私の家計で一番プレッシャーが大きい支出は、やはり教育費です。今月、娘の専門学校の学費だけで100万円近い支払いになり、定期預金を解約して充てました。あらかじめ積み立てていたとはいえ、通帳の数字が一気に減る感覚は正直こたえます。
しかも学費は一度きりではなく来年も続きます。また、入学前には教材やパソコンの購入費も発生します。子育てで本当にお金がかかるのはここだ、とあらためて実感しました。
私は賃貸暮らしの50代サラリーマンで役職もありません。投資は長期・分散・低コスト、新NISA中心でコツコツ続けていますが、教育費の大波が来るときは家計の現金比率や流動性をどれだけ確保しておくかが勝負だと痛感します。
教育費は“毎年の固定イベント”
専門学校は2年で区切りがつきますが、大学なら4年です。進学先が遠方で一人暮らしになると、家賃・食費・光熱費に仕送りが加わり、学費以外の負担が一気に増えます。しかも初年度は入学金に加えて、PC・ソフト・専門教材・通学定期など初期費用の波が一度に押し寄せます。
家計の年間イベントとして“毎年ほぼ確実にやって来る大型出費”と認識し、ボーナスや定期解約だけに頼らず、月次の先取り積立でキャッシュを用意しておくのが現実的です。
私の失敗談を挙げると、積立を“目的別”に分けていなかった時期がありました。生活防衛資金・老後資金・教育資金を一緒くたにしてしまうと、いざという時に取り崩す順番で迷いが生じます。教育費は「時期と金額が概ね読める支出」なので、用途別に分けたうえで安全資産で持つ、という当たり前の設計がやはり強いと学びました。
少子化と“教育費の心理的ハードル”
周囲を見ても、子どもを持つか迷う最大の理由はお金、特に教育費です。価値観の多様化は歓迎すべきですが、経済的なハードルが高すぎると、結果として少子化が進み、社会保障の土台である現役世代の数が減ります。これは年金や医療を支える仕組みにとっても逆風です。
賦課方式の年金と、公平感の難しさ
年金は賦課方式、つまり現役世代の保険料で今の高齢者を支える仕組みです。
ここで私が親として感じるのは、子育ての有無による“体感負担の差”です。教育費を払いながら次世代を育てる家庭と、そうでない家庭が、同じ制度の下で同じ受益を受けるのは、本音ベースでは割り切れない場面があります。
もちろん、子どもを持てなかった事情は様々で、一律に線引きできる話ではありません。ただ、制度の持続性という観点でも、子育て世帯が報われるデザインになっていないと、社会全体が先細りするのは確かです。
私が考える現実的な方向性は、断罪や分断ではなく、①教育費の直撃を和らげる仕組み、②子育てに対する将来的なリターンの明確化、の二本立てです。
いま必要だと思う具体策
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給付型奨学金・授業料減免の対象拡大と持続的財源化
返済不要の支援を厚くし、進学のハードルを下げる。景気変動や出生数の波に左右されない予算枠が鍵です。 -
教育費の“見える化”と自動積立の標準化
幼少期から高校・進学までの費用カーブを早期に提示し、家計アプリや銀行口座で目的別積立を自動化。行動の手間を減らすことが継続の近道です。 -
子育て世帯への社会保険料・税の負担調整
児童数や就学段階に応じて保険料の定率軽減、基礎控除の上乗せなど、家計のキャッシュフローを直接改善する仕組み。 -
将来受益の可視化(年金加算・ポイント化の検討)
子育てに応じた年金加算や、育児・教育への貢献を可視化する仕組みで、長期的な“見返り”を明確にする。
家計運用の現実解(私のルール)
私は準富裕層(総資産7,000万円台)という立ち位置ですが、レバレッジや信用取引は使いません。教育費という“確実に来る請求書”に備えるには、攻めよりも守りが効くからです。具体的には、
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教育資金は安全資産で年単位の必要額×1.5倍を目安に現金・定期で確保。
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新NISAの積立は生活防衛資金と教育資金を分けた“余剰”で継続。相場に合わせず、機械的に。
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予算は年ベース→月ベースに割り、ボーナス頼みを避ける。
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受験・入学の年度は“臨時費アラート”として固定費化しておく。
こうした地味な仕組み化が、100万円級の支払いが来ても家計を壊さないコツでした。
入学前後の“想定外コスト”チェックリスト
- 受験料・交通費・宿泊費(複数学科で累積しやすい)
- 入学金の納付期限(短い)と分納可否の確認
- PC本体+周辺機器(保険や延長保証を含めると高額化)
- 教科書・専門ソフト・実習服・道具一式
- 通学定期・自転車・スーツや靴などの初期装備
- 外食や交際費の増加(新生活の立ち上がりで膨らむ)
ひとつひとつは小さく見えても、時期が重なると一気に膨らみます。私は“入学初年度パック”としてざっくり見積り、臨時費のバッファを別枠で置くことで、心の余裕が生まれました。
親の役割と、子に伝えたいこと
支払う親としては、家計を守る設計と同じくらい“お金の対話”も重要です。学費は誰かの汗の結晶であり、だからこそ学びの時間を大切にしてほしい。私は子どもに、学びの主体は自分であること、失敗を恐れず挑戦してほしいこと、そして家計に感謝してくれたら嬉しいことを伝えています。
教育の価値は、最終的に家計表には載らないかもしれませんが、人生の選択肢という形で確かに残ります。
結び:親としての実感から
今回の支払いで、私はあらためて「子育てを担う家庭が報われる社会であってほしい」と強く思いました。教育は個人の選択であると同時に、社会の基盤への投資でもあります。
だからこそ、子育て世帯の負担を軽くし、次世代を育てる行為に見合うリターンを社会全体で設計していく。
私自身、賃貸暮らしの平社員として地に足のついたやり方で備え続けます。読者の皆さんとも、このテーマを現実的にアップデートし続けたいと思います。
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