投資

インフレで崩れる家計。サラリーマンが今できる防衛策

導入:インフレを“実感”する日常

ここ数年、スーパーに行くたびに「また値上げか」とため息をついた経験はありませんか?
パンや牛乳、卵といった日常の食品だけでなく、電気代やガソリン代も上昇し、家計への圧迫感は確実に増しています。

例えば牛乳。2020年には1本200円前後だったものが、今では230円〜250円が当たり前。ガソリンも1リットル130円台から160円台へ。外食も「ちょっとしたランチが1,000円を超える」のが当たり前になりました。賃金がそれほど伸びない中、私たちの生活は確実に「インフレ」という見えない敵に削られているのです。

物価上昇でお金の価値はどう変わった?

総務省の消費者物価指数(CPI)によると、2020年を100としたとき、2025年7月には 111.9 に達しています。つまり5年で約11.9%の物価上昇です。

これを直感的に表すと「2020年の100万円は、2025年には購買力で約89万円相当」ということになります。額面は減らなくても、買えるモノやサービスは減っている。これがインフレの本質です。

  • ペットボトル飲料(100円 → 112円前後)

  • 電気代(平均8,000円 → 1万円前後)

  • 外食ランチ(800円 → 1,000円超)

このように、私たちの財布の中身は数字が変わらなくても、中身が目減りしているのです。

家計への影響

インフレは生活のあらゆる部分を直撃します。

  • 食費:値上げ幅は特に大きく、家計を圧迫

  • 光熱費:燃料価格や為替の影響で不安定に高止まり

  • 交通費:ガソリン・公共交通料金が上昇傾向

  • 教育費:塾代や給食費もじわじわ上昇

  • 貯金:銀行に預けているだけでは、インフレ率に到底追いつけない

結果、給料が横ばいなら「実質的な生活水準」は下がり、気づかないうちに節約生活を強いられていることになります。

富裕層ピラミッドで見る「インフレによる資産の目減り」

野村総研が毎年公表している「富裕層ピラミッド」では、金融資産の保有額によって世帯を以下のように分類しています。

  • 超富裕層:5億円以上

  • 富裕層:1億円以上5億円未満

  • 準富裕層:5,000万円以上1億円未満

  • アッパーマス層:3,000万円以上5,000万円未満

  • マス層:3,000万円未満

ところが、インフレを考慮すると話は変わります。
2020年から2025年にかけて物価は約11.9%上がりました。つまり、2020年基準の「富裕層ライン」に2025年でも到達するには、名目で約1.12倍の資産が必要なのです。

各層に到達するための必要名目資産(2025年時点)

  • 超富裕層:5億円 × 1.119 ≈ 5.60億円以上

  • 富裕層:1億円 × 1.119 ≈ 1.12億円以上

  • 準富裕層:5,000万円 × 1.119 ≈ 5,595万円以上

  • アッパーマス層:3,000万円 × 1.119 ≈ 3,357万円以上

  • マス層:3,000万円未満 → 実質で 3,357万円未満

つまり、名目で同じ金額を持っていても、インフレが進めば「資産階級の基準が押し上げられる」ことになるのです。1億円を持っていても、2020年と比べると富裕層の実感は弱まり、場合によっては“階層が一段下がる”感覚に近いかもしれません。

サラリーマンができる防衛策

では、インフレが続く時代にサラリーマンはどう家計を守ればよいのでしょうか?ここでは「短期」「中期」「長期」の3つの視点から整理します。

1. 支出の見直し(短期で効く防衛策)

  • サブスクや保険を整理し「使っていないものを解約」

  • 光熱費は契約プランの見直し、省エネ家電導入で効率化

  • 食費は“まとめ買い+冷凍保存”、ふるさと納税での節約活用

ちょっとした工夫の積み重ねが、年単位では数十万円の違いを生みます。

2. 収入を増やす(中期的な防衛策)

  • 副業で小さな収入源を持つ(ライティング、動画編集、資格を活かした仕事)

  • 転職や社内異動でベース収入を高める

  • スキル投資(資格・語学・ITスキル)を通じて市場価値を引き上げる

インフレは「給与の価値」を奪います。逆にスキルを磨けば「インフレに負けない収入源」を持てるのです。

3. 投資で資産を守る(長期的な防衛策)

  • インフレに強い資産:株式・不動産・インフレ連動債

  • 新NISAの活用:全世界株や米国株インデックスを積立

  • 配当株投資:定期的なキャッシュフローを確保し、物価上昇下でも安心感を得る

投資はリスクもありますが、現金だけを持つことのリスク(実質的な目減り)を理解しないと、本当の意味で家計を守れません。

ケーススタディ:50代サラリーマンの家計を試算

仮に50代サラリーマン家庭で、月30万円の生活費を2020年から変わらず支出していたとしましょう。
物価が約11.9%上がったことで、2025年には同じ生活を維持するだけで33.6万円必要になっています。年間で43万円の差。10年続けば400万円以上もの差になる計算です。

ここに収入が伸び悩めば「知らないうちに貯金が減っていく」状態に陥るのです。

まとめ:行動しなければ、静かに貧しくなる

インフレは派手さはありませんが、確実に家計を蝕みます。
2020年に100万円で買えたモノが、2025年には89万円分しか買えない――。この現実を無視すると、知らないうちに“生活水準の下降スパイラル”に陥ります。

だからこそ、

  1. 支出を整える

  2. 収入を増やす

  3. 投資で守る・増やす

この3ステップを同時に進めることが、サラリーマンにとっての最善の「防衛策」です。

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