はじめに
「家は持つべき」「賃貸は老後に不安」──日本には根強い“持ち家信仰”があります。
しかし私は50代になった今も賃貸暮らしです。持ち家を買ったことがなく、住宅ローンは一度も組みませんでした。
結果として、家賃は払い続けていますが「住宅ローンに縛られない安心感」を得ることができました。教育費が重い時期でも破綻せずに済んだのは、賃貸だったからこそです。
この記事では、なぜ私が「持ち家より賃貸」を選んだのか。ローンを抱えなかったことで得られたメリット、そして近年の不動産価格上昇も踏まえた考え方を、実体験と数字を交えて解説します。
1. 30代で持ち家を買わなかった理由
住宅ローンの重さ
30代前半、3,500万円の新築マンション購入を検討しました。頭金を300万円入れても、ローンは3,200万円。
返済は月10万円前後、ボーナス払いを加えるとさらに増えます。教育費や生活費を考えれば「ローン返済のために生きる人生」が見えた気がしました。
転勤・異動の可能性
会社員には転勤リスクがあります。実際、40代で勤務地が変わりました。もしその時に持ち家があったら、売却や単身赴任を迫られたでしょう。賃貸だったからこそ柔軟に住み替えができました。
2. 賃貸暮らしのメリット
ローン返済のプレッシャーがない
ローンは何十年も返済が続きます。昇進もなく給与が大きく増えなかった私にとって、それは大きなリスクでした。賃貸は毎月の家賃こそかかりますが、返済不能に追い込まれる心配がありません。
修繕費・固定資産税が不要
持ち家は修繕やリフォーム、固定資産税が必ず発生します。友人は屋根の修理で200万円を支払ったと言います。私はそうした突発的な出費がなく、生活を安定させられています。
住み替えの柔軟性
子どもの成長やライフスタイルに応じて住み替え可能。老後は駅近の小さな部屋に引っ越して家賃を抑える予定です。
3. 持ち家と賃貸の「コストと価値」
かつては「賃貸はお金をドブに捨てる」「持ち家は資産になる」と単純に比較されました。
しかし今は事情が変わっています。
不動産価格の上昇
都市部の新築マンション価格は10年前より大幅に上昇しました。買った人が数千万円単位の含み益を得たケースもあります。結果として「買った方が得だった」という現実は確かにあります。
立地と時期で結論は変わる
-
都心や人気エリア → 資産価値が維持・上昇し、購入者が有利
-
地方や郊外 → 人口減少で値下がりリスク大。購入は不利になりやすい
つまり、「持ち家が得か賃貸が得か」は一概に言えません。立地や購入時期で結果が変わるのです。
私の場合
私のように平均的な収入で教育費がかさむ家庭にとっては、無理なローンはリスクが高い。資産価格上昇の恩恵を受けられなかったかもしれません。結果的に「賃貸を選んだことが安心につながった」と考えています。
4. 賃貸で助かった実体験
教育費ピークの時期
高校生と中学生がいる現在、教育費は家計に大きくのしかかります。もし住宅ローン10万円が加わっていたら赤字はさらに拡大していたでしょう。賃貸でなければ家計が持たなかったと思います。
転勤・異動対応
勤務地が大きく変わった時、賃貸だったため住み替えで対応できました。持ち家があれば売却や空き家リスクに直面していたはずです。
修繕費の回避
同年代の友人はリフォームで数百万円を支出。私は家賃のみで済み、心身の余裕を保てました。
5. 老後の賃貸不安と対策
「高齢になると賃貸は借りにくい」とよく言われます。確かに70代以降は入居審査で不利になることもあります。
ただし近年は高齢者向け賃貸やUR、公営住宅、サ高住など選択肢が増えています。私は60代前半で長期入居可能な物件に移る計画を立てています。
6. 投資と賃貸の好相性
住宅ローンを抱えなかった分を投資に回し、現在は資産7,000万円台。新NISAを中心にインデックス投資を続けています。
「家は資産」と言われますが、私にとっては「投資に回せるお金を確保したこと」こそ資産形成の源泉でした。
まとめ:私が持ち家を選ばなかった理由
-
無理なローンを避け、教育費ピークを乗り切れている
-
修繕・固定資産税のリスクを抱えなかった
-
転勤やライフステージの変化に柔軟に対応できた
-
投資に回して老後資産を築けた
確かに不動産価格上昇で「買った方が得」なケースもあります。
しかし私にとって賃貸は、精神的にも家計的にも最適な選択でした。持ち家か賃貸かに絶対の答えはなく、自分のライフスタイルやリスク許容度に合う方を選ぶことが大切です。
にほんブログ村に参加してます。クリックして頂くと有り難いです。

