50代に入ると、体力や気力の衰えを実感するだけでなく、「この先いつまで働けるのか」という現実的な不安に直面します。会社では若手中心の人事異動が進み、ベテラン社員は補佐役や調整役に回されることが増える。かつてのようにリーダーとして引っ張る立場から一歩下がり、「そろそろ潮時かな」と感じる瞬間も少なくありません。
私自身、役職がない平社員として日々の仕事をこなす中で、「このまま定年まで働けるのか」という不安を何度も覚えました。けれど、ある時ふと考えを変えたのです。
——働けるうちに“備える”。
そう意識を切り替えた瞬間から、気持ちがずいぶんと楽になりました。
「働き続ける不安」は、誰にでも訪れる
どんなに真面目に働いてきても、年齢とともに組織での立場は変わります。
昇進レースから外れ、上司は年下、部下もいない。そんな状態になると、自信を失いやすくなります。
さらに、景気の波やAI化の流れで、いつ職場が再編されるか分からない。雇用が安定していると言われてきた大企業でさえ、早期退職の募集は当たり前の時代になりました。
「自分もいつか、働けなくなるかもしれない」
——その不安を抱えるのは、決して弱いことではありません。むしろ自然な反応です。
問題は、不安にどう向き合うか。考えないようにフタをするのか、それとも現実を受け入れて準備を始めるのか。その選択が、数年後の安心を決定づけます。
「働けるうちに備える」という発想
人間は「働けること」を当然と思いがちですが、実はそれ自体が貴重な資産です。
健康で、職場に居場所があり、収入を得られる——これは大きな強み。
だからこそ、「働けるうち」に次の3つを意識しておくべきだと感じています。
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お金の備え(資産形成)
私の場合、毎月の給与のうち一定割合を新NISAに回しています。投資対象はオルカンとS&P500。長期・分散・低コストを意識した積立です。信託報酬を抑えたインデックスファンドを選ぶことで、20年先に大きな差が生まれるのはシミュレーションでも明らか。働いている間に積み上げた資産が、将来の安心の“クッション”になります。 -
支出の備え(生活防衛資金)
支出の最適化は、節約というより“攻めの守り”です。
家計簿アプリで毎月の固定費を可視化し、通信費・保険料・サブスクを見直しました。その結果、年間20万円近くの余裕が生まれました。
この分を現金で積み立て、万が一の失業や病気に備える。目安は生活費の2〜3年分。安心感がまるで違います。 -
心と体の備え(健康とスキル)
働けなくなる理由の多くは「体」か「心」。
健康診断を後回しにせず、運動を習慣化すること。ストレスを溜めない働き方を意識すること。
さらに、社外でも通用するスキルを一つでも磨く。これが“第二の居場所”をつくる鍵になります。
投資は「増やす手段」ではなく「安心を得る手段」
投資というと、“お金を増やすゲーム”のように語られがちです。
しかし、私の中では「投資=将来の安心を買う行動」。
レバレッジや短期売買には手を出さず、地味でも積立を継続してきました。
20年前に始めた投資信託の積立が、気づけば数千万円に育っていました。
もちろん、相場が下がる局面もありました。コロナショックのときは評価額が10%以上下がり、正直不安で眠れない夜もありました。それでも売らずに続けた結果、いまではその時期の積立分が最も大きく育っています。
この経験から学んだのは、「働けるうちは投資を続けられる」こと自体が最大のリスクヘッジだということです。
「備え」はお金だけではない
経済的な備えはもちろん大切ですが、それだけでは十分ではありません。
特に50代以降に大切なのは、「人」と「健康」と「時間」。
・人脈をつなぎ、相談できる相手を増やす
・体調を崩したら早めに病院へ行く
・趣味や学びの時間を確保して、心の余裕を保つ
私は以前、休日も仕事のことばかり考えていましたが、今は意識して“自分の時間”を作るようにしています。ウォーキングや読書、家族との夕食。何気ない習慣が、メンタルの安定につながっています。
結局、「備え」とは“お金と心のバランス”なのだと感じます。
「働けること」は最後の資産
もしあなたがまだ働けるなら、それは大きなチャンスです。
毎月の給料があるうちは、どんなに少額でも貯められる。
定年後の不安を減らす最も確実な方法は、「働けるうちに備える」こと。
そして、その“備え”を始めるのに、早すぎることも遅すぎることもありません。
私の目標は、65歳以降に「働かなくても生きていける状態」を作ること。
そのための準備期間が、いまの働ける時間です。
仕事に疲れを感じても、「備えの時間を稼いでいる」と思えば、少し気が楽になります。
働くことを“リスク”と見るより、“未来の自由を買う手段”と考えたい。
まとめ:不安に飲まれず、備えで安心をつくる
50代の不安は消せません。しかし、備えることで“コントロールできる不安”に変えられます。
・新NISAでの長期積立
・生活防衛資金の確保
・健康維持とスキルの磨き
・人とのつながりを持ち続ける
これらを「働けるうちに」進めておくことで、老後の景色は大きく変わります。
私は今でも、仕事に不満や疲れを感じる日があります。けれど、心のどこかに「もう少し働いて備えよう」という余裕がある。それが、私の安心の源です。
働き続ける不安より、働けるうちに備える。
この考え方こそ、50代からの人生を前向きに生き抜くための、一番現実的な方法だと思います。
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