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社債投資はおすすめできない?個人投資家が知るべきリスクと現実

個人投資家に社債は必要か?——高利回りに潜む落とし穴

債券投資に興味を持つ個人投資家が増えています。特に、安定した利回りが期待できる「社債」は、投資信託や株式とは異なる選択肢として注目されています。しかし、社債は本当にポートフォリオに加えるべき資産なのでしょうか?

この記事では、個人投資家が社債を検討する際に知っておくべき「リスク」「利回りの背景」「代替手段」などを具体的に解説していきます。

社債とは?──企業が発行する借金証書

社債とは、企業が投資家からお金を借りるために発行する債券です。発行企業は、あらかじめ定められた利率(クーポン)と償還期限に従って、投資家に利子と元本を返済します。

株式との大きな違いは、「債券保有者は企業のオーナーではない」点です。株主は企業の業績次第で配当を得たり株価上昇益を期待できますが、債券保有者はあくまで「貸し手」であり、契約通りの利子を受け取る代わりに、企業の成長による追加リターンは得られません。

なぜソフトバンクの社債が注目されるのか?

2025年4月、ソフトバンクグループが発行した第65回無担保社債は、税引前年利3.34% という高水準で、6,000億円を調達。これは個人向け社債として過去最大級の金額です。

ここで注目すべきは、「なぜここまで高い金利を提示する必要があるのか」という点です。

通常、企業は信用力が高ければ銀行などの金融機関から、より低金利で資金調達できます。しかしソフトバンクは、あえて手間とコストをかけて個人投資家から高金利で資金を集めているのです。これは裏を返せば、「金融機関が好条件で貸してくれない」事情があると読み取れます。

ソフトバンク社債:年利推移の具体データ

回次 年度 年利(%) 年限 調達金額(億円)
第65回 2025年 3.34% 約5年 6,000
第64回 2024年 3.15% 約7年 5,500
第63回 2024年 3.03% 約7年 4,000
第59回 2023年 2.84% 約7年 不明
第55回 2019年 1.64% 約6年 3,000
第52回 2017年 2.03% 約7年 2,000

2017年にはすでに年利2.0%以上を提示していましたが、2023年以降の利回りはさらに上昇傾向にあります。これは金利上昇局面での発行であるだけでなく、ソフトバンクグループの財務状況がマーケットから厳しく見られている証左でもあります。

社債投資の本質的なリスク

社債は「安定的に利息が得られる」と思われがちですが、実際には多くのリスクが潜んでいます。

信用リスク

発行企業が倒産すれば、利子どころか元本すら返ってこない可能性があります。しかも、社債は株式と異なり取引市場が限定的であるため、途中売却の流動性にも課題があります。

条項リスク

最近の社債には「繰上償還条項」や「利払繰延特約」など、発行企業側に都合のよい条項が付けられることがあります。これは、せっかくの高利回りも突然キャンセルされる可能性があることを意味します。

格付けの盲信も危険

格付け会社が付与する「BBB」や「BB」といった格付けは一定の目安になりますが、あくまで「今現在」の信用力を示すにすぎません。2008年のリーマンショック時にも、高格付けを受けていた企業が突然破綻する事例が相次ぎました。

地方債や国債との比較

債券投資としてより安全性を重視するなら、「国債」や「地方債」が一般的です。国債は元本保証性が高く、信用リスクも限りなく低いため、資産の一部を債券に分散させたい人には有力な選択肢です。

ただし、地方債は発行体の財政状態次第では安全性に不安があるケースもあり、慎重な見極めが必要です。利回りは社債に比べて大きく劣ります。

社債よりインデックス投資を優先すべき理由

個人投資家が安定的な資産形成を目指すなら、インデックスファンドを通じた長期投資のほうが遥かに合理的です。

  • 小口から投資可能

  • 運用コストが低い

  • 分散が効いているためリスクが限定的

  • 再投資や積立がしやすい

こうした利点は、情報量や分析能力で劣る個人投資家にとって極めて有利です。無理に社債を買う理由はほとんどありません。

まとめ:社債投資は“プロ向け”

ソフトバンクのように高利回りを提示する社債は魅力的に映ります。しかし、その裏には企業の財務体質や市場の評価、与信リスクなど、数々の不確定要素が潜んでいます。

✅個人投資家が社債に投資するには、「情報力」「判断力」「リスク許容度」の全てが求められます。

したがって、特に初心者や退職金運用層には、「社債よりも長期国債」あるいは「株式の分散投資(インデックスファンド)」が賢明な選択肢です。

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