50代になると、「老後資金はいくら必要か?」という話題が嫌でも耳に入ってきます。
2,000万円問題、年金の減額、物価上昇…。どれも無視できない現実です。私も例外ではなく、長年の節約と投資でようやく総資産が7,000万円台に届いたところです。
しかし最近、「お金」よりも大切なものがあるのではないかと感じるようになりました。それが、“時間資産”です。
■ お金は増やせても、時間は増やせない
若い頃は「時間を切り売りしてお金を稼ぐ」のが当たり前でした。
仕事に追われ、家族との時間も削り、休日は疲れ切って寝て過ごす。それでも「将来のために仕方ない」と思っていました。
けれど50代になって思うのは、「お金は貯まっても、時間は戻らない」という当たり前の事実です。
健康寿命を考えると、人生で“自由に動ける期間”は意外と短いものです。
仮に80歳まで生きるとしても、体力的にも精神的にもアクティブに動けるのは、せいぜい70代前半まででしょう。
そう考えると、あと20年ほどしか「自分の時間」を自由に使える期間は残っていません。
■ “時間資産”とは何か?
私は“時間資産”を、「お金を使ってでも手に入れる自由な時間」と定義しています。
例えば、職場で無駄な残業を断ること。家事を家電や外注に任せること。週末に副業や自己投資の時間を確保すること。
これらはすべて、“お金を使って時間を買う”行為です。
50代になると、どうしても「節約脳」が強くなります。
「自分でやれば0円だから」と何でも抱え込んでしまいがちです。
しかし、1時間を節約しても、その時間を“自分のために使わない”のなら意味がありません。
むしろ、精神的な余裕を失い、体調を崩すリスクの方が大きいでしょう。
■ お金に働いてもらい、時間を取り戻す
ここ数年、新NISAで積立を続けてきました。
オルカンとS&P500を中心に、毎月1万円と3,000円ずつ積み立てています。
正直、若い人から見れば少ない額でしょう。
しかし、50代の私にとって重要なのは「リターン」よりも「時間の自由」です。
投資の目的を「お金を増やすこと」から「自分の時間を守ること」へと切り替えると、考え方が大きく変わります。
相場が下がっても焦らず、仕事に縛られない生き方を意識できるようになるのです。
これは、いわば“精神的な配当”とも言える効果です。
たとえば、株価が下落しても慌てて売らない。
「このお金は10年後の“自由時間”を買うためのもの」と考えると、短期的な値動きに振り回されなくなります。
投資とは結局、自分の時間を先取りする行為なのかもしれません。
■ 老後資金よりも、残り時間の使い方を考える
仮に老後資金が1億円あったとしても、体を壊してしまえば意味がありません。
旅行にも行けず、美味しいものも食べられない。
そう考えると、「健康」「人間関係」「時間の余裕」こそが本当の資産です。
私は最近、意識的に「時間の断捨離」を始めました。
・意味のない会議には出ない
・SNSの閲覧時間を減らす
・休日の午前は“自分のためだけに使う”
これを続けるだけで、気持ちがずいぶんと軽くなりました。
時間の主導権を取り戻すと、日々の生活が前向きになります。
もう一つ大切なのは、“人との時間”です。
子どもたちが成長し、家族で過ごす時間は確実に減っていきます。
だからこそ、今のうちに「一緒にご飯を食べる」「小さな旅行に行く」など、意識して時間を共有するようにしています。
後になってから取り戻すことはできません。
■ “時間資産”を増やす3つの実践法
1つ目は、やめる勇気を持つこと。
惰性で続けている習慣や人間関係を見直すと、驚くほど時間が生まれます。
2つ目は、お金の使い方を変えること。
モノを買うより、体験や学びに使う。これは精神的なリターンをもたらします。
3つ目は、小さな自動化を進めること。
積立投資や家計簿アプリの活用、家電の導入など、“考えなくても回る仕組み”を作ることです。
こうして浮いた時間を、自分や家族のために使う。
これこそ、50代からの「本当の投資」だと思います。
■ お金よりも「時間に余裕のある生活」を目指して
もし今の仕事がつらいなら、年収を少し下げても時間を確保する道を考えてもいい。
副業やセカンドキャリアを通じて、生活リズムを変えるのも一つの選択肢です。
重要なのは、「何を持っているか」ではなく「どう生きるか」。
私は、これからの人生で“やらない後悔”を減らしたいと思っています。
それは大きな挑戦ではなく、「家族と過ごす」「趣味に没頭する」「健康を維持する」といった小さな時間の積み重ねです。
その延長線上に、“心の余裕”という資産が積み上がっていくのだと感じます。
将来への不安を完全に消すことはできません。
しかし、“時間資産”を意識して行動すれば、心の豊かさは確実に増していきます。
老後の安心とは、通帳の残高ではなく、「自分の時間を自分で選べる自由」なのだと思います。
■ まとめ
50代になると、お金の心配は尽きません。
それでも、老後の本当の安心は「資産額」ではなく、「自由時間の多さ」にあると感じています。
積立投資でお金を増やしつつ、時間の使い方も見直す。
この2つを両立できれば、老後はもっと穏やかで満たされたものになるでしょう。
そして何より、“今この瞬間をどう過ごすか”を大切にしたい。
それこそが、50代の私たちが手にできる、最大の“時間配当”ではないでしょうか。
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