投資を始めたばかりの頃、私は毎日のように株価アプリを開いていました。上がればニヤニヤ、下がればソワソワ。結局、余計な売買をして手数料と税金を払うだけで、成績は安定しませんでした。
いまは50代の平社員。妻はパート、子どもは2人(高3・中2)で、教育費と生活費はまだ重たい。それでも総資産は8,000万円台まで来ました。派手な勝ち方はしていません。むしろ「株価を見ない時間」を増やして、長期・分散・低コスト(新NISA中心)を淡々と続けた結果だと感じています。
この記事では、「株価を見ないほうが増える」と私が思う理由と、50代向けの“メンタル投資術”を、できるだけ再現しやすい形でまとめます。
なぜ「株価を見ないほうが増えやすい」のか
株価は短期ではノイズが多く、見れば見るほど感情が揺れます。行動ファイナンスでは、損失の痛みを強く感じる性質(損失回避)に加えて、評価頻度が高いほど株式を避けやすくなる「マイオピック・ロス・アバージョン(近視眼的損失回避)」が指摘されています。頻繁に成績を確認すると“小さな負け”を何度も目撃し、必要以上にリスクを下げてしまう、という話です。
さらに、投資家の実際の行動が指数のリターンに追いつかない「行動ギャップ」を示すレポートもあります。長期では上がっているのに、途中で売ったり買い直したりして取り逃す、という典型例です。
要するに、株価を見すぎるほど「やらなくていいこと」をしがち。50代は仕事も家庭も忙しく、判断力(メンタルの余力)も有限です。だからこそ、“見ない仕組み”が効きます。
私がやめた「増えない行動」3つ
1)毎朝の株価チェック
通勤電車で赤い数字を見るだけで、その日一日が重くなります。株価に仕事の集中力を吸い取られるのは、コスパ最悪でした。
2)ニュースの“煽り”で売買
「暴落が来る」「今が天井」みたいな見出しに反応し、売っては買い直す。結局、底で売って高値で戻るパターンが多かったです。
3)含み益・含み損で人格が変わる
含み益のときは強気、含み損のときは弱気。人間の心理として自然ですが、投資としては逆回転になりやすい。
50代の“株価を見ない”メンタル投資ルール
ここからが本題です。「見ない」と言っても、完全放置ではありません。見る回数・見る目的を固定し、判断のブレを減らします。
ルール1:見るのは“月1回”に決める
私は月末にだけ、資産配分と積立状況を確認します。日次の上下は見ません。確認するのは「計画通り積み立てたか」「比率がズレていないか」だけ。見る項目が少ないほど、余計な判断が減ります。
ルール2:買うのは新NISAの積立が中心
相場を当てるのは難しいので、ドルコスト平均で淡々と買う。私自身、家計の事情で積立額を減らした時期もありますが、ゼロにしないことを優先しました。
ルール3:売る条件を先に書いておく
売るかどうかを相場の気分で決めると失敗します。私の場合は「生活防衛資金を割ったら新規投資を止める」「目的(老後資金)に近づいたらリスク資産比率を落とす」など、先にルール化します。
ルール4:下落は“予定通り”だと再定義する
長期投資の下落は異常ではなく通常運転。下落局面で耐える力がリターンを左右します。
ルール5:SNSは「投資の調味料」にする
情報は役に立つ一方、感情も伝染します。私はSNSを見る時間を決め、相場の実況を追わないようにしています。見るなら制度変更や手数料など“行動につながる情報”だけ。
ルール6:チェックするのは「株価」より「家計」
50代は入金力が資産形成のエンジンです。株価を当てるより、固定費と教育費の波を把握し、無理なく続ける。賃貸暮らしなら住居費も含めて家計の見直しが効きます。
ルール7:リバランスは年1回で十分
資産配分が大きくズレたら、年1回だけ整える。頻繁にいじらない。これだけで“余計な売買”をかなり防げます。
株価を見ないための「仕組み」5つ
気合いより仕組みです。私が実際に効いたものを5つ。
1)価格通知を全部OFFにする
上昇通知も下落通知も、心を動かすだけで得がありません。「通知=売買の引き金」になりやすいので、まず遮断します。
2)証券アプリをホーム画面の奥に隠す
手が伸びる場所にあると負けます。私はアプリをフォルダの2階層目に移し、普段は見えない状態にしました。たったこれだけで、チェック回数が目に見えて減ります。
3)積立日を給料日の翌週に固定する
積立日がバラバラだと「今月は買ったっけ?」と気になってログインします。給料日の翌週など、生活リズムとセットにすると確認が不要になります。
4)口座ログインは“二段階”にする
パスワードを自動入力にしない、あえてワンテンポ遅くする。面倒を増やすのが目的です。手間があると、衝動ログインが減ります。
5)「暴落時の行動」を紙に書いて貼る
暴落時ほど判断がブレます。私は「やること:積立を継続」「やらないこと:一括で取り返そうとしない」と短く書いて、目に付く場所に貼っています。
暴落が来たときの“やること/やらないこと”
株価を見ない方針でも、暴落は避けられません。だから、事前に手順を決めます。
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やること:生活防衛資金(現金)の残高を確認する
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やること:積立設定が止まっていないかだけチェックする
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やらないこと:下落理由を追いかけ続ける(情報の沼)
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やらないこと:短期で取り返すためのレバレッジや信用取引
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やらないこと:SNSの悲観実況を見続ける
暴落は怖いですが、長期の株式投資では「下落を経験しないと、上昇局面の果実も取れない」という現実があります。頻繁に評価しすぎると、怖さが増幅され、途中で降りやすくなる点は研究でも示唆されています。
それでも「見ていい」タイミングもある
株価を見ないのはメンタルのためですが、次のタイミングは例外としてOKにしています。
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生活のイベント(学費・引っ越し等)で現金が必要になったとき
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資産配分が目標から大きく外れたとき(例:株式比率が上がりすぎた)
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制度変更(新NISAのルール、手数料改定など)を確認するとき
ポイントは、見る目的が「怖いから確認」ではなく「行動の判断材料」になっているかどうかです。
「見ないと不安」な人は、見るものを変える
私も最初は「見ない=放置=危険」だと思っていました。そこで発想を変えて、株価ではなく“仕組みの健全性”だけを確認するようにしました。
月末5分チェックリスト(これだけ)
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積立が実行されているか(自動引き落としの結果だけ)
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資産配分が目標レンジ内か(±数%のズレなら放置)
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生活防衛資金が減っていないか(家計側の安全確認)
逆に、個別銘柄の値動きや短期ニュースは見ません。見るほど判断が増え、判断が増えるほどミスが増える。これは私の失敗からの結論です。
50代の投資は「増やす」より「減らさない」
20代・30代なら攻めの入金とリスクも取りやすい。でも50代は、教育費・親のこと・仕事の先行きなど“想定外”が増えます。だから私は、レバレッジや信用取引のように一撃で崩れる選択肢は取らないと決めています。
株価を見ないのは、逃げではなく防御です。メンタルを守ることで、継続できる。継続できれば、結果的に増えやすい。遠回りに見えて、これがいちばん再現性が高いと思っています。
まとめ:50代は“情報”より“継続”が勝つ
株価を見ないほど増えやすい、というのは魔法ではありません。頻繁な評価が不安と売買を誘い、長期のリターンを削るからです。
私は、派手な勝負をやめて「見ない仕組み」を作ったことで、投資が生活のノイズにならなくなりました。50代はメンタルの余力が貴重です。相場を当てるより、続けられる仕組みを一緒に作っていきましょう。
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