「株や投資信託を売らずに現金を手に入れたい」
そんなときに候補として挙がるのが「証券担保ローン」という選択肢です。
証券を担保にして資金を借りられるという仕組みは、一見すると“資産を減らさずにお金を用意できる便利な方法”に思えるかもしれません。
しかし、私はどんなかたちであれ、借金は絶対にすべきではないと考えています。
この記事では、証券担保ローンの仕組みやメリット・リスクを客観的に紹介しつつ、「なぜ借金に頼るべきではないのか」という私のスタンスもはっきり示していきます。
証券担保ローンとは?
証券担保ローンとは、自分が保有する株式や投資信託を担保にして、証券会社や金融機関から資金を借りる仕組みです。
売却せずに現金を得られるため、「長期投資のポジションを維持しながら資金が必要な場面で使える」と紹介されることが多いローンです。
たとえば、SBI証券や楽天証券などの大手もこのサービスを展開しています。
証券担保ローンの仕組み(客観的説明)
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担保対象:株式・投資信託・債券など
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借入限度額:担保価値の50〜80%程度(評価に基づく)
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金利:年1〜3%が目安(金融機関による)
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返済方式:自由返済型が多く、随時返済が可能
担保に出した証券は手元からは動かず、配当や値上がり益を受け取れるケースもありますが、リスクも伴います。
表面的なメリット
世の中で紹介されている証券担保ローンのメリットには、以下のようなものがあります:
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保有資産を売却せずに資金を確保できる
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比較的低金利で借りられる
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資金使途が自由(事業資金・生活資金など)
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柔軟な返済が可能
しかし、こうした“便利さ”に魅力を感じた時点で、すでにリスクの入口に立っているとも言えます。
借金に頼る危うさ──証券担保ローンの本質的なリスク
私は17年間の投資経験の中で、借金をしてまで投資を続けたり、生活資金をひねり出したことは一度もありません。なぜなら、以下の理由で借金そのものが大きなリスクだと考えるからです。
■ 株価下落時に「追証」や「強制売却」の可能性
証券担保ローンで借りた資金は、担保となる証券の評価額が下落すれば、追加担保(追証)を求められます。
追加担保が差し入れられなければ、保有していた証券が強制的に売却されるリスクもあります。
それはつまり、市場が大暴落してもっとも売りたくないタイミングで、勝手に売却される可能性があるということです。
■ 低金利でも“借金は借金”
「年1%の金利だから大丈夫」といった意見を見かけることもありますが、私はそうは思いません。
借金をすれば、そこには返済義務と心理的負担が必ず伴います。
しかも、相場が不安定な局面では、「返済のために売却しなければならない」プレッシャーがのしかかります。
■ “便利な借金”が習慣化すると、生活は脆くなる
証券担保ローンに限らず、一度「借りるクセ」がつくと、感覚が麻痺します。
「今回もなんとか返せたから、また借りよう」と思ったとき、それはもう長期投資家ではなく、借金依存型のギャンブラーに近づいてしまうのです。
なぜ私は借金を否定するのか?
私は、資産形成においてもっとも避けるべきは「破綻リスク」だと考えています。
どれだけ資産が増えていても、たった一度の判断ミスで、すべてを失う可能性があるのが借金です。
証券担保ローンを利用した人の中には、暴落相場で追証に耐えきれず、大事な資産をすべて失ったという例もあります。
たとえ現時点で安全そうに見えても、「借金」という時限爆弾を抱えているのと同じです。
私の基本方針:投資は自己資金で、余剰資金で
私は、「現金が必要なら、使ってもいい現金を確保しておく」ことこそが、投資家の備えだと考えています。
だからこそ、生活防衛資金や緊急予備資金を確保したうえで、余剰資金で投資を行う。
そのスタンスを崩すべきではないと思っています。
新NISA投資家にも伝えたい
2024年にスタートした新NISA制度によって、多くの人が「非課税の長期投資」を始めています。
その中には、「NISA枠で買ったファンドは売りたくないから、担保にして現金を…」という発想をする人もいるかもしれません。
しかし、それは本末転倒です。「売らない」ことが目的化して、「借りる」ことが正当化されるのは危険な兆候です。
長期投資の本質は、「生活に困らない余力で、気長に積み立てる」こと。
決して「借金してまで保有する」ことではありません。
まとめ:便利さの裏には必ずリスクがある
証券担保ローンは、たしかに一時的に便利な資金調達手段かもしれません。
しかしその裏には、追証リスク・心理的負担・借金依存という重大な危険が潜んでいることを、どうか忘れないでください。
私自身は、「どんな形であれ、借金はしない」という方針で、これまで資産形成を続けてきました。
その結果、17年間無理なく投資を続け、家族4人を支えながら、資産7,000万円を築くことができました。
借金に頼らず、自分のペースで投資を続ける──その地道な姿勢こそが、最終的には一番強いと信じています。
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