2025年3月に発表された最新の調査によると、20代の金銭感覚には過去5年間で明確な変化が現れています。
お小遣い額や貯蓄額は数字の上では増加していますが、その背景には物価高や社会構造の変化があり、単純に「余裕がある」とは言えない状況です。
また、投資や自己投資への関心が高まり、消費スタイルやライフイベントに対する考え方も変化しています。
本記事では、最新データをもとに20代のお金事情を深掘りし、今後の資産形成戦略を考えます。
1. お小遣い・貯蓄額は増加も、実感は伴わず
調査によれば、20代が毎月自由に使えるお金は2020年の 28,760円 から 34,605円 へと増加しました。
さらに、平均貯蓄額も 53万円 から 69万円 に伸びています。これは一見ポジティブな変化に見えます。
しかし実態は、食品・光熱費・通信費などの生活必需コストが上昇しており、手取りベースでの「自由に使える感覚」はむしろ減っているという声が多数。
特に単身世帯では家賃比率が高く、給料が上がっても可処分所得は横ばい、もしくは減少傾向というケースもあります。
2. 老後不安は解消せず、むしろ鮮明に
老後に必要と考える資金は平均 1,969万円。
これは「老後2,000万円問題」で広く知られる金額とほぼ同等です。
さらに、年金だけでは生活できないと感じている20代は 86.4% に達し、過去の同調査よりも増加しています。
背景には、社会保険料の負担増、非正規雇用や転職回数の増加などがあり、安定的な年金受給が困難になるという見通しが影響しています。
若いうちから新NISAやiDeCoを利用して自力で備える必要性を感じる人が増えているのは、この不安の裏返しと言えます。
3. 消費スタイルは「見栄」から「実益」へ
2020年代前半はSNS映えを意識した高額消費やイベント参加が若者文化の中心でしたが、2025年時点では状況が変わりつつあります。
調査によれば、支出の優先順位は以下の通り。
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1位:自己投資(資格、語学、スキルアップ講座など)
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2位:趣味(ゲーム、スポーツ、旅行など)
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3位:生活必需品の質向上(家具、家電など)
ブランド品や高級外食は順位を下げ、将来につながる「投資型消費」や、日常を快適にする消費が増えています。
また、中古品やリセール市場の活用、フリマアプリ利用も一般化。限られた予算を最大限に活用する姿勢が目立ちます。
4. 投資意識と新NISA利用率の上昇
新NISA制度の認知度は高く、20代の利用率は 21%。特に会社員層の利用が目立ちます。
投資先は低コストなインデックスファンドが主流で、S&P500や全世界株式(オルカン)が人気の双璧。
一方、暗号資産やFXなどの高リスク商品は敬遠される傾向にあります。
興味深いのは、「少額でも長期で」という考えが浸透していることです。
毎月1万円程度から積立を開始し、ボーナス時に追加投資するケースが増加。
これは複利効果を理解して行動している表れであり、金融リテラシーの向上とも関連しています。
5. 結婚・子育て・住宅購入のハードルは年々上昇
調査によると、20代が考えるライフイベント別の必要年収は以下の通り。
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結婚:700万円
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子育て:800万円
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住宅購入:900万円
これは5年前と比べて50〜100万円ほど上昇しています。
背景には、住宅価格・教育費・金利上昇があり、三大ライフイベントをすべて満たすのは容易ではありません。
現実的には、
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賃貸で生活の柔軟性を確保する
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子育て費用の一部を学資保険や積立で準備する
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資産形成のペースを落とさずに結婚・子育てを両立する
といった戦略が求められます。
6. 金融リテラシーの向上と情報源の変化
金融教育の浸透もあり、20代で金融知識を学んだ経験がある人は 40% に達しました。
学びたい分野は「資産形成」「生活設計」「節約術」が上位。
情報源としてはYouTubeやSNSが主流で、書籍や対面セミナーはやや減少傾向です。
また、身近な成功事例(友人の投資実績や節約術)から刺激を受けるケースも増えており、金融リテラシー向上が消費・投資行動の変化を後押ししています。
まとめ|「堅実×戦略型」が新しい若者像
2025年の20代は、過去の世代と比べて「見せる消費」よりも「備える消費」を重視する傾向が強まっています。
お小遣い・貯蓄額の増加は一つの成果ですが、それを投資や自己投資に振り分け、長期的な安定を目指す動きが主流になっています。
これからの資産形成では、
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新NISAを活用した長期積立
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不要な固定費の削減
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収入アップにつながるスキル習得
がカギとなります。
若いうちからこれらを実践すれば、物価高や社会変化に左右されにくい経済的基盤を築くことができるでしょう。
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