50代になると、「投資は長期でいい」と頭では分かっていても、ふと怖くなる瞬間があります。教育費が重い、会社の先行きも読めない、親のことも気になる。そんな時に効いてくるのが“生活防衛費(生活防衛資金)”です。
私は賃貸暮らしの50代サラリーマン(役職なし)。妻はパート、子どもは2人(高3・中2)で、家計はまさに教育費ピークです。資産はそこそこ積み上がってきましたが、現金が薄いとメンタルが乱れて投資判断までブレる。そこで、現金はいくら必要かを改めて見直しました。
生活防衛費は「現金=安心料」と割り切る
生活防衛費は、投資の“待機資金”ではなく、トラブルが起きたときに「時間を買うお金」です。目的はたった一つ。収入が止まっても、家族の生活を守りつつ落ち着いて次の一手を打てる状態を作ること。
目安としては「生活費の3〜6か月分」を挙げる解説が多いです。最低限3か月を置いておけば、急な出来事に対処する時間を確保しやすい、という考え方ですね。
ただし、ここで大事なのは「生活費」を“平時の支出”ではなく“緊急時の最低支出”で見積もること。普段の家計にある外食・旅行・趣味・衣類などは、非常時にはまず削れます。生活防衛費は「削った後でも残る支出」を基準にするのが現実的です。
50代が怖いのは「失業・病気・教育費」の同時多発
50代は、家計の可動域が狭くなりがちです。子どもの進学費用がかさみ、親の通院や介護が発生し、しかも自分の体も無理が効きにくい。さらに、会社の都合で働き方が変わるとダメージが大きい。
ここで見落としがちなのが「失業給付があるから大丈夫」という油断です。確かに雇用保険の基本手当には所定給付日数があり、年齢や被保険者期間によって日数が変わります。例えば45歳以上60歳未満の区分では、(条件により)180日〜330日といった幅が示されています。
ただ、自己都合なのか会社都合なのか、加入期間は十分か、などで受け取り方は大きく変わります。つまり「給付がある=現金は要らない」ではなく、「給付が入るまでのつなぎ+想定外の出費」を現金で持つ発想のほうが安全だと感じました。
私がやった見直し手順:3ステップで決める
1)“最低生活費”を作る(平時の家計と切り分け)
まず、家計簿から「最低生活費」を抜き出します。私のルールはシンプルです。
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固定費:家賃、光熱費、通信費、保険料、学校関係で確実に払うもの
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最低限の変動費:食費(日用品込み)、交通費、医療(定期通院があれば加味)
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削れるもの:外食、旅行、サブスクの追加、趣味のグレードアップ、被服費の上乗せ
ここでポイントは、「削れるもの」を先に決めておくこと。緊急時にゼロから削減するのは精神的にしんどいので、平時に“緊急モードの家計”を試作しておくと安心です。
2)何か月分にするかを決める(3か月→6か月へ)
次に、最低生活費×何か月分を持つか決めます。私は以下の整理で考えました。
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共働きで収入が分散:3か月寄りでもいける
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片働きに近い/子どもがいる:6か月寄りが安心
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自営業・収入が不安定:6〜12か月を検討
我が家は妻がパートで、家計を支えるのは基本的に私の給与です。教育費の固定支出も大きい。だから“最低生活費の6か月分”を目標にしました。一般論でも「3〜6か月」を基本とする説明が多いので、6か月に寄せる判断はやりすぎではないはず、と腹落ちしました。
3)“特別費”は生活防衛費とは別枠にする
生活防衛費の議論がややこしくなる原因が、ここだと思っています。
生活防衛費(守る現金)と、特別費(使う予定の現金)をごちゃ混ぜにすると、必要額がブレます。
我が家でいう特別費は、たとえばこんなものです。
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税金・保険の年払い
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家電の買い替え、車検など「いつか来る大きめ支出」
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子どもの進学関連で、1年以内に起きやすい出費
私はこの特別費を、生活防衛費とは別の“封筒”として積み上げています。これを分けると、「守る現金は何円必要か」が一気にクリアになります。
「6か月は多い?」を判断するチェックリスト
生活防衛費は“多すぎても少なすぎてもストレス”です。そこで私は、6か月を採用する前に次のチェックをしました。3つ以上当てはまるなら、6か月寄りにしても後悔しにくいと思います。
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収入の柱が実質1本(配偶者収入が小さい/不安定)
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子どもの進学など、家計の固定支出が増えやすい
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転職活動に時間がかかりそう(同業が少ない、勤務地が限られる等)
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持ち家ではなく賃貸で、家賃をすぐ下げにくい
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親の通院・介護が始まりそうで、突発の出費が読みにくい
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投資の含み益・含み損でメンタルが揺れやすい(売りそうになる)
逆に、3か月寄りでも回る条件もあります。
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共働きでどちらかが失業しても家計が回る
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大きな特別費(車検・学費・年払い)がすでに別枠で積めている
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生活費の固定費が低く、数か月でスリム化できる
ポイントは「月の支出が小さい家庭ほど、生活防衛費も小さくて済む」こと。現金の額そのものより、“家計の柔らかさ”が効きます。
生活防衛費の“置き場所”で迷わないルール
私は生活防衛費を、あえて増えない場所に置きます。目的は利回りではなく、いつでも使えることだからです。
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生活防衛費:すぐ引き出せる普通預金(ネット銀行含む)
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特別費:別口座(年払い・車検・進学関連をここから払う)
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投資資金:証券口座(新NISAの積立は自動化)
この3つに分けると、家計が散らかりません。「投資が増えたから現金を削る」「現金が増えたから全部投資する」といった衝動的な判断が減り、家計の運転が安定しました。
生活防衛費で“やらない”と決めたこと
最後に、私がやらないと決めたことも書きます。50代はリカバリーの時間が短くなるので、ここは割り切りです。
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生活防衛費を、値動きのある商品(株・投信)に置かない
→ いざという時に下がっていると、生活が二重に苦しくなる。 -
クレカのリボやカードローンを“防衛費の代わり”にしない
→ 金利負担が読めず、守るどころか家計を削る。 -
「最悪は売ればいい」で投資比率を上げすぎない
→ 暴落局面で売るのが一番つらい。防衛費はその回避策。
生活防衛費は地味ですが、“地味な仕組み”ほど長期投資と相性がいいと感じています。
結論:我が家は「最低生活費6か月+特別費」で落ち着いた
結論だけ言うと、私の現時点の答えはこうです。
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生活防衛費=最低生活費×6か月
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特別費=直近1年で見える大きな支出(年払い・車検・進学まわり等)
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この2つを足して“現金の最低ライン”にする
たとえば最低生活費が月30万円なら、生活防衛費は180万円。そこに特別費を50〜100万円上乗せする、といったイメージです。数字は家庭によって違いますが、考え方の型は再現できます。
そして私が一番大きく感じた効果は、「暴落が来ても売らなくていい」という心の余裕です。生活防衛費が薄いと、相場が荒れたときに“生活費を確保するために売る”発想が頭をよぎる。これが一番避けたい。長期・分散・低コストを貫くなら、現金は投資の土台だと割り切ったほうが、結果的に資産形成がラクになります。
現金を持ちすぎる不安への対処:置き場所を決める
一方で、現金を積みすぎると「機会損失では?」と不安になるのも分かります。私は次のルールにしました。
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生活防衛費と特別費は、使う用途が明確なので“置いてOK”
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それ以上の余剰資金は、新NISA中心に淡々と積立
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レバレッジや借金で増やそうとしない(現金の目的と矛盾するから)
現金は“増やす道具”ではなく“守る仕組み”。この割り切りができると、投資の迷いが減りました。
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