家賃÷24を毎月積み立て。退去時の原状回復費・引越費も家賃1〜2か月分をバッファに。
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固定費の軽量化:不要な付帯サービスの解約、ネット回線と家財保険の見直し。私は更新のたびに見直して月3,000〜4,000円を捻出し、新NISAへ回しました。
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家賃交渉の基本:更新3か月前は交渉余地が出やすいタイミング。近隣相場・空室率・築年数を材料に“据え置きor微減”を打診。
5. 債務とどう向き合う?(住宅ローンなし前提)
賃貸派でも、高金利の債務から順に雪崩式で返済がおすすめ(リボ→カード分割→自動車→奨学金など)。ただし、返済最優先にし過ぎて貯蓄をゼロにするのは逆効果。まず生活防衛資金(6〜12か月)を確保し、そのうえで新NISAのつみたてを最低額でも自動化。
返済と投資を両輪で回すのが実務的です。クレカのリボ・分割は繰上げ返済の候補No.1。完済後はリボ自動設定をOFFにして再発を防止します。
6. 住居費“率”セルフチェック(1分でOK)
式はシンプル。
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住居費率=(家賃+共益費+家財保険月割+更新料月割)÷手取り月収×100
25%以内がひとつの目安。 -
30%を超えるなら、(1)部屋のグレード調整(2)立地の再考(3)固定費カットのいずれかで調整しましょう。ボーナスはあてにせず、平時の可処分所得で成り立つ家賃が安全圏です。
ミニ計算例(賃貸)
手取り28万円・家賃9万円・共益費0.5万円・家財保険と更新料の月割0.3万円 → 住居費率=34.6%。
→ 次の更新までに-5,000〜-1万円の家賃レンジへ見直す、もしくは固定費を再設計して30%前後まで下げる。浮いた5,000円は新NISAの自動積立に回す。
7. よくある誤解と落とし穴(賃貸版)
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「投資は家を買ってから」:賃貸でも複利は同じ。つみたて開始が1年遅れるほど将来の資産差は広がります。
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「更新料はその時に考える」:月割り積立で“更新ショック”をゼロに。
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「相場は読める」:相場予想に時間を使うより、“住居費率25%”と“自動積立”の仕組み化が効きます。
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「格安物件が最適」:通勤・通学・医療・買物のアクセス悪化で時間と交通費が増えると本末転倒。総コストで判断。
8. 今日からできる“賃貸向け”3アクション
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更新カレンダー登録:更新の3か月前にリマインド。相場チェック→交渉→継続/乗換を準備。
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住居費の“月割り化”:更新料・退去費を毎月積み立て、“突発支出”をなくす。
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つみたての先取り:給料日に新NISAの自動積立を設定。「残りで生活」が続けるコツ。
9. 50代以降を見据えた“賃貸の老後設計”
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家賃の段階ダウン:55→60→65歳で、住居費率を25%→20%へ下げる計画。
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入居審査への備え:高齢期は保証会社・緊急連絡先を事前に整備。UR/自治体住宅/サ高住などを早めに情報収集。
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“持たない”代わりに“育てる”:住居は負債化しない分、運用資産を厚く。成長投資枠の活用も段階的に。
10. まとめ|賃貸でも、資産は増やせる
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二人以上世帯の約4割が負債を保有(2025年5月公表の最新年報)。
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50歳未満は純資産マイナスに振れやすいが、50代以降はプラスへ転じやすい。
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賃貸派の鍵は、住居費率25%目標と新NISAの自動積立、そして高金利債務からの返済。
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“仕組み化”でムラを消し、少額でも時間を味方に。
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