新型コロナウイルスによる経済的なダメージからの回復は政府の経済政策にかかっている
新型コロナウイルスによる感染防止のために7都道府県で緊急事態宣言が出されました。街中では繁華街に足を運ぶ人が減り、飲食店などではしばらく閉店するお知らせの張り紙が貼られて、閉店しているお店も増えました。
市場は落ち着いてきている
日本政府の経済対策の内容が発表されてきてますが、市民には受け入れがたい内容になっており、内閣支持率も下がってきております。しかし、日経平均株価を見ると、2020年4月10日現在で19,000円代前半で推移しており、大きく下げることがなく底堅い値動きになっています。
ただ、日本銀行のETF買いがどれくらい支えているのか分かりませんが、現在の経済対策の内容は市場に織り込まれているはずなので、今のところ市場は好感も悲観もしていない状況かと思います。
経済が完全に低迷してからの対応では遅い
2020年の1月〜3月期のGDP(国内総生産)は、2020年5月18日(月)に一次速報の発表があります。この頃に実体経済の影響が見えてきます。しかし、実際にはそれまでに中小企業の資金繰りの悪化が顕著になってくるかと思います。
企業の資金繰りが苦しくなると信用リスクの高まりから、受注してもらえなくなったり、担保価値が下がり追加担保が必要になったりと、あらゆる面で経済が縮小方向に向かっていきます。これぐらいの時に政府が大型の財政支援をしないと恐らく経済が建て直るまでに時間を要してしまいます。
日本は過去、バブル崩壊から景気回復まで相当な時間がかかった
日本はバブル崩壊で失われた20年というような長い経済の停滞を続けました。このバブル崩壊の回復に時間がかかった背景は明らかに国の政策的の失敗にあります。
大きなことでは、
①公定歩合の引き下げが遅れた
②1993年からの円高進行
③早めの金融緩和中断
にあります。
①公定歩合の引き下げが遅れた
日本銀行はバブルが崩壊してから1年半経過した1991年7月に公定歩合を6%から5.5%に引き下げました。対応が遅い上に中途半端な引き下げになってしまいました。そのため、日本銀行は、
・1991年11月に5.5%から5%
・1991年12月に5%から4.5%
・1992年4月に4.5%から3.75%
・1992年7月に3.75%から3.25%
・1993年2月に3.25%から2.5%
・1993年9月に2.5%から1.75%
と小出しに実施してきました。
バブル崩壊から1年半もの間、高金利を維持した対応をとったことは初動が失敗したと言えます。
政府の財政政策は、今後も注目する必要がある
今回の新型コロナウイルスによる財政出動のタイミングが遅れたら、恐らく景気低迷が長引くのではないでしょうか。また、中途半端で小出しにするような政策をとると、事態は深刻になっていきます。一度、景気低迷が深刻になった場合、回復させるには時間がかかります。
②円高の進行
1993年1月にクリントン政権が誕生しました。クリントン政権は米国企業の再生のためドル安政策を取りました。これについても日本の景気回復に大きな影響をあたえました。
今後円高に進む公算が高い
今回の新型コロナウイルスによりFRB(連邦準備制度理事会)はゼロ金利政策に踏切、政策金利を0%〜0.25%としました。日本は既にマイナス金利政策を取っているので、金利を引き下げる余地がありません。
なので、内外の金利差が縮まり円高に向かう公算が高いです。円高に向かうと輸出企業などは収益を圧迫しますので、株価低迷になる恐れがあります。
③早めに金融緩和中断
先にも述べましたが日本銀行は公定歩合を段階的に下げてきました。1993年9月には1.75%まで引き下げましたが、1995年の4月まで金融緩和を止めてしまいました。1995年4月にようやく公定歩合を1.75%から1%に引き下げ、9月には0.5%にしています。
このように景気が少し回復基調になっている時に景気に水を差すようなことをしてはいけないのです。
消費増税はまずかった
今の政府で言えば消費増税がそれにあたります。景気の指標が良くなっている時に2019年10月1日に消費税を8%から10%に上げました。それにより10月から12月のGDP(国内総生産)の値が大きく下がりました。
その影響を抱えたまま、今回の新型コロナウイルスなので去年からすると大きく景気後退することは明らかです。
最後に
バブル崩壊のように不良債権が顕在化しているわけではないので、同一に述べることは出来ませんが、今後、政府の対応の遅れにより金融破綻などが出てきたら深刻な事態になります。
日本株は我慢が続くと予想
過去のバブルの立ち直りの過程を見ても、日本政府は大胆な政策や迅速な対応に期待が出来ないところがあり、景気的には不安材料が大きいです。日本株に投資をしている人は我慢が続くことを覚悟する必要があります。
アメリカの回復は早いのではないか
ただ、アメリカは、過去に何度も金融危機に見舞われており、その度に回復してきました。また、金融危機の対応などの研究も進んでおります。今回は金融危機ではありませんが、大胆な景気対策をしてくるのはアメリカではないでしょうか。