投資

WeWork破綻の教訓|ソフトバンクの失敗に学ぶ“過大評価バブル”の現実

WeWork破綻の教訓|ソフトバンクが味わった“過大評価バブル”の現実

2019年、ソフトバンクグループが巨額の赤字を出した原因のひとつに「WeWork問題」があります。
当時、私もニュースを見て「こんなに派手なベンチャー企業が倒れるのか」と驚いたのを覚えています。

WeWorkは「働き方を変える」と謳ってシェアオフィスを世界中に展開した企業でした。しかし、実態はオフィスを借りて内装を整え、他の企業に貸すという不動産業に近いビジネス。それに約1兆円もの投資が集まっていたのです。ソフトバンクもその一角でした。

WeWorkの急成長と過大評価

2010年創業のWeWorkは、SNS的な世界観とおしゃれなオフィスデザインで若者に支持を広げ、2019年には時価総額約5兆円とまで評価されていました。
しかし、当時から「実態はオフィス賃貸業」「利益が出ていない」と懐疑的な見方も多く、数字と評価が乖離していたのです。

同業他社である英国IWG(旧リージャス)は、世界120カ国で3000拠点以上を展開し、黒字経営を続けていました。その時価総額は約4000億円。利益を上げているIWGよりも、赤字続きのWeWorkの方が10倍以上高く評価されていたわけです。
まさに「期待先行のバブル」そのものでした。

IPOで露呈した赤字と経営のずさんさ

2019年、WeWorkはナスダック上場を目指し、米証券取引委員会に届け出を提出しました。
そこで明るみに出たのが、巨額の赤字と内部統制のずさんさです。2018年の赤字は約2000億円、2019年前半も1000億円近い損失。さらに、創業者アダム・ニューマン氏の個人的な不動産取引や社用ジェット購入など、経営の私物化も報じられました。

市場の評価は一転し、5兆円あったとされる時価総額は2兆円以下に急落。
結局、IPOは中止に追い込まれ、ソフトバンクが追加支援として約1兆円を拠出することになりました。
この結果、ソフトバンクは2019年7〜9月期決算で7001億円の赤字を計上。ビジョンファンドの象徴的失敗として記憶されることになります。

そして2023年、WeWorkは破綻へ

コロナ禍でリモートワークが急速に進み、オフィス需要が激減したことも追い打ちとなりました。
莫大な固定費を抱えるWeWorkは、黒字転換の見通しを立てられないまま資金繰りが悪化。
2023年11月、ついに米連邦破産法11条の適用を申請(経営破綻)しました。

創業からわずか13年。
「ユニコーン企業の象徴」と呼ばれた会社が、こうして終焉を迎えたのです。
かつて5兆円とされた企業価値は、ほぼゼロになりました。

ソフトバンクが学んだリスクの現実

ソフトバンクの孫正義氏はその後、「反省している」と語り、AI分野への投資に方向転換します。
実際、2023年のArm上場(英半導体設計企業)では一定の成功を収め、WeWorkの損失を部分的に取り戻した格好です。
ただし、ビジョンファンドの総合的な成績はまだ道半ばであり、「投資は常にリスクと隣り合わせ」という教訓を改めて示しました。

WeWorkのような「成長物語に乗る投資」は、華やかで夢があります。
しかし、キャッシュフローが伴わない事業は長続きしないという現実もまた、忘れてはいけません。
どんなに新しいビジネスモデルでも、最終的に利益が出なければ企業価値は維持できないのです。

個人投資家としての教訓

私自身、投資を続けてきて思うのは、「人は期待に弱い」ということです。
急成長企業や“次の時代を作る”という言葉に惹かれ、つい投資したくなります。
しかし、それが実態を伴っているかどうかを冷静に見極めなければなりません。

WeWorkの失敗は、個人投資家にとっても多くの学びを与えます。

  • 利益を出していない企業に過度な期待をしない

  • 銘柄を集中させず、分散して持つ

  • 世間の流行や「次のAIバブル」に惑わされない

投資は“夢を見ること”ではなく、“現実と付き合うこと”だと思うのです。
2025年の今、AI関連銘柄が急騰していますが、私はあの時のWeWorkを思い出して冷静に構えるようにしています。

「過大評価バブル」はいつでも身近にある

バブルというのは、いつも「これは新しい」「これまでと違う」と言われるところから始まります。
しかし、根本は昔も今も同じ。過剰な期待が価格を押し上げ、現実が追いつかなくなったときに崩壊するのです。

WeWorkはその典型でした。
実体経済以上に評価された企業が崩れたとき、連鎖的に市場全体の信頼が揺らぎます。
だからこそ、私たち個人投資家は「どんなに魅力的なテーマでも一歩引いて見る」姿勢を持つことが大切です。

まとめ:現実を見つめる投資を

ソフトバンクのWeWork投資は、企業の「夢」に賭けた結果の失敗でした。
それは同時に、投資家の心理がどれほど楽観に傾きやすいかを示す事例でもあります。

長期・分散・低コスト——私のようなサラリーマン投資家が取るべき道は、結局この基本に尽きます。
派手さはありませんが、地道な積立投資こそが最も再現性の高い方法です。
WeWorkのようなバブルが再び起きても、冷静に市場を見つめられるよう、今後もブレずに続けていきたいと思います。

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