資産5,000万円を年利5%で運用すれば「毎月20万円が入ってくる」――Xでよく見るこの話、計算だけなら成立します。
でも現実は、税金・値動き・取り崩し順序リスクがあるので、“そんなに簡単な世界”にはなりません。
この記事では、なぜズレるのかを数字で整理しつつ、50代でも使える現実的な出口戦略までまとめます。
資産5,000万×年利5%=毎月20万?まずは計算してみる
単純計算はこうです。
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5,000万円 × 5% = 年250万円
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年250万円 ÷ 12 = 月約20.8万円
この時点では「ほら、いけるじゃん」と感じますよね。
ただし、ここで気づいておきたいのは “年利5%”と“毎月20万円が安定して入る”は別物 という点です。
落とし穴①:税金が引かれると手取りは一気に減る
株の配当や売却益には原則、20.315% の税金がかかります(所得税+住民税+復興特別所得税)。
※NISA口座なら非課税ですが、課税口座(特定口座など)ではこの税率が基本です。
たとえば「毎月20万円(年240万円)を手取りで欲しい」とすると、税引前で必要な利益はこうなります。
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240万円 ÷(1−0.20315) ≒ 約301万円
つまり資産5,000万円で見ると…
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301万円 ÷ 5,000万円 = 約6.0%
税引後で月20万円を“確実に”出そうとすると、年利6%級が必要 になります。
ここでまず、投稿の“簡単さ”が崩れます。
落とし穴②:「配当で毎月20万」はさらに難易度が上がる
SNSでよくある誤解がこれです。
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年利5%=配当5%が毎年入る
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だから生活できる
でも現実の株式投資のリターンは、配当+値上がり益(トータルリターン) の合計です。
しかもインデックス投資(S&P500や全世界株)を中心に考えるなら、「毎月安定配当」は前提にしづらい。
さらに、オルカン(全世界株の代表格)は分配金を出さない(もしくは極めて少ない)運用が基本で、収益は基準価額に反映されるタイプです。
つまり「入ってくる」ではなく、「増えていく(かもしれない)」が基本なんですよね。
高配当株や配当系ETFに寄せれば現金は得やすいですが、その代わり…
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減配リスク
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セクター偏り(金融・エネルギーなどに寄りがち)
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株価下落のダメージが大きい
といった“別の難しさ”が出てきます。
落とし穴③:年利5%は「毎年5%」ではない(ここが本丸)
もっと大きい落とし穴が、リターンのブレです。
S&P500のような株式市場は、上がる年もあれば下がる年もあります。
直近が好調だと「年5%なんて余裕」に見えますが、現実はそんなに整ったグラフにはなりません。
ここで大事なのは、下がった年でも生活費は待ってくれないということ。
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資産が下落している
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それでも毎月20万円を取り崩す
→ 取り崩し量が“割合として”大きくなり、回復が遅れる
これがいわゆる 取り崩し順序リスク(シーケンス・リスク) です。
「平均では年5%」でも、取り崩しを始めるタイミングが悪いと、資産寿命が一気に短くなります。
よくある勘違い:「年5%で回す」=「利息生活」
銀行預金の利息のように、元本が減らずに利息だけが毎月チャリンと入る…そんなイメージが広まっています。
でも株式の5%は、ほとんどが 価格変動込みの結果 です。
たとえば年5%の“期待”でも、こんな年は普通にあります。
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年間 −20%(評価額がガクッと落ちる)
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その状態で生活費を取り崩す
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その後に回復しても「売った分の口数」は戻らない
この “口数が減った状態で回復を待つ” のがツラいところ。
出口戦略は、数字の設計であると同時に メンタルの設計 でもあります。
落とし穴④:月20万円=年間240万円は、元本の4.8%
資産5,000万円から年240万円取り崩すのは、取り崩し率に直すと…
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240万円 ÷ 5,000万円 = 4.8%
FIRE界隈で有名な「4%ルール」がよく比較対象になりますが、最近はインフレや相場環境を踏まえて、3.5%程度の“修正版” を推す話も増えています。
4%ですら条件次第、なのに 4.8%を固定で続けるのは、わりと攻めた設計です。
もう1つの盲点:投資信託のコストと為替
インデックス投信は信託報酬が低いのが魅力ですが、それでもゼロではありません。
低コストでも長期では“じわじわ効く”のは事実です。
さらに全世界株や米国株は、円ベースだと 為替 の影響も受けます。
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円高になれば、円換算の資産は目減りしやすい
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円安なら増えやすいが、生活費(国内支出)も上がる可能性
「年利5%」は、こうしたコストや為替を丸めた“理想値”として語られがちです。
じゃあ現実的に「いくら入ってくる」のが妥当なのか?
夢を壊すだけじゃ意味がないので、現実的な目安も置きます。
資産5,000万円の場合、取り崩し率を安全寄りにするとこうです。
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3.0%:年150万円(=月12.5万円)
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3.5%:年175万円(=月14.6万円)
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4.0%:年200万円(=月16.6万円)
しかもここから税金や手数料がかかるので、手取りベースだともう少し減るのが普通です。
「月20万円を安定で出したい」なら、資産側を増やすか、生活費側を調整するか、どちらかが必要になります。
50代向け:現実に寄せた“出口戦略”3つ
私は「一発で自由」より、守りながら続けるほうが強いと思っています。
50代なら特に、ここが肝です。
① 取り崩しを固定しない(“相場連動”にする)
毎月20万円固定ではなく、相場が悪い年は少し抑える。
これだけで資産寿命は伸びます。
② 現金クッションを作る(生活費1〜2年分)
暴落の年に株を売らないための保険です。
「現金は悪」と言われがちですが、出口では武器になります。
③ NISAを最大限活かす(税金の痛みを減らす)
税金20.315%は地味に効きます。
取り崩しフェーズでも、非課税枠の有無は手取りに直結します。
私ならこう考える:月20万円は“固定給”ではなく“上限目標”
月20万円を目標にするなら、私はこう割り切ります。
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ベース:月12〜15万円(安全寄り)
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好調年:月18〜20万円に上積み
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不調年:現金クッションで耐える
この形なら、相場に合わせて呼吸できます。
「毎月20万円を必ず出す」より、資産が長持ちしやすいです。
まとめ:簡単に見えるのは「条件が3つ省略されているから」
資産5,000万円で月20万円が“入ってくる世界”は、次の3点を無視すると成立して見えます。
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税金(20.315%)
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値動き(毎年5%ではない)
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取り崩し順序リスク(暴落中の取り崩し)
逆に言えば、この3つを織り込めば、現実的な戦略に変わります。
月20万円を目標にするのは悪くない。でも 「簡単」と思った瞬間に事故るんですよね。
堅実にいくなら、まずは “月15万円前後をベースに、相場が良い年に上積み” くらいが現実的。
そして何より、資産形成のゴールは「数字」ではなく、不安なく眠れる暮らしだと思います。
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