50代になると、投資の目的が「増やす」から「守って逃げ切る」に寄ってきます。私も50代の平社員で、妻はパート、子どもは高校生と中学生。家は賃貸。総資産は8,000万円台まで来ましたが、ここまで来ると“増やしたい欲”より“減らしたくない気持ち”の方が強いです。
だからこそ、私は「50代の投資は守りが9割」だと思っています。9割とは、商品選びの話ではなく、①資産配分、②コスト管理、③行動(続け方)のこと。ここが固まっていれば、残り1割の“テクニック”が多少ズレても致命傷になりません。逆に、守りがグラグラの状態でレバレッジを使うと、ちょっとした逆風で一気に転びます。
そんな私が一貫して避けているのがレバレッジです。信用取引、FX、CFD、レバレッジ型ETF…仕組みは違っても共通点は「小さな値動きで、資産が大きく揺れる」こと。若い頃なら取り返せても、50代は時間が最大のリスクになります。
1. 50代は「回復する時間」が足りない
投資で一番強い武器は時間です。ところが50代は、60代以降の取り崩しまでの距離が短く、暴落後の回復を待つ余裕が減ります。レバレッジは上昇局面では魅力的に見えますが、下落局面のダメージが重い。
たとえば100万円が50%下がると50万円。元に戻すには100%上昇が必要です。ここにレバレッジが乗ると、損失は“より深く”、回復に必要な上昇率も“より高く”なります。数字は冷酷で、下げが大きいほど「取り返すための上げ」がきつくなる。50代はこの回復ゲームを繰り返すほど、残り時間が削れていきます。
コロナショックのような急落局面は、長期投資家でも心が揺れます。そこでレバレッジをかけていたら、揺れ幅はさらに倍。投資判断が難しくなるだけでなく、家計にまでストレスが波及しやすい。私が守りに寄せるのは、リターンより“生活の安定”を優先したいからです。
2. レバレッジは「退場リスク」を一気に上げる
長期投資で一番まずいのは、途中で市場から退場することです。退場の引き金になりやすいのが、追証(追加保証金)や強制ロスカットです。
追証と強制決済は、最悪のタイミングで起きる
下落相場は、メンタルが削られて判断力が落ちます。そこに追証の連絡が来ると、冷静な“長期目線”ではなく、短期の“資金繰り目線”で売らされる。つまり「一番安いところで売る」可能性が上がります。これがレバレッジ最大の欠点だと思っています。
生活防衛資金まで巻き込まれやすい
レバレッジ投資は、証拠金の不足が起きると追加の入金が必要になります。すると投資用資金と生活用資金の境界があいまいになりがちです。家計に波がある50代(教育費、親のこと、転勤や医療費など)で、これはかなり危険です。
私は「投資は余剰資金で」が基本だと思っています。レバレッジは、構造的に“余剰資金の壁”を溶かしやすい。相場が荒れたときに、余剰資金のつもりだったお金が、いつの間にか生活資金の代替になっていく。これが家計の地盤沈下につながります。
3. レバレッジは“分散”を壊しやすい
レバレッジを使うと、同じ元手でもリスク量が一気に増えます。結果として「資産配分のバランス」が崩れやすい。たとえば“株式インデックスに2倍”を入れた瞬間、見た目は分散しているつもりでも、実質は株式の比率を跳ね上げたのと同じです。
私は資産が増えるほど、分散の意味を考えるようになりました。分散は「儲けるため」というより「致命傷を避けるため」の道具です。なのにレバレッジは、分散の効果を薄めて“当たり外れ”を大きくします。50代でやりたいのは当て物ではなく、生活の安定に直結する“ブレを小さくする設計”です。
4. レバレッジは“コスト”が見えにくい
レバレッジには、金利・スワップ・管理コストなど、形はいろいろでも「保有し続けるコスト」がつきまといます。上昇局面では目立ちませんが、横ばい・下落局面ではコストだけが積み上がりやすい。
さらにレバレッジ型の商品には、短期の値動きを狙う設計のものもあります。日々の値動きに連動する仕組みだと、上下動を繰り返す相場では、思ったほど増えない(あるいは減る)ことが起きやすい。私はこの“仕組みのクセ”を理解して付き合う自信がなく、わざわざ難易度を上げる必要はないと判断しました。
たとえば「年率でプラスだから大丈夫」と思っていても、途中の値動きが荒いと精神的に耐えにくい。レバレッジは、その荒さを知覚上も実害上も増幅します。私は50代になってから、投資で一番難しいのは知識より“感情のコントロール”だと強く思うようになりました。
5. “順序リスク”と相性が悪い
50代は「取り崩し前夜」に入りかけています。ここで怖いのが順序リスク(同じ平均リターンでも、下落が先に来ると資産が回復しにくい問題)。レバレッジは、順序リスクの悪いシナリオを増幅します。
たとえば取り崩しを目前にした段階で大きく下げると、資産を減らしたまま取り崩しが始まる。結果として“元本が小さくなった状態で”運用を続けることになり、回復の芽が細くなります。守り重視の50代には、レバレッジは逆方向です。
私の感覚では、50代は「資産を増やすこと」より「資産を使う未来」を現実に置き始める時期です。ここで大きな振れを取りに行くと、将来の選択肢(働き方、住まい、教育費、介護への備え)が削られてしまう。守りが9割というのは、そういう意味です。
6. 入金力が落ちるほど、レバレッジは危ない
投資がうまくいく人の多くは、暴落時に“入金”できています。ところが50代は、子どもの教育費や家計のイベントで、入金力が下がりやすい。私自身も、積立額を減らした時期がありました。こういう局面でレバレッジを持つと、下落時に「買い増しどころか、追加の入金を迫られる」側に回りやすい。
つまり、レバレッジは“余裕がある人向け”に見えて、実際は“余裕があるときだけ成立する”仕組みです。余裕が薄くなるタイミングほど、危険度は上がります。
7. レバレッジが招きやすい“判断ミス”3つ
1)含み益のうちに「もっと行ける」と思う
上昇相場は自分が賢くなった錯覚が起きます。レバレッジはその錯覚を加速させ、ポジションが膨らみやすい。これは“勝っている時”ほど危ないパターンです。
2)下落で「取り返したい」と思う
損失が大きいほど、人は合理性より感情で動きます。ナンピン、ポジション追加、損切り遅れ。レバレッジはこれらの悪癖と相性が良すぎます。私も昔、短期で取り返したくなる気持ちに引っ張られたことがあり、「投資の敵は自分だな」と痛感しました。
3)値動きが気になって生活の質が落ちる
資産形成はマラソンです。なのにレバレッジは“短距離走”のテンションを要求してきます。仕事中にチャートを見てしまう、休日も気が休まらない。結果的に、投資以外の生活(健康、家族、仕事)のパフォーマンスまで落ちる。50代でこれはもったいないです。
8. じゃあ50代は何をすればいいのか
私が意識しているのは「守りの仕組み化」です。守りは地味ですが、老後の安心には一番効きます。
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長期・分散・低コストを徹底(商品を増やしすぎない)
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家計のバッファ(現金)を薄くしすぎない
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暴落時にやること(積立継続、リバランス基準)を事前に決める
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リスク資産比率は“いきなり”変えず、生活の変化に合わせて少しずつ調整する
レバレッジを避けた方がいい人チェック
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生活費の半年分も現金で確保できていない
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下落時に追加資金を入れられる自信がない
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仕事や家庭が忙しく、相場を頻繁に見られない
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損失が出ると睡眠や体調に影響が出やすい
当てはまるなら、レバレッジは“勉強代”が高くつきやすいです。守りを固めてからでも遅くありません。
ここまで書いても「少額ならレバレッジで遊んでみたい」という人はいると思います。否定はしません。ただ、その場合でも私は、①生活費とは完全に分離する、②最悪ゼロになっても家計が揺れない額に限定する、③期限と撤退ルールを先に決める、の3つは必須だと思います。ルールが守れないなら、最初から触らない方が安全です。
レバレッジは「勝つか負けるか」の振れ幅を大きくしますが、50代の目的はそこじゃない。私は“負けにくさ”を積み上げて、静かと言われても逃げ切りを狙います。
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