チャック・フェニー氏とは何者か?
チャック・フェニー(Chuck Feeney)氏は、免税店チェーン「DFS(Duty Free Shoppers)」の共同創業者であり、莫大な資産を築いたアメリカの実業家です。
しかし彼が真に注目される理由は、生涯を通じて8,000億円(約80億ドル、当時のレートで約8,000億円、現在の為替では1兆2,000億円超)以上を慈善事業に寄付した「無欲の億万長者」という生き方にあります。豪華な家も、プライベートジェットも持たず、質素な生活を貫きながら世界中の教育・医療・人道支援に資産を使ってきた彼の行動は、多くの人々に感動と衝撃を与えました。
2020年、すべての財団資産の寄付を終えた彼は、事実上「無一文」になりましたが、それを誇りに思うと語っています。
どのようにして資産を築いたのか?
フェニー氏は、1960年にロバート・ミラー氏とともにDFS(Duty Free Shoppers)を創業。空港での免税品販売を一大ビジネスへと拡大し、特にアジア市場の富裕層を中心に成功を収めました。
DFSの成長によって彼は巨万の富を築きましたが、1984年にはすでに自らの持ち株を慈善財団(アトランティック・フィランソロピー)に匿名で譲渡。この財団を通じて、教育機関、医療、社会正義、科学研究などへの支援を行ってきました。
なぜ彼は「生きているうちに寄付」したのか?
フェニー氏は「生きているうちにお金を使って、人々にインパクトを与えるべきだ」という信念を持っていました。
Giving while living(生きているうちに寄付する)
この哲学に基づき、財団も「期限付き」で設計されており、2020年にはその使命を完了させ、解散しました。
これは、遺言や死後の寄付ではなく、生きている間に自らの目で支援の成果を見ることを重視した結果であり、同様のアプローチをとる「Giving Pledge(ギビング・プレッジ)」運動の先駆けともなりました。
チャック・フェニー氏の寄付の実例
彼の寄付の中でも特に有名なものには以下のようなものがあります:
- コーネル大学への3億5000万ドル超の支援(自身の母校)
- ベトナム戦争退役軍人の医療支援
- アイルランドの大学・研究機関への巨額支援
- 公共医療制度や老朽化した病院の再建資金
- 南アフリカの人種間医療格差是正への助成
教育と医療を重視したその寄付先の選定には、「自立と公正」を支援する思想が一貫しています。
チャック・フェニー氏の生き方から学べること(筆者の私見)
チャック・フェニー氏のような人物は、並外れた経営能力と人間力、そして知性と行動力を兼ね備えており、私のような凡人がすべてを真似できる存在ではありません。
しかし、そんなフェニー氏の生き方からでも、私たちが学べることは数多くあります。その中でも特に印象的なのが、「お金との向き合い方」です。
投資をしていると、どうしても「いくらの資産を築いたか」「資産額をいかに増やすか」といった数字にとらわれがちになります。ですが、どれほど資産を築いたとしても、最終的に人生を終えるときにその資産は自分自身の役には立ちません。
だからこそ、「何のためにお金を増やすのか」「その資産をどう使いたいのか」を考えることが、投資と向き合う上でとても重要です。フェニー氏は、自分のためではなく、社会のためにその資産を使う道を選びました。その姿勢にこそ、私たち凡人にも参考になる「お金との付き合い方」があるように思います。
私自身、贅沢を追い求めるような生活にはあまり興味がありません。資産をひたすら増やすことを目的にしているわけでもありません。むしろ、家族とともに安心して暮らしていける生活を確保できれば、それ以上を求める必要はないのかもしれない——最近、そう感じるようになりました。
資産形成に励む日々の中で、時折フェニー氏のような人物の生き方を思い出し、「お金の目的」を問い直してみる。それが、投資におけるブレない軸を持つための一つのヒントになるのではないでしょうか。
まとめ:資産の「使い方」にこそ価値がある
チャック・フェニー氏のように「与えること」に人生を捧げるのは容易ではありません。しかし、彼の姿から私たちが学べるのは、お金を得ること以上に「どう使うか」にこそ人生の価値が宿るという視点です。
投資に励む中で資産額に囚われてしまいそうなときこそ、一度立ち止まってチャック・フェニー氏の生き様を思い出してみてください。資産形成の先に、どんな人生を描きたいのか。その問いを持ち続けることが、真に豊かな人生への第一歩になるはずです。
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