投資

逃げ切り戦略 :7,000万円で老後は本当に安心か?

「7,000万円あれば老後は大丈夫」。
そう思っていた私が、最近になって“安心”と“油断”の違いを痛感しています。
50代も半ばを過ぎ、子どもは高校と中学。教育費のピークはまだ終わらず、賃貸生活のまま老後資金を積み上げる日々です。
資産はようやく7,000万円台。準富裕層と呼ばれる水準には到達しました。
しかし──この金額で本当に「逃げ切れる」のか。
それを考え直す時期が、今まさに来ていると感じています。

■ 「7,000万円=安心」とは限らない現実

7,000万円という金額を聞くと、多くの人は「十分だ」と思うでしょう。
野村総研の定義では、純金融資産5,000万〜1億円が準富裕層。
この層は「老後資金に困らない」とされます。
ただし、実際にその金額を保有してみると、想像より“余裕がない”のが現実です。

理由はシンプルで、資産はあっても収入が止まれば減る一方だからです。
定年後の生活費が月25万円でも、年間300万円。
仮に65歳から90歳まで25年間生きれば、7,500万円が必要になります。
つまり「7,000万円=生活費25年分」でしかなく、病気や家賃上昇、物価高を考慮すればギリギリ。
安心というより、“まだ走り続けなければいけない位置”にいるのが実感です。

■ 老後に潜む「固定費の壁」

私が賃貸暮らしを続けている理由は、流動性と身軽さを重視しているからです。
しかし、家賃は老後になっても支払う必要があります。
いわば“固定費の壁”です。
仮に家賃10万円、共益費込みで12万円とすれば、年間144万円。
これを年金でまかなうのは容易ではありません。
ゆとりある老後を望むなら、年金+取り崩しで年300万円程度の生活費は覚悟が必要です。
だからこそ「逃げ切る」には、“出費の減らし方”を戦略的に考える必要があります。

食費や光熱費は限界まで削っても、医療費や通信費は上がる一方。
さらに、今後は介護費と健康維持コストが家計を圧迫する可能性があります。
「節約」だけでは守り切れない時代に入っているのです。

■ 投資で増やすより「減らさない仕組み」をつくる

7,000万円をどう運用するか。
私が意識しているのは“攻め”よりも“守り”です。
これまでの投資方針は「長期・分散・低コスト」。
オルカンとS&P500を中心に、新NISAの非課税枠を活用しながら積み上げてきました。
しかし、50代後半になるとリスクの取り方を変える勇気が求められます。

たとえば株式比率を下げて債券や現金比率を高める、配当再投資を取り崩しモードに変える。
「増やす」よりも「減らさない」設計。
そのためには、生活防衛資金を1,000万円ほど確保し、投資資産とのバランスを明確に区別しています。

インデックス投資を続ける一方で、現金を厚くしておく。
この“二段構え”が、逃げ切り戦略の最終形だと感じています。

■ 「逃げ切る」とは、働く気持ちを失わないこと

7,000万円という数字は確かに心の支えになります。
しかし本当に安心できるのは、「働く意欲を失わないこと」です。
完全リタイアしてしまうと、社会との接点が減り、想像以上に心が弱ります。
私は副業や在宅ワークなど、“細く長く働く仕組み”を模索しています。
それが、精神面でも家計面でも安定をもたらすのです。

「逃げ切る」とは、逃げることではなく、生きる力を維持すること
そのためには、完全なリタイアを目指すよりも、「働きながら減らさない」状態を長く保つ方が現実的です。
定年後も社会とつながる。それが、真の安心につながる道だと思っています。

■ インフレ時代の“想定外”にどう備えるか

2025年のいま、物価上昇が家計を直撃しています。
食料品、電気代、保険料、そして家賃。
すべてが数年前より上がっている。
この状況で「想定通り」に老後を乗り切れる人はほとんどいません。
インフレの影響を受けない生活など存在しないのです。

私の対応策は、支出の固定化を避けることです。
たとえばサブスクの見直し、車の手放し、スマホプランの最適化。
一度決めた支出を“変えない”のではなく、“柔軟に変えられる体質”をつくること。
これがインフレ下での生存戦略だと感じています。

また、年金を繰り下げて受給額を増やすのも一つの選択。
65歳で受け取るより70歳まで待てば、年金は約40%増。
「逃げ切り」とは、数字を守ることではなく、“収入と支出のバランスを保つこと”に尽きます。

■ 油断しないための「心のポートフォリオ」

資産7,000万円を持っていても、不安が消えることはありません。
むしろ金額が大きいほど、減ることへの恐怖が強くなる。
だからこそ大切なのは、お金だけに頼らない安心の源を増やすことです。

私にとってそれは、家族との時間、健康、そして「学び続けること」。
老後に備えるとは、数字を積み上げるだけでなく、“心のポートフォリオ”を育てることでもあります。
人とのつながり、好奇心、そして小さな達成感。
それらが不安を和らげ、老後の生活に張りを与えてくれる。
7,000万円の資産は、そのための“土台”に過ぎません。

■ まとめ:逃げ切り戦略の答えは「安心より納得」

結局のところ、老後資金7,000万円で安心できるかどうかは、“納得できる生き方があるか”に尽きます。
いくら資産があっても、老後に不安がゼロになることはありません。
だからこそ、安心を“外側”に求めるのではなく、自分の“内側”に見つける必要がある。

7,000万円あっても、まだ働く。まだ学ぶ。まだ楽しむ。
そんな「逃げ切らない生き方」こそが、私の最終的な逃げ切り戦略です。

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