投資

1億円世帯が増えても格差は広がらない?

最近、「総資産1億円」「いつの間にか富裕層」みたいな話をニュースでも周りでも聞くようになりました。
一方で、昔ほど「お金がない」と言う人が減ってきた気もする。貧困がゼロになったわけじゃないけど、体感として格差が“爆発”している感じもしない。

この感覚、どこまで数字で説明できるのか?
今日は、できるだけ一次情報(公的統計や公式発表)を使って、サクッと整理します。

まず前提:「1億円」の定義がズレると話が噛み合わない

「1億円世帯」といっても、話している人によって意味が違います。

  • 不動産込みの“総資産”で1億円

  • 金融資産だけで1億円

  • さらに負債(ローン等)を引いた“純金融資産”で1億円

今回よく引用されるのは、野村総研(NRI)が使う「純金融資産(金融資産−負債)」の区分です。
ここを揃えると、議論が一気にクリアになります。

データ1:富裕層(純金融資産1億円以上)は、実際に増えている

結論から言うと、「お金持ちが増えた」はかなり事実寄りです。

NRIの推計(2023年時点)では、

  • 純金融資産1億円以上5億円未満の「富裕層」

  • 純金融資産5億円以上の「超富裕層」
    を合計すると 165.3万世帯。前回推計(2021年)から 11.3%増 とされています。純金融資産総額も 約469兆円

ポイントは「富裕層は、昔からいる一部の勝ち組だけではない」こと。
NRI自身も「いつの間にか富裕層」というトレンドに触れていて、共働き+長期投資+相場の追い風で、気づいたら到達…が起きやすい局面です。

データ2:家計全体の“金融資産の山”が大きく、上がると体感が変わる

「周りにお金がある人が増えた」ように見える背景には、家計全体の金融資産が巨大で、相場の影響を受けやすい土台があります。

日銀の資金循環統計(速報、2025年第3四半期)では、家計の金融資産は 2025年9月末で2,286兆円 と示されています。

ここまで母数が大きいと、株式や投信の評価額が動いたときの“体感”も一気に変わります。
同じ会社・同じ地域・同じ年代のコミュニティほど、資産形成が進んだ人が周りに増えやすいので、「お金がない人が減った」という感覚も出やすいです。

データ3:「格差が広がっていない」にはカラクリがある(再分配が効いている)

ここが一番大事なところ。

厚労省の「所得再分配調査(令和5年)」では、格差の代表指標の一つであるジニ係数が

  • 当初所得(再分配前):0.5855

  • 再分配所得(再分配後):0.3825
    まで改善し、改善度は34.7%と説明されています。

つまり、日本は「放っておいても格差が縮む国」というより、
税と社会保障(現金給付や現物給付など)で、可処分ベースの格差を“ならしている国”なんですね。

この“ならし”が効いていると、日常の体感としては「昔より格差が目立たない」「困ってる人が減った気がする」になりやすい。
あなたの感覚は、ここでかなり説明できます。

ただし:貧困が消えたわけではない(見えにくいだけの可能性)

良い話ばかりだと危ないので、ここも押さえます。

厚労省の国民生活基礎調査(2022年調査の概況)では、2021年の相対的貧困率は 15.4%
子どもの貧困率(17歳以下)は 11.5%、ひとり親など条件によっては高い水準が続きます。

「周りで聞かなくなった」=「社会から消えた」ではない。
困っている人ほど声を上げにくい、付き合うコミュニティが分かれる、という現実もあります。

もう一つの追い風:賃上げの“ニュース化”で空気が変わった

最近の「みんな少し余裕がある」感には、賃上げの影響も大きいです。

たとえばUAゼンセンの2025春闘の集計では、正社員の妥結総合計が加重平均で 5.37%、パートが 6.53% と発表・報道されています。

もちろん、物価が上がれば実質は目減りすることもあります。
それでも「賃上げが続いている」という情報が広がるだけで、社会の空気は“カツカツ一辺倒”から少し変わります。

僕らの結論:日本は“良い循環”が起きている。でも油断は禁物

ここまでをまとめると、こんな整理になります。

  • 富裕層(純金融資産1億円以上)は、統計上も増えている

  • 家計金融資産の規模が大きく、資産価格が上がると「周りが豊か」に見えやすい

  • 格差が目立ちにくいのは、再分配が強く効いているから

  • ただし相対的貧困は残っていて、「見えなくなっただけ」の面もある

だから僕の感想はこうです。
日本は“底が抜けない仕組み”を持っていて、そこに資産効果と賃上げが乗ってきた。たしかに良い面は大きい。
でも、同時に「資産を持つ人が先に伸びる」構造もあるので、ここから先は“差がつく速度”が上がる可能性もあります。

じゃあ、個人として何をすればいい?

ここは、僕のブログらしく現実的に。

  1. 「総資産1億円」を追いかけすぎない
    数字は目標になるけど、生活の安心は“毎月のキャッシュフロー”で決まります。見栄のための投資はだいたい失敗します。

  2. それでも、資産形成の席には座る
    相場が上がる局面では、持っている人が恩恵を受ける。新NISAのような非課税枠は「持つ側」に回るための制度だと思っています。

  3. 格差の議論は「可処分」と「資産」を分けて見る
    給料が伸びても、物価や税・社保で体感は変わります。逆に資産は“持っているかどうか”で差が出やすい。混ぜると、結論がぶれます。

おわりに:日本をディスるより、利用したほうが早い

「日本はもう終わり」みたいな話は、正直お腹いっぱいです。
少なくとも、データを見る限り――富裕層が増え、再分配が効いて、社会がすぐに壊れない仕組みは残っている。

だったら僕らは、悲観で止まるより、

  • 支出を整える

  • 余剰資金でコツコツ積み立てる

  • 大きく外さない投資で時間を味方にする
    この“地味な作戦”で、じわっと生活の安全地帯を広げていけばいい。

僕も、派手な勝負はしません。
「逃げ切れる確率を上げる」ほうが、50代以降は効くと感じています。

今日の3行まとめ

  • 1億円以上の富裕層は増えている。ただし“純金融資産”の定義で見るのがコツ。

  • 格差が目立ちにくいのは、税と社会保障による再分配が効いているから。

  • それでも貧困は残る。だからこそ、家計管理+長期の積立で自分の安全地帯を広げたい。

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