はじめに:SNSが投資マインドを乱す時代
SNSを見ていると、「資産1億円達成」「年間配当200万円突破」といった投稿が毎日のように流れてきます。
同世代の50代がそうした成果を上げているのを見ると、つい焦る気持ちが生まれるものです。
私もその一人でした。
しかし、資産形成は競争ではありません。
SNSの世界は見せたい断片だけを切り取った“舞台”です。
そこに自分の現実を重ねてしまうと、必要以上にリスクを取り、かえって資産を減らすことにもなりかねません。
50代の投資は「比べない勇気」を持つことが、長期的な成功の第一歩です。
比べる投資がもたらす3つの落とし穴
他人と比べる投資には、明確なリスクがあります。
私の経験も交えて整理してみましょう。
①リスク許容度を見失う
SNSで「この銘柄で爆益!」という投稿を見ると、自分も同じことをやれば儲かる気がします。
私も2021年にS&P500が急騰した時期、つい米国個別株を買いすぎてしまいました。
一時的に利益が出ても、下落時には大きく値を崩し、精神的に消耗しました。
結果、リスク許容度を超えた投資がいかに危険かを痛感しました。
②短期目線になる
比較の意識が強いと、他人より早く結果を出したくなります。
「来月の資産を10万円増やしたい」といった短期思考に陥り、長期積立の良さを自分で壊してしまうのです。
③本来の目的を忘れる
投資の本質は「自分の人生を安定させること」。
しかし、比較にとらわれると“数字を競うゲーム”になってしまいます。
本来の目的を失えば、資産が増えても幸福度は上がりません。
私が比べるのをやめたきっかけ
私が「比べない投資」を意識するようになったのは、2022年の相場下落の頃です。
SNSでは「暴落はチャンス!」という声が多く、他人が買い増ししているのを見て焦りが募りました。
しかし、自分の家計を冷静に見直してみると、教育費や生活費の支出が増え、リスクを取る余裕はありませんでした。
そこで決めたのは、
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新NISAの積立額を月1.3万円に減額
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積立銘柄は「オルカン」と「S&P500」に集中
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ボーナス投資や短期売買は一切しない
たったこれだけのルールですが、精神的には格段に安定しました。
資産は急増しませんが、下落局面でも積立を続けられるようになり、結果的にリターンも安定。
比べない投資こそが、50代にとって“最強の防御策”だと実感しています。
行動で整える「比べない投資マインド」
焦りをなくすためには、習慣レベルで自分の行動を整えることが重要です。
私が実践して効果を感じた方法を紹介します。
①SNSチェックを時間制限する
朝と夜の15分だけに限定し、投資情報を「必要なニュース」だけに絞る。
タイムラインを無目的に眺める時間を減らすと、比較思考が薄れます。
②月1回だけポートフォリオを確認
毎日見ると感情が乱れます。
1カ月単位で振り返る方が、変化の傾向を冷静に把握できます。
「増減の理由」よりも「ルールを守れたか」を確認することが大事です。
③“生活の満足度”も家計簿に記録する
お金だけでなく、健康・家族時間・ストレス度なども評価項目に入れると、
数字に一喜一憂しなくなります。
資産よりも、暮らしの安定を指標にするのです。
比べないことで得られる“家計の安定”
他人と比べなくなると、家計の判断もブレなくなります。
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必要以上に高配当株へ集中しない
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一時的な円高・円安に振り回されない
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積立停止や売却を焦らない
この3つを意識するだけで、資産形成のペースが落ち着きます。
特に50代は「守り」と「継続」が最重要です。
仮に積立額を減らしても、やめなければ複利は続きます。
私はそれを体感し、「焦らない=続けられる」を実感しています。
投資を“生活習慣”として定着させる
50代からの投資は、勝ち負けよりも継続できる仕組みづくりが鍵です。
私の場合、給与天引きで自動積立を設定し、証券口座をほとんど見ません。
見るのは月に1回の総資産を確認する時と、リバランスと積立確認のときだけ。
この仕組みを作ったことで、SNSに影響されることもなくなりました。
また、夫婦で投資方針を共有しておくのも有効です。
「リスクはこの範囲で」「売らない期間は5年以上」といったルールを共有すると、
家庭内でも安心感が生まれます。
まとめ:資産額より“心の余裕”が本当の成果
SNSに出てくる数字は、他人の一瞬のスナップショットにすぎません。
自分の生活リズム、収支、リスク許容度を基準に投資を続けること。
それが最終的に「逃げ切り」を実現する一番の近道です。
比べない投資は、結果としてお金だけでなく心も安定させます。
50代からは「増やすより守る」「他人より昨日の自分と比べる」——
この意識を持つだけで、老後の不安は大きく減っていきます。
焦らず、淡々と、自分のペースで積み立てる。
それが、これからの時代に合った“賢い投資家”の姿だと私は思います。
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