株価が高い。「これから買っていいのか」「バブルじゃないか」という声が、昔よりずっと増えてきました。私(50代会社員)も、2021年に“日経3万円超え・米国株史上最高値更新”という局面に、“今買うのは遅いかもしれない”と迷った経験があります。
あれから数年が過ぎ、景色は少し変わっています。この記事では、2025年9月現在の最新相場を意識しつつ、私が考える「今だからこそ株を検討する理由」とそのリスク、50代としての立ち回り方を整理します。
1. 日米の相場を支える最新ファクター
まず、なぜ今でも株価が高いのか、あるいは上がり続けているのか、その背景を整理します。
ファクター | 内容と影響 |
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米国の利下げ期待 | Fed(米連邦準備制度)は長らくインフレ抑制のため高金利を維持してきましたが、最近になって「経済成長の鈍化」「雇用データの緩み」などを受けて、利下げの可能性を市場が織り込んでいます。実際、2025年9月には25ベーシスポイント利下げが行われ、4.00〜4.25%というレンジに調整されました。 |
日本のインフレ上昇 & 日銀のスタンス変化 | 日本でもコアインフレ(生鮮食品を除く CPI)が年率で2.7%前後にあり、目標の2%を上回っています。 また、日銀は長年の大きな金融緩和・ゼロ金利政策から段階的に政策を正常化する動きを見せており、金利目標を0.5%に据えるなどの変化があります。 |
企業収益・賃金の動き | 日本では、輸出企業が円安の恩恵を受けつつ、海外経済の減速に一部影響を受けていますが、賃金上昇も観察されており、売上・利益の改善期待が株価に反映されてきています。 |
海外投資家の動き・資金フロー | 日本株が割安感や出遅れ感を指摘される局面では、海外からの注目が戻りつつあります。「外国人投資家の買い」がニュースになる場面も増えてきました。 |
為替の動き・円安 | 円安は輸出重視の企業には追い風。日本株全体の収益見通しにもプラスに働く場合があります。ただし、「輸入コスト」「生活物価上昇」「輸入依存の企業」の収益には逆風となることもあります。 |
2. バブルの兆候はどこまで強いか?評価指標から見る割高感
ここで、「本当にバブルかどうか」をある程度評価できる指標を見ます。過去との比較や市場評価のバランスを見るのに役立ちます。
指標 | 2025年の状況 | 過去との比較・注目点 |
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日本の P/E(価格収益率) | 日経225のトレーリング P/E は約 16.6〜17 程度、フォワード P/E(予想収益に基づく)は約 14〜15 倍あたり。 | 過去 5〜10 年の平均と比べると「やや高め」ではあるが、極端に跳ね上がって異常な水準というほどではないとも言える。 |
日本のインフレ率 | 核心インフレ率が 2%を上回って持続する水準であり、物価上昇の“見慣れない”速さではないが、長く続けば金利・コスト構造・賃金とのバランスで企業にも家計にも響く。 | |
日銀の政策の変化・緩和の縮小 | 日銀が ETF 買入れなどの緩和策を段階的に縮小する、あるいは政策金利を引き上げる方向性を示す動きが出てきており、それが“緩和マネーがいつ引き上げられるか”という不安材料にもなっている。 | |
米国の割高感指標 | 米国株の P/E 含めた評価は日本よりも高く、「将来の成長期待」が多く織り込まれている銘柄が目立つ。成長株のバリュエーションが重くなっており、少しのネガティブ要因で大きく調整される可能性もある。 |
総じて言うと、「バブル」とまでは言い切れないが、「割高感」「過度な期待」がするエリアは確かに存在する、というのが現状評価です。
3. 主なリスク要因:注意しておきたいポイント
どれだけ背景が良くても、見逃せないリスクがあります。50代という立場から言えば、これらを見極めていないと“痛い目”を見ます。
リスク | 内容 |
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金利上昇の予想外の速さ | 米国・日本ともにインフレが想定より落ちない場合、利上げが改めて行われる可能性があります。市場は現在、どちらかというと緩和方向の期待を持っていますが、それが裏切られると調整が入りやすいです。 |
金融政策の正規化(緩和縮小) | 日銀は既に緩和策の一部縮小を示しており、ETF の買い入れ縮小、金利引き上げの方向など、いわゆる“出口戦略”が意識され始めています。これが株式市場に“引力の低下”として作用する可能性があります。 |
為替の急変動・円安の副作用 | 円安は一部輸出企業には恩恵ですが、輸入物価の上昇・生活コストの増加を通じて、家計や内需企業にマイナスとなります。また、為替変動が企業収益を不安定にする要因となることも。 |
世界経済の減速・サプライチェーン混乱 | アメリカ・中国・欧州など主要国の景気が鈍化するリスク、新興国問題、貿易摩擦など。特に、中国経済の不透明感は世界の供給網に影響を与えやすい。 |
投資家心理の逆転 | “皆が強気”状態は、ちょっとしたネガティブニュース(政策の失望、決算ショック、地政学リスクなど)で急速に雰囲気が変わることがあります。過去のバブル崩壊局面でも、「何かのきっかけ」が触媒になって暴落が始まる例が多いです。 |
4. 50代としての投資戦略:慎重に・しかし機会を逃さず
私が自分自身に言い聞かせていること、またこれまで経験から学んだ教訓をもとに、「50代サラリーマン」として株高の今、どう動くかの戦略を提案します。
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積立投資を基本に据える
タイミングを狙って一度に大きく買おうとすると、買いどきを外すことが多いです。私はこれまで「高くても定期的に買う」ことで、過去に“買わなかった後悔”を減らしてきました。 -
分散を効かせる
‐ 国内株だけでなく海外株(米国・アジアなど)にも比率を持つ。
‐ セクターの分散(成長株 vs 安定株 vs 高配当株等)を意識する。
‐ 株式以外資産(債券・キャッシュなど)のポートフォリオも持っておく。 -
余裕資金で投資する
生活防衛資金(急な出費や収入変動に備えた予備資金)をまず確保。そのうえで、「余裕資金」の範囲で株式などリスク資産に振る。 -
評価指標を自分でチェック
P/E や P/B、配当利回り、自己資本利益率(ROE)などを使って「この株・この市場は割高かどうか」を判断する。例えば日本株全体での P/E は今、「過去平均よりやや高い」水準。だから「割高ではあるけど異常というほどでもない」、という線をどう自分で受け止めるか。 -
政策リスク・為替リスクを注視する
日銀や FRB の次の動き、為替の突発的変動、貿易政策・税制・企業物価の動きなどをニュースで追う。特に「金融緩和の縮小」「金利正常化のプロセス」が市場のターニングポイントになることが多い。 -
定期的なリバランス
上がっている資産ばかりがポートフォリオの重みを占めるようになったら、一部を売って安定株や現金・債券にスイッチする。逆もまたあり。バランスを定期的に見直す。
5. 結論:今買うかどうかの判断基準
「株価が高いから買うな」「暴落が来るから手を出すな」という判断だけでは、50代にはリスクが大きいと思います。なぜなら時間の余裕がそれほど長くないからです。良いと思える局面で参加するかどうかを見極めたい。
私自身の判断基準としては、以下の条件が揃っていれば「買ってよい」と思っています:
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株を買う資金があくまで「余裕資金」であること
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P/E 等の評価指標が「過去平均+α」水準であっても、割高過ぎないと自分で納得できること
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ポートフォリオの中でリスク資産の比率が適切であること(過度に株式依存になっていない)
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政策・為替・インフレ等のマクロ要因に大きなネガティブ・ショックがないと考えられること
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長期的に保有できる銘柄・インデックスを中心とし、短期の利ざやを狙うギャンブル的な銘柄に大きく賭けないこと
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