雑記

物価高で消費者金融は増えた?CIC統計で確認

スーパーの値札がじわじわ上がり、電気・ガスも家計に刺さる。
そんなときに気になるのが「結局、みんな借りてるの?」「消費者金融って伸びてるの?」という話です。

この記事では、推測ではなく、毎月公表されているCIC(指定信用情報機関)の統計を中心に、
「借りる人が増えたのか」を人数件数残高で確認します。
あわせて、長期的に見ると“なぜ借入が縮んだのか”も、制度面から整理します。

結論:直近は「借りる人」も「借入残高」も増えている

まず結論です。CICの「貸金情報統計概況(2025年11月度)」では、次のような増加が確認できます。

  • 残高有人数:1,138万人(前年同月比 101.3%)

  • 残高有件数:1,811万件(前年同月比 102.4%)

  • 登録残高:12兆1,150億円(前年同月比 104.9%)

つまり、“借入残高がある人(人数)”も増え、契約件数も増え、残高も増えている
「物価高で家計が苦しくなり、借入が増える人が出ている」という感覚は、少なくとも足元の数字とは整合します。

※ここでいう統計は、加盟貸金業者がCICに登録する個人向け貸付(クレジットカードキャッシング・カードローン・証書貸付等)が対象です。

データの読み方:人数・件数・残高は、意味が違う

ここ、混ざると一気に議論がズレます。

  • 残高有人数:いま借入残高がある人の“人数”

  • 残高有件数:借入契約の“件数”(1人が2社から借りていれば2件)

  • 登録残高:借入残高の合計(いわば“借金総額の合計”)

CICの2025年11月度では、参考として
一人当たりの残高有件数は1.59件一契約当たりの残高は66.9万円と示されています。
「人数が増えた」のか、「同じ人が複数件になった」のかで、見える景色は変わります。

ただし注意:増えているのは“困窮”だけではない(中身を見る)

「増えている=みんな生活が破綻寸前」という話に直結するかというと、そこは少し冷静に見たほうがいいです。
CICの同じ資料には、借入件数(何件の借入があるか)別の内訳があります。

2025年11月度の内訳を見ると、たとえば次のような動きが示されています(前年同月比)。

  • 1件:件数 99.9%/人数 99.9%

  • 2件:件数 102.7%/人数 102.7%

  • 3件:件数 104.8%/人数 104.8%

  • 4件:件数 106.6%/人数 106.6%

  • 5件以上:人数 105.5%(件数 105.1%)

ざっくり言うと、「1件だけ」は横ばい~微減、複数件は増えている
ここから読み取れるのは、次の可能性です。

① 物価高で“つなぎ”が必要になり、複数口座化しやすい

1社の枠だけでは足りず、複数社に分散する(あるいはカードキャッシングも併用する)。
家計のショートを避けるために、短期の資金繰りで借入が動く局面はあり得ます。

② 「借換(おまとめ等)」で“整理”する動きもある

CIC資料には「借換ローン」など、総量規制の除外・例外貸付の集計枠も掲載されています。
借換は、金利や返済計画の見直しで“整える”行為でもあるので、
必ずしも「新規で借り散らかしている」という意味だけではありません。

③ “借入”の母集団は、消費者金融だけじゃない

CIC統計は、消費者金融会社に限らず、貸金業者のカードローンやキャッシング等が含まれます。
ニュース的に「消費者金融が伸びた/伸びない」と言うときの“定義”がずれると、印象もズレます。

もう一つのヒント:「延滞の人数」はむしろ減っている

物価高で心配になるのは「借りる人が増えた」よりも、「返せなくなる人が増えた」かもしれません。
CICの2025年11月度では、延滞などの異動情報人数は前年比98.0%(減少)と示されています。
もちろん、これだけで安心はできませんが、少なくとも「一気に延滞が爆増している」とは言いにくい。

じゃあ、長期的にはなぜ「借入が縮んだ」のか?(=みんな金持ち?)

ここが誤解されやすいポイントです。
長期で借入が減った背景には、「みんなが豊かになったから」以外に、制度の影響が大きいです。

上限金利の引下げと、グレーゾーン金利の撤廃(2010年6月18日以降)

日本貸金業協会の解説では、2010年6月18日以降、出資法の上限金利が29.2%→20%に引き下げられ、
いわゆるグレーゾーン金利が撤廃
されたと説明されています。
金利が下がるのは利用者にプラスですが、同時に、貸す側の採算や審査にも影響し、
“貸せる相手”が絞られていく面があります。

総量規制(年収の3分の1まで)

金融庁の説明では、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合、原則として新規借入ができない(総量規制)とされています。
結果として、「借りたくても借りられない」「借入を増やしにくい」方向に働きます。

実際に、残高は大きく落ち込んでいる

日本貸金業協会の調査結果要約では、消費者向貸付残高は
2009年3月の157,281億円から2022年3月の71,720億円へ(54.4%減)と整理されています。
2009~2012年に大きく落ち込み、その後は緩やかな推移を挟みつつ、2016年3月頃から増加傾向に転じた、という説明です。

つまり、長期の縮小は「制度改正と与信の引締め」が強く効いている。
“みんな金持ちで借りなくなった”と断言するのは、ちょっと早い、というのが現実的な見方です。

物価高の時代に、家計はどう動けばいい?(借入が必要になる前に)

ここからは、統計の話を“自分ごと”に落とします。
物価高でつらいのは、「毎月の固定費が静かに増える」のに、給料は一気に増えにくいこと。

僕が50代の家計目線で、まず順番をつけるならこうです。

1)「固定費の穴」を先に塞ぐ(通信・保険・サブスク)

1,000円のムダが10個あると、月1万円。年12万円。
投資の利回りより、まずここが効きます。

2)食費は“戦い方”を変える(単価×頻度)

「安い店に行く」だけだと疲れます。
買い物頻度を減らす、献立を固定する、まとめ買いする。
“戦術”を変えるほうが続きます。

3)緊急資金を“見える化”する(生活費1~3か月)

借入が増える局面ほど、現金(すぐ使えるお金)の価値が上がります。
貯蓄がゼロだと、ちょっとした出費が即・借入につながりやすい。

4)もし借りるなら「短期・目的・返済日」を決める

借入自体を悪と決めつけるより、
“いつまでに・何のために・どう返すか”を先に決める。
ここが曖昧だと、複数件化しやすい(今回の統計の流れとも合います)。

まとめ:物価高で借入は増えた。でも「勝ち組ばかり」でも「破綻ばかり」でもない

  • CIC統計では、2025年11月度に残高有人数・残高有件数・登録残高が前年より増加

  • 内訳を見ると、1件は横ばい~微減、複数件が増える傾向が見える

  • 長期の縮小は、上限金利引下げ・グレーゾーン撤廃・総量規制など制度要因が大きい

  • だからこそ、家計は「借りる前の固定費・頻度・緊急資金」の整備が効く

物価高は、投資だけでなく生活面の“守り”が問われる局面です。
借入の増減を「みんな金持ちになった」「みんな苦しい」みたいに単純化せず、
数字を見ながら、やれることを一つずつやっていきましょう。

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