「資産はそれなりに積み上がったのに、取り崩しが怖くて前に進めない」――これ、私の正直な気持ちです。50代の平社員としてコツコツ積み立てて、総資産は8,000万円台。新NISAも使い、長期・分散・低コストでやってきました。でも“貯める”と“使う”は別のスキルで、出口戦略は頭の中がモヤモヤしがち。だから今日は、私が不安を小さくするために「やること」を言語化してみます。
取り崩しが怖い理由は「不確実性」と「孤独感」
怖さの正体はシンプルで、未来が読めないからです。相場は上下するし、医療費や家の修繕のような突発支出もある。さらに、取り崩しは“正解が一つ”じゃない。積立期は「毎月入れる」で済んだのに、出口は「いつ・いくら・どこから・どの順番で」が一気に増えます。
もう一つは孤独感。周りはあまり話してくれないし、SNSは極端な成功談が多い。結果として「自分の計画は大丈夫か?」がずっと残ります。そこで私は、決める範囲を分解して、迷う回数を減らすことにしました。
私の前提条件:まず“守り”を固定してから考える
私はレバレッジや信用取引は使いません。相場が荒れても生活が壊れないことを最優先にします。そのために、最低限のルールを先に固定します。
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生活費3か月分以上は現金で確保(これは今も継続)
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生活費の口座と投資口座を分け、日常の資金繰りを投資に持ち込まない
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取り崩しは「年1回の見直し」だけ。毎月の株価で判断しない
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売る順番を事前に決め、感情で選ばない
ここを固めるだけで、取り崩しの“行動”がかなり楽になります。
3つのバケットで考える:現金・安定・成長
私の出口戦略は、ざっくり3つのバケット(箱)に分けます。難しい金融商品より、「用途」で分けたほうが迷いにくいからです。
バケット1:現金(短期の安心)
生活費の3か月分+「1年以内に使う予定のお金」。教育費や車検など、時期が見えている支出はここ。これがあるだけで、暴落時に“売らない自由”が生まれます。
バケット2:安定(3〜5年分の生活費のクッション)
ここは価格変動が小さめのもの(預金、個人向け国債、短期債ファンドなど想定)。目的は利回りではなく、株式が下がった年に取り崩しを代替できるクッションです。私は「相場が悪い時に売らない保険料」だと思っています。
バケット3:成長(長期の主役)
インデックス中心の株式(世界分散やS&P500等)をコアにして、ここで長期的な購買力を守る。出口期でも“増やす役割”は残す、という前提です。全部を安定資産に寄せると、今度はインフレ負けが怖くなるので。
取り崩しルールは「定額+ガードレール」にする
出口で一番悩むのが「率で抜くか、額で抜くか」。私は、毎年の生活費に直結するのは定額が分かりやすいと思っています。ただし、相場が悪い年に同じ額で抜くと資産が削れすぎるので、ガードレール(手すり)を付けます。
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基本は年1回、必要額を“定額”で確定
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前年比で大きく下落している年は、取り崩し額を一時的に5〜10%減らす(生活の工夫で吸収)
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逆に上振れした年は、取り崩しを増やすのではなく「翌年のクッション(バケット2)を厚くする」
増えたから使う、ではなく「不況に耐える体力に変える」。これが私の性格には合っています。
ざっくりの数字を一度だけ置く(毎年作り直せばOK)
数字が嫌いでも、出口では一回だけ“雑な見積もり”が必要です。例えば、年金が始まるまで月5万円足りない想定なら、年間60万円。これを5年つなぐなら300万円。ここに臨時費を上乗せして、バケット2を「3〜5年分」にしておけば、株式が不調でも売却を先送りできます。私は、精密さより「最悪の年に売らなくて済むか」で判断しています。
“売る順番”を決めておくと、暴落でも固まらない
私は次の順番を基本にします。
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現金(バケット1)でまず回す
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それでも足りなければ安定(バケット2)から取り崩す
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成長(バケット3)を売るのは、年1回のリバランスの時だけ
ポイントは「株式を売る理由」を、生活費ではなくリバランスに寄せること。生活費のために毎月売ると、下げ相場のたびに心が削れます。年1回なら“儀式”として割り切れます。
年金までの“つなぎ期間”を先に見積もる
出口戦略というと、いきなり「一生分の取り崩し」を考えがちですが、私はそこが怖さの原因だと思っています。私がまず切り出すのは「年金が本格的に入るまでの数年間をどうつなぐか」。ここは期間が有限なので、計画が立てやすい。
例えば、退職後すぐにフルで年金を受け取らない前提なら、生活費の一部は資産から補うことになります。そのときに必要なのは、(1)毎月の不足額、(2)不足が続く年数、(3)大きめの臨時費(医療・家電買い替え等)。この3つを“ざっくりでいいので”先に置く。すると「バケット2を何年分にするか」が決まってきます。
うちは賃貸なので、住み替えや更新で多少のブレはあっても、持ち家の修繕一発でドンと来るタイプではありません。その分、教育費や車、保険などの“家計の波”を優先して見ておく。ここは家庭ごとに違いますが、「自分の波」を把握するだけで、取り崩しの恐怖はだいぶ薄まります。
新NISAと課税口座:取り崩し口を分けて迷いを減らす
出口では「どの口座から売るか」もストレスになります。私は口座を役割で分け、迷う余地を減らします。
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新NISA:できるだけ長期の成長バケット(最後まで残す枠)
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課税口座:取り崩しの主戦場(必要に応じて売る枠)
こうしておくと、相場が荒れた時に「非課税枠を崩していいのか…」と悩みにくい。もちろん状況次第で例外はありますが、原則を決めておくだけで判断コストが下がります。
取り崩しは“生活の縮尺”もセットで考える
私はFIREのように一気に仕事をゼロにする発想より、「逃げ切り戦略」で安心を積むタイプです。だから取り崩しの計算も、投資だけで完結させません。具体的には、支出を3階層に分けます。
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絶対に削れない(住居費・食費・光熱・最低限の通信など)
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工夫で削れる(外食、サブスク、嗜好品、旅行の回数など)
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不況の年は止める(大型家電の更新、趣味の大きい買い物など)
この分類があると、ガードレール発動(取り崩し額を減らす年)でも「どこを調整するか」が先に見えます。結果、下げ相場でもパニックになりにくい。妻はパートで働いていますが、家計を丸ごと頼るのではなく、“支出の波を小さくする役割”として一緒に設計するイメージです。
50代のうちにできる“取り崩しの練習”
取り崩しが怖い人ほど、いきなり本番に入ると固まります。私は、50代のうちから小さく練習しておくのが効くと思っています。
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配当や分配金(もしあれば)を再投資せず、生活費に回してみる
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年1回だけ、利益分を少額売却して現金に戻し「売る手順」を体に覚えさせる
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生活防衛費を補充する“儀式”として、売却→入金→振替をルーティン化する
金額は小さくていい。大事なのは「売るのは悪」ではなく、「ルールに沿って淡々とやる作業」に変えることです。
私がやらないと決めていること
最後に、怖さを増やす行動も明確にしておきます。
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相場が下がった日にSNSで情報収集して、翌日に売買する
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取り崩しの穴埋めに借金や担保型の資金調達を使う
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“当たり前にうまくいく前提”で利回りを盛る
出口は、派手さよりも事故らないこと。私はここだけはブレないようにしています。
50代の出口戦略で、私が一番大事だと思うこと
出口戦略は、理論よりも“続く仕組み”が勝ちます。家計は変動しますし、子どもの進学や家族の状況でも揺れます。だから私は、細かい最適化より、次の3つを守ります。
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相場が悪い年に売らなくていい状態を作る(クッション)
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判断回数を減らし、年1回で済む設計にする
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「怖い」を放置せず、文章にして見える化する
取り崩しが怖いのは、真面目に積み上げてきた証拠でもあります。怖さをゼロにするのは無理。でも、怖さを“扱えるサイズ”にすることはできます。私はこのルールで、老後の安心に近づいていくつもりです。このルールは固定ではなく、家計や制度が変われば毎年アップデートします。メモとして残しておけば、次の年の自分が助かります。
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