2025年10月。
私の総資産はついに8,000万円を超えました。
長年の積み立て投資の成果が数字として表れ、正直に言ってとても嬉しかったです。
※株価が暴落したらすぐに7,000万円台になりますが。
ところが、その喜びと同時に、こんな気持ちも芽生えました。
「ここまで来たら、1億円を目指せるんじゃないか?」
──まさに、数字のマジックです。
本来の目的は「老後資金の確保」や「家族の安心」だったはずが、
気づけば“キリのいい数字”を追いかける自分がいました。
8,000万円という到達点と「上を見たくなる心理」
人間は「区切りの数字」に弱い生き物です。
1,000万円、5,000万円、1億円。
数字が一桁変わる瞬間に、特別な達成感を覚えるものです。
私も例外ではありません。
8,000万円という数字を見たとき、これまでの努力が報われた気がしました。
同時に、「あと2,000万円で1億」という現実的な距離感が、妙に心をくすぐります。
しかし、冷静に考えると、
8,000万円も1億円も、生活の中で実感できる差はほとんどありません。
数字は変わっても、やることは同じ。
相場に一喜一憂せず、支出を管理し、淡々と積み立てを続けるだけです。
そもそも「1億円」は何のために必要なのか?
メディアやSNSでは「資産1億円でFIRE」「1億円あれば安心」という言葉をよく目にします。
しかし、実際に老後を見据えると、1億円が絶対的な安全ラインではないと感じます。
仮に1億円を資産として保有しても、
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年間支出が600万円なら、約17年で尽きる
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物価上昇や税負担で実質価値は目減りする
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教育費や介護費用で想定外の支出が増える
つまり、「1億円あれば一生安泰」というのは幻想に近い。
むしろ重要なのは、資産を“どう運用し、どう取り崩すか”です。
1億円という数字はゴールではなく、単なる「通過点」。
そこに執着しすぎると、リスクを取りすぎたり、
逆に守りに入りすぎて成長を止めてしまう危険があります。
“数字のマジック”が引き起こす2つの罠
私自身、8,000万円を超えて気づいたのは、
数字の魅力に隠れた「2つの罠」でした。
① 満足できなくなる
8,000万円に到達しても、「まだ足りない」「次は1億」と思ってしまう。
この心理は、どんな資産水準でも続くといいます。
つまり、数字を目標にしている限り、永遠にゴールが来ない。
② 投資行動がブレる
「あと少しで1億」と思うと、ついリスクを取りすぎる。
高配当株や新興市場に手を出したくなる。
しかし、私の投資方針は「長期・分散・低コスト」。
この軸をブレさせる動機が“数字”になってしまうのです。
原点回帰:「数字」より「状態」を目指す
では、どうすれば数字に振り回されずにいられるのか。
私が今、意識しているのは「数値目標を“状態目標”に置き換えること」です。
たとえば──
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❌「1億円を目指す」
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✅「老後も安心して暮らせる家計バランスを保つ」
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❌「月5万円の配当を得る」
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✅「年金+配当で生活費を賄える状態を維持する」
こう考えると、数字は“手段”であり、“目的ではない”と再確認できます。
投資の本質は「自分と家族が安心して暮らすための仕組みづくり」。
それを忘れないことが、数字のマジックに惑わされない第一歩です。
私の現在地とこれから
私は50代の平社員。
賃貸暮らしで住宅ローンはありません。
子どもは高校3年と中学2年、教育費のピークを迎えています。
さらに、親の介護も現実的なテーマになってきました。
こうした状況を踏まえると、
「資産を増やす」よりも「資産を長く持たせる」ことが重要です。
投資信託とETFを中心に据え、
生活防衛資金を確保しながら、必要な支出は惜しまない。
相場の上げ下げに心を乱されず、“安心して暮らせる状態”を続ける。
それが今の私にとっての“逃げ切り戦略”です。
まとめ:「1億円を目指す」より「安心して暮らす」
8,000万円という数字は、一つの節目です。
でも、投資をしていて思うのは、数字の快感は一瞬、安心は一生ということです。
数字は過去の積み重ねの結果であり、未来を保証するものではありません。
1億円を目指すよりも、
「資産を使いながらも不安なく暮らせる」状態を作ることこそ、本当の成功だと思います。
これからも、私はコツコツと積み立てを続けます。
数字を追うのではなく、数字に左右されない生き方を選ぶために。
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