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米国株の落とし穴とは?個人投資家が知るべきリスクと対策

米国株投資が当たり前の時代に

近年、ネット証券の普及や少額からの海外株投資のしやすさから、個人投資家の間でも米国株への投資が当たり前のようになっています。AppleやAmazon、ウォルト・ディズニーといったグローバル企業に、日本から簡単に投資できる環境が整ったことは非常にありがたいことです。

以前ならマクドナルド株といえば「日本マクドナルドHD」でしたが、今では本家・アメリカのマクドナルド株を購入する個人も珍しくありません。投資先が国内にとどまらず、広く海外に分散されているのは、投資の分散効果という点でもメリットがあります。

インデックスファンドの人気とリスク

米国の個別株だけでなく、S&P500などに連動するインデックスファンドの人気も高まっています。特に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、買付件数や積立設定数で常に上位にランクインしています。

私自身もこのファンドを積立てており、実際に米国株の恩恵を受けています。ただし、ここで見落としてはいけないのが「為替リスク」です。

円安が進めば円ベースの評価益は増えますが、逆に円高になると株価が上がっても為替差損によって円ベースでの損失になる可能性があります。米国株投資においては、為替の変動も収益に大きく影響することを理解しておく必要があります。

また、税制上の違いや取引時間のずれ、手数料体系など、米国株ならではの特性にも慣れる必要があります。魅力が多い一方で、リスクや手間もあるという点は忘れないようにしましょう。

米国株信奉が強まりすぎていないか?

米国株の人気が高まる中、「米国株以外に投資するのは非合理」という極端な考えを持つ人も増えたように感じます。日本株を投資対象とする人に対して否定的な意見を述べる人も少なくありません。

たしかに、リーマンショック以降の米国株のパフォーマンスは目覚ましく、2020年のコロナショック後の急回復もあって、米国経済の強さが際立っているのは事実です。しかし、それでもなお「米国株だけに傾倒するのはリスクがある」という視点は必要です。

株式市場におけるパフォーマンスは、必ずしも永続的ではありません。米国が今後も成長し続ける保証はなく、むしろすでに期待が株価に十分織り込まれている可能性も高いのです。

株価は未来の期待を織り込んでいる

米国株は、常に右肩上がりだったわけではありません。例えば1966年から1982年、また2000年から2012年といった期間では、実質的にほとんど成長しなかった時期もあります。

株価というものは「期待」を織り込んだ価格であるため、すでに多くの投資家が「アメリカ経済は今後も成長する」と信じているなら、その期待は株価に織り込まれている可能性が高いのです。

つまり、「今アメリカ株を買っている自分が特別に先見の明がある」というのは思い込みに過ぎず、すでに多くの投資家が同様の行動をとっているわけです。

さらに、インデックス投資の浸透によってS&P500の構成銘柄に資金が集中する傾向も強まり、一部の巨大企業への過剰依存というリスクも内在しています。

日本株に未来がないという誤解

「日本は人口減少で衰退するから株式投資の対象として魅力がない」と考える人もいますが、それはあまりに短絡的です。

株式投資とは本質的に「生産活動に資本を投じること」であり、成長産業にだけ投資するものではありません。また、株価は将来期待される利益を割り引いて評価されるため、たとえ成長が緩やかでも適切な価格で買えばリターンは見込めるのです。

今の日本株の価格には、すでに「将来の低成長」が織り込まれており、逆にサプライズ的な成長があれば株価は大きく跳ね上がる可能性もあります。

また、配当利回りやバリュエーションの観点では、日本株はむしろ割安とされる場面も多く、安定したキャッシュフローを重視する投資家にとって魅力的な選択肢にもなりえます。

投資の本質はリスク管理と分散

確かに、私自身もアメリカの今後の成長には期待しています。ですが、それがすべて株価上昇につながるとは限りません。今の株価水準が将来「バブルだった」と振り返られる可能性もあるでしょう。

そう考えると、特定の国や市場だけに資産を集中させるのは非常にリスクが高い行動です。投資の基本は「分散」と「長期」です。短期的な成果や一時のブームに流されず、自分のリスク許容度に合った投資先を選び、淡々と積立てていくことが大切です。

たとえば、日本株・米国株・新興国株・債券・現金など、複数の資産クラスに分けて投資することで、どこかが不調でも他でカバーする構造をつくることができます。

また、定期的にポートフォリオを見直し、リスクが偏っていないかをチェックすることも長期投資には不可欠です。

まとめ:信仰ではなく、戦略としての分散を

米国株投資が当たり前になった今だからこそ、「本当にそれだけで大丈夫なのか?」と一歩引いた目で見つめる視点が必要です。

米国株が強いから投資する、日本株は冴えないから外す──そんな感覚的な判断ではなく、「市場はすでに多くの情報を織り込んでいる」「何が起きても対応できるように分散しておく」といった戦略的な視野を持つべきです。

投資は信仰ではありません。未来は誰にも読めません。だからこそ、複数の国、複数の資産に広く分散し、柔軟に対応できる体制を整えておくこと。それが、個人投資家にとって最も現実的で再現可能な、堅実な資産形成術なのです。

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