投資

“もし買っていたら…”の罠。GAFAに投資しなかったあなたへ

GAFAは確かにすごいが、事前予測は至難の業

GAFA──Google、Amazon、Facebook(現Meta)、Apple。この4社は、いまや誰もが知る米国の巨大IT企業です。もし20年前にこれらの企業に投資していれば、いまごろ大金持ちだっただろう……。そんな話を耳にすることがあります。

たしかにGAFAは、小さなベンチャー企業から世界的企業に成長しました。Googleは独占禁止法の対象になるほどの市場支配力を持ち、Appleは時価総額世界一の企業として君臨しています。

しかし、「この企業は将来伸びる」と分かっていても、当時に株を買えた人はどれほどいたでしょうか? 多くの人は、“結果が出てから”その価値を認識しているに過ぎません。

注目されていない時期に、将来の可能性を信じて投資することは容易ではありません。メディアも取り上げず、誰も話題にしていない企業の株を、自らの判断で買うには大きなリスクと勇気が必要なのです。

成功者だけを見てしまう“生存者バイアス”

GAFAに早期から投資していた人の中には、実際に大きな資産を築いた人もいます。彼らの体験談は書籍やメディアでもよく取り上げられ、あたかも「成長株への投資こそが正解だ」と思わせるような語り口が多いのも事実です。

しかし、それは“生存者バイアス”に過ぎません。成功した人だけが目立ち、失敗した人の声は表に出てきません。GAFAのような大化け株を探し当てようとして、損失を被った人は数えきれないほどいます。

成功者は後から「私は可能性を信じていた」と語りますが、実際は多くの偶然や時代背景、運にも左右されているのです。そして、同じように信じたのに報われなかった人の存在は、歴史の裏に埋もれてしまいます。

結果を出した一部の声に踊らされて、安易に成長株投資へと傾倒するのは、非常に危うい行動です。

インデックス投資はつまらない? でも、それが良い

では、凡人が手堅く資産形成を目指すにはどうすれば良いのでしょうか?

私が推奨するのは、インデックスファンドを活用した長期分散投資です。特定の成長株に賭けるのではなく、市場全体に広く分散し、長い時間を味方につけて資産を増やしていく──これがインデックス投資の基本スタイルです。

はっきり言って「地味」です。雑誌やテレビで取り上げられるようなドラマティックな話はありません。数ヶ月で資産が倍になることもありませんし、投資のスターにはなれません。

しかし、コツコツと平均点を積み重ねることで、安定した資産形成が可能になります。リスクを抑えながら経済成長の恩恵を受けるには、これ以上に再現性のある方法は少ないのです。

なぜインデックス投資は続けにくいのか

「地味な投資法」であるがゆえに、インデックス投資は続けることが難しいという側面もあります。

投資を始めたばかりの頃は、つみたてNISAや全世界株式インデックスファンドを購入していても、雑誌やSNSで「この銘柄で1年で資産3倍!」といった派手な情報を見ると、つい心が揺れてしまいます。

「自分ももっと早く儲けたい」「今のやり方では遅すぎるのでは?」──そんな思いから、手を広げすぎたり、高リスクな個別株に手を出してしまう人も少なくありません。

でも、そこでブレてしまっては本末転倒。インデックス投資は「地味だけど継続できるかどうか」が成果を大きく左右します。ぶれずに、毎月コツコツと積み立てを続ける強さこそ、インデックス投資最大の武器なのです。

投資とは“すぐに儲かるもの”ではない

そもそも、投資とは「資本を企業に提供し、生産活動によって生まれた利益を分配として受け取る行為」です。投資したからといって、すぐに利益が出るわけではありません。

投資の本質は、企業や経済の成長に“時間をかけて参加する”ことにあります。だからこそ、長期で投資を続ける意味があり、複利の効果が活きてくるのです。

短期間でリターンを得ようとする思考は、投機に近くなります。そして、投機は成功と失敗の差が大きく、再現性が極めて低い世界です。凡人にとって安全とは言えません。

長期投資家に求められるのは、目先の利益にとらわれない冷静さと、複利の力を信じて待つ忍耐力です。

まとめ:成功者の裏にあるリスクも忘れずに

成長株で大成功した人の話は、確かに魅力的に聞こえます。でも、その陰で数多くの投資家が失敗している現実も忘れてはなりません。GAFAに先行投資して成功した人はごく一部であり、後から「信じていた」と語るのは結果論です。

凡人が資産形成で成功するには、特別な才能よりも、再現性のある手法を地道に続ける力が必要です。

インデックス投資は、誰もが手に入る最適解かもしれません。派手さはありませんが、浮き沈みに惑わされず、長期で市場に居続けることができれば、それは大きな武器になります。

短期の爆益ではなく、長期の安定を。凡人が選ぶべきは、「退屈な成功」です。

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