経済

日本は実感の伴わない経済回復をしているので、バブルが起こる可能性があると考える

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日本は実感の伴わない景気回復をしている。

政府は2020年2月の月例経済報告でも、「景気は緩やかに回復」という判断を維持して発表している。今までの政府の発表は基本的に景気回復を主張してきました。昨年の2019年1月29日には、これまでの最長記録である「いざなみ景気」を超えて「戦後最長の景気回復」と発表しています。

株価は堅調に上がってきました。

アベノミクスの経済政策により株価も大きく上がりました。しかし、長期金利は一向に上がらないどころか日本銀行はマイナス金利政策まで行っています。歴史的にみても異例な政策を実施して金利を抑えこんでいるのです。政府や日本銀行としても通常の金利状態に戻したいと思っているはずです。だが、なかなか上手くいっていないのが現状です。

長期金利はどのように決まっていくのか。

それでは長期金利と言うのはどのようにして決まるのか。長期金利というのは基本的に自由市場で決まるものです。なので、株価と同じで将来予測が難しく自由にコントロールできるものではありません。日本銀行は金融緩和の一環として長期金利の低下を図るため、国債の買い入れ額を増やし、買い入れた国債の残存年限を延長したりしました。このような政策の下では長期金利の低下を招きます。長期金利の低下は、投資が喚起され株や不動産などの価格が上昇します。なので、この政策は功を奏し株価と不動産価格は上昇したのです。

物価上昇の目標2%には到達していない

しかし、黒田日銀総裁が就任当初、目標にしていた物価上昇率2%は到達できていません。なので、長期金利を上げる方向での金融引き締めに舵が取れない状況となっています。

長期金利は日本銀行の政策金利の影響を受けますが、基本的には自由市場で金利が決まるものです。

長期金利が上昇する原因

長期金利が大きく上昇する要因は2通りあります。

一つは日本が財政破たんする状況です。これは社債を考えてもらえれば分かると思いますが、与信状況が危ない会社の社債は金利が高くなります。これは国も同じです。国が破たんするリスクが高まると国債の金利は上昇していきます。

もう一つは、景気が回復する状況の中で、物価が上昇して起こる金利上昇です。設備投資や株価が堅調で債権に投資をするよりも、設備投資や株などに投資した方が資金効率が良いと市場が判断したら景気は回復傾向になっていると言えます。そのような状況下においては債権価値が低下するので長期金利も上昇するのです。また、景気が過度に回復して物価上昇が大きくなればインフレになっていきます。そうなれば、政府は金融引き締めに動くので更に長期金利は上昇する方向に動くのです。

日本の現状

今の日本は日本銀行のマイナス金利政策により株価や不動産価格は上昇しました。しかし、賃金の上昇が思うように進まず景気回復がそれほど進んでいない状況です。このあと、景気回復が続き設備投資や株価上昇して賃金までも上昇しだすと本格的な景気回復に向かいます。そうなると長期金利も上昇に向かい出します。

しかし、現状は政府が発表している景気回復に対して一般市民には実感がないという状況です。これは物価上昇に対して賃金が追い付いていないので景気が実感できないということです。

しかも、政府は消費増税を10%に引き上げてしまったので、更に景況感が悪化してしまいました。また、実体経済も2019年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価上昇分を差し引いた実質成長率が、前期(7~9月期)に比べ1.6%低下しました。年率に換算すると6.3%ものマイナスになってしまいました。また、更に追い打ちをかけるようにコロナウイルス拡大による世界経済の影響懸念から株価も大きく下げております。これにより政府や日本銀行が金融引き締めに動くことは当面なくなったように思います。

アメリカ経済の状況

コロナウイルスの影響でニューヨークダウ平均株価も大きく下落しました。コロナウイルスの影響が出るまでは米国の株価は堅調に推移していました。経済指標もそれほど悪くなかったので、米連邦準備理事会(FRB)は利上げも利下げも行わないと思われていました。しかし、コロナウイルスによる株価の大幅な下落により、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測は強まっています。

もし、ここで米連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切れば株価にとってはプラス材料です。アメリカ経済が堅調の中での利下げになってしまうので、もしかすると少しバブルの様子を呈するのではないかと思っています。そうするとアメリカ株が再び最高値を目指して上昇しだすと予想されます。そのようになれば日本株も上昇して行くことになるのです。

バブルのようなことが起こる懸念も考えておく必要がある。

株価が上がり長期金利も低いままだと景気は回復傾向に走ると思います。ただ、金融緩和も長く続いているので、今度の回復はバブルの様相を呈する可能性も視野に入れる必要があります。株価も含め景気がバブル的になると長期金利は上昇しだします。すると債権価値は下がりだし、不動産価格は下落していきます。これが数年先に起こる可能性はあるのではないかと私は予想しています。

なので、今は債券投資をするより株に投資をしていた方が賢明だと思います。また、物価上昇は現金価値の低下を意味します。なので、市場がバブル的になるようでしたら株式投資比率を上げることも視野に入れたほうがいいです。ただ、あくまでも私見ですので、バブルにならないで、そのまま景気後退に入る懸念はあります。なので、投資は自己判断でお願いします。参考になりましたら幸いです。