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社債はおすすめできない理由とは?個人投資家が債券投資で注意すべきポイントを解説

債券投資を考えるあなたへ。個人投資家に社債はおすすめできない理由

「債券投資をポートフォリオに加えたい」「リスクを抑えた運用先を探している」——そんな思いから、個人向け社債に興味を持つ方は多いかもしれません。

しかし、結論から言うと、私は個人投資家が社債に手を出すのはおすすめしません。その理由は、単純に“リスクが高すぎて見合わない”からです。

この記事では、債券の種類から、なぜ社債が高リスクなのか、さらにそれでも債券投資を考えるならどんな選択肢があるのか、分かりやすく解説します。

債券とは?個人が手にする主な債券の種類

まずは前提として、債券とは「国や企業などが資金調達のために発行する借金の証明書」のようなものです。購入者はお金を貸す代わりに、定期的な利子(クーポン)と元本の返済を受け取ります。

債券には大きく2つの分類があります。

  • 公共債(国や地方が発行)

    • 国債:日本国政府が発行。もっとも信用度が高い。

    • 地方債:地方自治体が発行。やや信用度は落ちるが基本的に安全。

    • 政府保証債:政府が元本や利子を保証する債券。

  • 民間債(企業などが発行)

    • 社債:企業が発行。信用度は発行元の経営状況次第。

    • 金融債:金融機関が発行。比較的安全性が高い傾向。

この中で、個人向けに広く販売されているのが「国債」「地方債」、そして近年よく見かける「個人向け社債」です。

なぜ社債が個人に人気なのか?高金利の罠

たとえば「ソフトバンク債」などは有名ですね。1.5〜2%という高金利で、多くの個人投資家の注目を集めました。

銀行に預けても金利がつかない時代、高金利の商品は魅力的に映るでしょう。しかしその裏には大きなリスクが潜んでいるのです。

社債が危険な理由1:なぜ企業は高金利で個人にお金を借りるのか?

今の日本は超低金利時代です。企業が資金調達をするなら、わざわざ高い金利を払って個人に借りなくても、銀行から低金利で借りることができます。なのに、なぜ個人向け社債を発行するのでしょうか?

答えはシンプルです。

銀行が貸してくれないから

つまり、その企業の信用力に疑いがある可能性があるのです。金融機関がリスクを取れない相手だから、個人に手数料を乗せて販売している。そこに気づかず「高金利=お得」と思ってしまうと、痛い目を見ることになります。

社債が危険な理由2:与信リスクを個人で判断できない

「この企業は大丈夫そう」「上場企業だから安心」——そう思っていませんか?しかし、企業の財務状況や与信リスクをきちんと分析できる個人投資家はほとんどいません。

企業の与信は、プロの金融機関ですら誤ることがあります。東芝やスルガ銀行のように、かつての優良企業が短期間で信頼を失うケースもあります。

まして、一般の個人が社債のリスクを正確に見抜くのはほぼ不可能です。株式と違って、社債には価格変動で逃げる余地も少ないため、倒産すればほぼゼロになる危険もあります。

地方債なら安全?それでもおすすめしない理由

「じゃあ社債はやめて地方債ならどうか?」と思うかもしれません。確かに地方自治体の債券は、企業よりは安定しているように見えるでしょう。

しかし、多くの地方自治体は少子高齢化と人口減で、財政が厳しいのが現状です。金利もほとんどつかず、投資妙味は薄いです。

「ふるさと納税」的な応援消費の意味合いならアリかもしれませんが、リターン目的で買う対象ではないと言えるでしょう。

どうしても債券を組み入れたいなら「国債」一択

債券投資にこだわるのであれば、個人向け長期国債がおすすめです。

長期国債には以下の特徴があります:

  • 3年経過すれば元本を返金できる

  • 変動金利型もあり、将来の金利上昇に備えられる

  • 日本国が保証しており、デフォルトリスクが極めて低い

今は金利が低すぎるため、国債で資産を大きく増やすことは難しいですが、元本の安全性を重視する人には安心感があります。

投資信託を通じた債券分散の方が現実的

もうひとつの選択肢として、「債券型インデックスファンド」や「バランス型ファンド」の活用もあります。これらは複数の債券に分散投資する仕組みで、1社のリスクに依存しません。

たとえば、

  • eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

  • SBI・V・全世界債券インデックスファンド

などの商品は、債券を含みつつ株式とのバランスを考えて構成されています。

結論:個人で社債に手を出すのは避けよう

「高金利に惹かれて社債を買ってしまう」——これは個人投資家が犯しやすい失敗の一つです。

繰り返しますが、社債は企業の信用が命です。そして、その信用を正確に判断するのはプロでも難しい。高い利回りには、高いリスクがつきものです。

債券を取り入れたいなら国債か投資信託経由、そうでなければ現金ポジションを多めに確保する方が、よほど堅実な選択です。

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