50代で資産7,000万円──世間から見れば“上位15%”の現実
50代で資産7,000万円。世間的には立派な数字で、「老後はほぼ安心」と思われがちです。しかし、実際にこの立場になってみると、数字が示す“恵まれた感じ”と、生活の体感はまったく違います。
私は賃貸暮らしの50代サラリーマン。役職はなく、平社員。妻は専業主婦で、高校3年生と中学2年生の子どもがいます。いわゆる「教育費ピーク世代」で、支出は増えるばかり。
こうした状況では、7,000万円という資産があっても「家計に余裕がある」と胸を張って言えるかというと、正直かなり難しいのです。
まず、野村総研の分類では、純金融資産5,000万〜1億円が“準富裕層”です。私はその範囲に入りますが、同じ50代の中央値は1,000万円台。平均値ですら3,000万円前後。数字だけを見れば、確かに私は“上位層”に入るでしょう。
しかし、ここには落とし穴があります。
資産額と「毎月の余裕」はまったく別物だからです。
金融資産7,000万円はあっても、今まさに教育費が重くのしかかり、生活費も右肩上がり。毎月のキャッシュフローが苦しいなら、“心理的には中流のまま”という感覚が強いのです。
準富裕層でも生活はラクじゃない? 50代家庭の平均支出データ
50代の平均生活費は月30〜37万円が基本ライン
総務省の家計調査によると、50代夫婦+子ども世帯の平均消費支出は月30〜37万円。これはあくまで「平均の生活」であり、子どもが高校・中学に在籍中の家庭ではさらに上振れするのが一般的です。
我が家でも
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塾代
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模試・教材費
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部活動の費用
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通学の定期代
など、「教育関連だけで月4〜6万円」が固定でかかっています。
さらに、インフレによって食費は年々上昇しています。
外食をすれば家族4人で7,000〜1万円は当たり前。買い物も、以前よりカゴに入る量が少なくなっているのを実感します。
「節約していないのでは?」と言われることもありますが、むしろ私はかなり倹約寄りだと思っています。それでも支出が膨らんでいくのが50代の現実です。
賃貸暮らしの強さと弱さ──“自由”と“固定費”のトレードオフ
賃貸暮らしは、持ち家のように大規模修繕の心配がない反面、家賃は毎月確実に出ていきます。
首都圏なら、ファミリー向けで12〜14万円が相場。年間150万円以上の出費です。
賃貸のメリット
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修繕費が不要
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住み替えが容易
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管理の心配が少ない
賃貸のデメリット
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家賃を“生涯払い続ける”必要がある
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老後に家賃+物価上昇で支出がさらに膨らむ
私は持ち家のリスク(流動性の低さ・修繕費・売却の難しさ)を避けたい派ですが、その代わりに「固定費としての家賃」を重く受け止めています。
資産7,000万円の家計モデル──実際にどれだけお金が流れるのか
毎月の固定費(賃貸前提)をあらためて整理すると…
我が家の固定費は以下の通りです。
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家賃:13万円
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水道光熱費:2万〜2.5万円
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通信費:1万円台
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保険料(必要最低限):1万円前後
これだけで約17万円が確定支出として出ていきます。
ここに教育費が乗ってくるので、固定費が軽くても家計は決してラクではありません。
変動費が家計を圧迫する理由──“普通に暮らしても高い”のが2025年の現実
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教育費:4〜6万円
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食費:7〜8万円
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日用品・雑費:1〜2万円
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交通費・外食費:1〜2万円
このあたりは「贅沢をしている」というよりも、普通の生活をしていれば自然とかかる費用です。
結果として、月40万円前後の生活費になります。
収入がピークを過ぎる50代にとって、この支出は結構な負担です。
※これに介護費用も入ってくるので、ほぼ、毎月赤字になっています。なので、妻もパートに行く予定になりました。
積立投資の減額は“甘え”ではなく“現実的な判断”
私は2024年から、つみたてNISAの積立額を
33,333円 → 13,000円に減額しています。
理由は明確で、
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生活費の上昇
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教育費のピーク到来
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臨時の出費リスク
これらに備えるためです。
投資で積み上がった7,000万円と、毎月のキャッシュフロー不足は別問題。
50代は「守り」と「継続」を優先すべき時期だと感じています。
資産7,000万円でも油断できない理由──老後費用の壁は予想以上に高い
老後は“月25〜33万円”が基本ラインになる
高齢夫婦無職世帯の消費支出は
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平均:26〜28万円
賃貸暮らしの我が家では、ここに家賃が乗るため
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月33万円前後
がリアルな生活費になります。
年金を考慮しても、30年間生きる前提なら
総支出は1億2,000万円近く
になる計算です。
「7,000万円あれば余裕」という考えが通用しないのは、この数字を見るだけで理解できます。
寿命リスク、インフレ、医療費…50代から考えるべき“3つの不確実性”
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寿命リスク:90〜95歳まで生きる可能性
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インフレリスク:食費・光熱費は今後も上昇の可能性
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医療・介護リスク:60代後半から一気に増える
どれも確率は低くありません。
だからこそ、50代は“逃げ切り戦略”のシミュレーションを始めるタイミングなのです。
まとめ──準富裕層でも“余裕ではない”のが50代のリアル
数字だけを見れば7,000万円は十分に見えます。
しかし、50代は
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教育費のピーク
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物価上昇が家計を直撃
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収入は伸びにくい
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老後費用への不安が急に現実味を帯びる
という、「支出の山場×収入の頭打ち」が同時に訪れる年代です。
私自身、7,000万円という数字は心の支えになっています。しかし、それに甘えてよいほど現実は甘くありません。必要なのは、
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固定費の最適化
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教育費の着地確認
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無理のない投資継続
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老後の生活設計
この4つをきちんと積み上げること。
50代は“逃げ切り戦略の最終調整期”。
焦らず、無理せず、確実に積み上げていく姿勢が、老後の安心につながっていくのだと思います。
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