株式投資と聞くと「長期保有が王道」とよく言われます。配当や複利の効果を最大限に活かすには、10年、20年と時間を味方につけるのが理想的。
ところが実際のデータを見てみると、10年以上株を保有できている人は全体のわずか28%しかいません。つまり、多くの人は「長期投資」を頭では理解していても、実際には続けられていないのです。
この記事では、日本の最新データをもとに「長期投資家が少数派である理由」と「それでも長期投資が有利な根拠」を解説します。
株式投資家の保有期間データ
2025年、日本証券業協会が発表した「個人投資家の証券投資に関する意識調査」では、株式投資家の保有期間が以下のように分かれています。
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10年以上保有:28.1%(最多層だが3割未満)
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5年以上10年未満:17.6%
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3年以上5年未満:10.0%
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1年以上3年未満:16.8%
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1年未満:13.0%
平均保有期間は 62.4か月(約5年2か月)。つまり、株式を持ち続けられるのは5年程度が“壁”になっており、そこからさらに10年以上続けられる人はグッと減ります。
なぜ10年以上保有できないのか?
では、なぜ「長期投資は王道」と分かっていながら、ほとんどの人が途中で売ってしまうのでしょうか。
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相場の変動に耐えられない心理
暴落相場に直面すると「これ以上下がる前に売りたい」という気持ちが勝ってしまいます。リーマンショックやコロナショック時に売ってしまった人は少なくありません。 -
ライフイベントによる現金化
教育費や老後の資金準備、親の介護などでまとまった現金が必要になり、投資を解約せざるを得ないケース。 -
短期利益を狙う投資スタイル
値上がり益を狙って数年で売る人も多いです。特にSNSや証券会社のアプリの影響で、短期売買に走りやすい環境になっています。
それでも長期投資が有利な理由
一方で、10年以上持ち続けた人たちは、結果として株式市場の成長の恩恵をフルに受け取れる立場にいます。
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複利の効果が効く
配当再投資や値上がり益が雪だるま式に増えるのは、10年以上の時間があってこそ。 -
市場の回復力を享受できる
株価は短期的に乱高下しますが、長期的には右肩上がりで成長してきました。日経平均も2024年にバブル後最高値を更新し、長期保有の強さを示しています。 -
「勝ち組」は少数派だからこそ有利
データ上、10年以上保有できるのは全体の28%。裏を返せば、長期投資を貫けるだけで上位3割に入れるわけです。
シミュレーションで見る「10年」と「20年」の違い
ここで、具体的なシミュレーションを見てみましょう。仮に100万円を年率5%で運用した場合、結果はこう変わります。
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10年後:約163万円
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20年後:約265万円
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30年後:約432万円
この数字を見るとわかるように、20年を超えると複利効果の伸びが一気に加速するのです。途中で売却してしまえば、この恩恵を受けられません。
年代別の特徴
同じ調査では、年代別に保有期間の平均も出ています。
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30代以下:平均40.4か月(約3年半)
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50代:平均63.5か月(約5年3か月)
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60代以上:平均70か月台(約6年弱)
年齢が上がるほど「長期投資志向」が強まる傾向が見られます。これは、若いほどライフイベントで資金が必要になりやすく、また経験不足で相場に振り回されやすいからでしょう。
長期投資を続けるための工夫
10年以上持ち続けるためには、単なる根性論ではなく仕組みが必要です。私自身が実践して効果的だった方法を紹介します。
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積立投資を自動化する
毎月一定額を自動で投資信託に積み立てることで、相場を気にせず淡々と投資できます。 -
分散投資で安心感を持つ
日本株だけでなく、米国株や全世界株に分散することで、一国の景気に依存しない安定感が得られます。 -
暴落時は“ニュースを見ない”
相場が荒れているときほど、毎日のニュースに一喜一憂すると売りたくなります。私は意識的にアプリを開かないようにしました。 -
出口戦略をあらかじめ決める
「いつか必要になったら全部売る」ではなく、「老後の生活費の一部を取り崩す」といった具体的な使い道を想定することで、途中で焦って売る可能性を減らせます。
10年以上から見えてくる投資の本当のメリット
私自身の経験からも言えるのは、投資のメリットを強く感じられるのは“10年を超えてから”だということです。
数年程度では株価の上げ下げに一喜一憂して終わることもありますが、10年以上持ち続けると「複利の積み重ね」や「市場全体の成長」が数字となって実感できるようになります。
例えば、最初の5年間はプラスとマイナスを行ったり来たりしていた投資信託でも、10年を超えると評価額が大きく上振れし、配当再投資の効果も雪だるまのように効いてきます。
この“実感”は短期では絶対に味わえません。だからこそ、私は「株式は最低でも10年以上保有する」という覚悟が必要だと考えています。
まとめ:長期投資を続けられる人こそ強い
最新の日本データを見ると、株式投資家の中で「10年以上保有」できているのは わずか28%。長期投資家は少数派ですが、だからこそ市場では勝ちやすい立場にあります。
私自身も、投資歴の浅いころは「含み損に耐えられず」早く売ってしまった経験があります。しかし、インデックス投資を始めてからは「放置すること」がむしろ最大の武器だと実感しています。
👉 長期で株式を持ち続けられる人は、複利の力と市場の成長をそのまま享受できる。
👉 そして、その数が投資家全体の3割に満たないからこそ、長期投資こそ王道であり続けるのです。
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