投資

高齢の親が銀行で高額な投資信託を契約!? 金融機関に騙されないための対策

「親切な銀行員」が勧めた落とし穴

当ブログではこれまで一貫して、「金融機関の窓口や営業マンに資産運用の相談をしてはいけない」とお伝えしてきました。
その理由は明白で、銀行は必ずしも顧客の利益を最優先にしているわけではないからです。

今回は、実際に銀行の窓口で資産運用の相談をしたことで失敗した50代女性のエピソードをご紹介します。

失敗談:地方銀行での資産運用相談

浅倉由紀子さん(仮名・50歳)は、将来の不安をきっかけに、地元の地方銀行へ資産運用の相談に訪れました。
「自分は投資に詳しくないので、専門家にアドバイスをもらえたら安心だと思っていたんです」と浅倉さん。

ところが、窓口で紹介されたのは手数料が非常に高い投資信託。さらに、その後は頻繁に営業の電話がかかってくるようになり、精神的にも疲れてしまったと言います。

「最初は親切そうに見えたけど、今ではただの“売り込み”だったんだと気付きました。信頼を裏切られた気持ちです」と語ります。

銀行に過度な信頼を置いてはいけない理由

このようなトラブルは決して珍しくありません。特に高齢者や投資未経験者ほど、「銀行=安心・信頼できる存在」と思い込みがちです。
しかし、現代の銀行は低金利の長期化により販売手数料収入に依存しており、利益のために高コストの商品を積極的に勧めてくる傾向があります。

高齢者が狙われやすい理由

特に注意したいのが、高齢の方々です。彼らは次のような理由で銀行に過度な信頼を寄せています。

  • 昭和の時代、銀行は地域社会の中心的存在だった

  • 定期預金や年金の手続きなどで長年の付き合いがある

  • 「銀行=お堅く、誠実な組織」というイメージが根強く残っている

  • ITや金融リテラシーに疎く、自分で調べる手段を持ちにくい

このような背景から、高齢者は親切に見える銀行員”からの営業を断りづらい状況にあります。実際、筆者の知人の母親(80代)も、外貨建て保険を複数契約していたことが判明し、解約時に大きな損失を出しました。

銀行の営業マンが勧める投資商品に潜む罠

金融機関の営業マンが勧める投資商品は、たいていの場合、手数料が高く、顧客の資産形成にとって不利です。

代表的な避けるべき商品

  • 購入手数料が2〜3%以上の投資信託

  • 信託報酬が1%以上の毎月分配型ファンド

  • 外貨建て一時払い保険

  • 仕組み債・変額年金など複雑で理解しにくい商品

これらの商品は、見かけ上の利回りや「毎月分配金」などの魅力的なフレーズで高齢者を引きつけます。
しかし、実質的には元本割れのリスクが高く、長期で見れば資産が目減りする可能性が高いのです。

金融庁も問題視する「回転売買」

また、金融機関の中には「回転売買(頻繁に売買を繰り返す)」を行って手数料を稼ぐケースもあります。
回転売買とは、資産運用の名目で必要以上に頻繁に売買を繰り返すことで、売買手数料を金融機関が稼ぐ行為を指します。

金融庁はこのような行為を問題視し、以下のような対策を講じています:

  • つみたてNISA対象商品を厳選(低コスト・長期保有に適した商品に限定)

  • 販売手数料や信託報酬の透明化

  • 高齢者への販売に対するチェックの強化

この背景には、顧客第一の資産形成ではなく、販売ノルマや手数料収入を優先する営業姿勢が、あまりにも目に余る状態にあるという事実があります。

高齢の家族がいるなら、資産内容を確認しよう

この記事を読んでくださっているあなたは、おそらく自分で情報を集めて投資判断ができる方でしょう。
しかし、あなたのご両親や親戚、配偶者などが同じようにリテラシーを持っているとは限りません

家族でお金の話をする重要性

日本ではお金の話をタブー視する傾向があります。
しかし、高齢者が金融機関に勧められるがままに商品を契約していることは、本人も気づかないうちに資産が減っている可能性があります。

たとえば:

  • 外貨保険を複数契約し、円安時に解約できず困っている

  • 毎月分配型ファンドで「分配金が出る=儲かっている」と誤解している

  • 銀行の窓口で言われるまま投資信託を乗り換えている

こうした例は、筆者の周囲でも実際に何度も見聞きしています。

ですので、ご家族に高齢者がいる場合は、ぜひ一度「最近、銀行から何か勧められていない?」と優しく声をかけてみてください。
「通帳を見せて」と言うのは抵抗があるかもしれませんが、ざっくりでも商品名や契約内容を聞けるだけで大きな手掛かりになります。

まとめ:情報弱者を守るために、知識を持ったあなたができること

日本ではよく「金融リテラシーが低い」と言われます。確かに、学校でも資産運用や金融商品の正しい知識を教わる機会は少なく、一般の人が正確な判断をするのは難しい状況です。

しかし、筆者はそれ以上に「金融機関側のモラルの低さ」が問題だと考えています。
顧客の利益よりも、自社の収益を優先する体制のままでは、信頼を築くことはできません。

本来であれば、金融機関こそが中立的であり、顧客の将来のために最適なアドバイスができる存在であるべきです。

とはいえ、現状では「自分の資産は自分で守る」ことが大前提です。そして、身近な人を守れるのも、知識を持ったあなただけです。

どうか、ご家族や周囲の人と定期的に「資産の健康診断」を行ってください。
それが、老後を守る最大の防御策になるはずです。

 

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