「不動産投資で安定収入を得よう」
「老後の年金代わりにマンション経営を始めませんか?」
こんなキャッチコピーを目にしたことはないでしょうか?
たしかに不動産は昔から富裕層の資産運用手段として用いられてきました。
安定した家賃収入、インフレに強い資産、相続対策――どれも魅力的な言葉です。
しかし2025年現在、再び不動産投資ブームの兆しがある一方で、失敗するサラリーマン投資家が後を絶ちません。
本記事では、過去のトラブル事例や、不動産投資の本質的なリスクについて、あらためて冷静に整理していきます。
なぜ今また不動産投資が流行しているのか?
ここ数年、インフレや老後不安の影響で「不動産投資で資産形成を」と煽る広告が再び増えています。
-
「年金に頼れない時代に備えよう」
-
「副業で不動産オーナーになれる」
-
「住宅ローン枠でアパート経営を」
こうした言葉に惹かれて、不動産セミナーや個別相談に参加する会社員が増えているのが現状です。
しかし、不動産投資は誰にでも成功する投資ではありません。むしろ、参入障壁が高く、リスク管理が甘いと痛い目を見る世界です。
実例①:「かぼちゃの馬車」事件とスルガ銀行問題
2018年、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」で有名になったスマートデイズ社の経営破綻。
家賃収入を保証するサブリース契約を盾に、多くのサラリーマン投資家に不動産を販売し、最終的にローンだけが残ったという悲劇を生みました。
しかも、資金の多くはスルガ銀行のローン。収支計画に疑問のある投資案件でも、通帳改ざんや審査の甘さで強引に融資を通したという事実が明らかになりました。
実例②:レオパレス違法建築問題
2019年には、レオパレス21が施工したアパートの多くに建築基準法違反が発覚。
壁が薄く防音性に欠けるなど、住環境に重大な欠陥があったとされ、全国で数万戸が入居不可に。
この影響で、オーナーたちは家賃収入を失い、補修費用も一部負担するなど、大きな損失を被りました。
これらの事例からわかるのは、不動産投資が業者の巧みなセールストークに依存した契約になりがちで、後からリスクが表面化する可能性があるということです。
「利回り保証」や「30年家賃保証」のカラクリ
不動産投資の勧誘でよく使われる言葉が「利回り8%保証」「30年間家賃保証」といったものです。
ですが、こうした保証には、ほぼ例外なく“見直し条項”があり、実際には家賃は数年ごとに下落していきます。
営業トークでは語られない細かなリスク要因は、契約書の末尾や約款に小さく書かれているだけのことも多いのです。
-
契約書を細かく読み込む
-
法律に詳しい第三者に確認する
といった慎重さがなければ、「話が違う」となってからでは遅いのが不動産投資の世界です。
不動産オーナーは「不労所得」ではない
「家賃収入=働かずに得られるお金」と思っていませんか?
それは大きな誤解です。
実際には、
-
設備の故障対応
-
クレーム処理
-
入居者トラブル
-
空室対応(広告出稿、仲介依頼)
など、実務負担や責任も多く、完全な“ほったらかし”ではありません。
たとえ管理会社に任せたとしても、オーナーとしての判断や支出は常に求められます。
これは副業というより、“経営”に近い感覚が必要です。
借地借家法と借主優位の構造に要注意
日本の法律では、賃貸契約において借主(入居者)が圧倒的に保護されています。
-
「退去してほしい」と簡単に言えない
-
滞納・騒音トラブルでも即退去させられない
-
居住権が強く、立ち退きには補償が必要
このため、不良入居者に悩まされたり、家賃未納が続いても、法的にすぐに解決できるとは限りません。
こうしたリスクを知らずに始めてしまうと、いざという時に対処ができず、精神的にも疲弊します。
2025年の不動産市場と人口動態の現実
国立社会保障・人口問題研究所のデータによれば、日本の世帯数は2019年をピークに減少に転じました。
2025年現在もその傾向は続いており、地方の空室率は年々上昇中です。
人口が減る中、すべての不動産が値下がりするわけではないとはいえ、資産価値が下がり続けるエリアの物件に手を出してしまうと、売却も貸出も困難になる恐れがあります。
「将来の値上がりを見込んで投資する」ことが、すでにギャンブルに近くなってきているのです。
不動産投資は「知識と資金」があってこそ
不動産投資で成功している人はたしかに存在します。
ですが、それは
-
土地勘と相場に精通している
-
修繕やリフォーム知識がある
-
借入金管理が徹底されている
など、専門性と行動力がセットになっている人たちです。
一方で、サラリーマンが「営業マンの提案に乗って、ローンで区分マンションを買う」ような投資では、収支が合わないことの方が圧倒的に多いのが現実です。
【結論】インデックス投資という堅実な選択肢もある
不動産投資を否定するわけではありませんが、
知識も資金も不十分な状態で、数千万円の借金を背負ってまで取り組むのはあまりにもリスクが高すぎます。
それよりも、少額から始められ、分散投資が可能なインデックスファンドなど、コツコツと積み立てる方法の方が、
長期的にはストレスも少なく、現実的な資産形成が可能です。
まとめ:甘い言葉には裏がある。不動産投資は冷静に見極めを
-
サラリーマン向けの不動産投資勧誘は今も多く存在します
-
「利回り保証」「家賃保証」には必ず条件やリスクがあります
-
不動産オーナーは不労所得ではなく、責任も重い立場です
-
2025年の日本は人口・世帯数が確実に減少中。空室リスクは拡大しています
-
本当に不動産で収益を得たいなら、勉強と資金の両輪が必要です
焦らず、自分に合った投資方法を選びましょう。
にほんブログ村に参加してます。クリックして頂くと有り難いです。