投資

準富裕層から富裕層へ、本当に必要なのはいくらか?

「あと少しで富裕層だね」──そんな言葉を耳にすると、正直少し複雑な気持ちになります。
総資産は7,000万円台。野村総研の定義では、5,000万〜1億円が“準富裕層”。
いわば富裕層の“手前の山腹”です。
ただ、ここから先の1億円という壁が、思いのほか高い。
努力で積み上げた資産も、生活コストやインフレで削られていく。
本当に1億円あれば安心なのか──そして、それを目指す価値はあるのか。
50代の今、私はその問いを現実的に考え始めています。

■ 野村総研の定義から見える「階層の境界」

野村総合研究所の調査では、以下のように階層が分類されています。

  • 富裕層:純金融資産1億円以上

  • 準富裕層:5,000万〜1億円未満

  • アッパーマス層:3,000万〜5,000万円

数字上では“わずか”な差に見えますが、実際の生活感は大きく違います。
富裕層は「資産を運用して増やす人」、準富裕層は「資産を守りながら働く人」。
つまり、お金が働いてくれるか、自分が働き続けるかの差なのです。
7,000万円台の私は、まだ“自分で稼ぐ必要がある層”にいます。

■ 「1億円の壁」は金額よりも“心理の壁”

富裕層を目指す上で、もっとも難しいのはお金の増え方が変わる瞬間です。
5,000万円を7,000万円にするのは、節約と投資で可能です。
しかし7,000万円を1億円にするには、資産を“動かして”増やす発想が必要になる。
つまり、投資効率と精神の安定をどう両立させるかがカギです。

私は株式インデックスを中心に長期・分散・低コストを貫いていますが、1億円を目指すときには「もう少しリスクを取るか?」という誘惑が出てくる。
レバレッジや信用取引、高配当株への集中などです。
ただ、50代の私はあえて“攻めない”道を選びました。
それは、「1億円の安心」より「7,000万円の安定」を優先するという決断でもあります。

■ 富裕層になっても「不安」は消えない

SNSやメディアでは、富裕層=自由・安心というイメージがあります。
しかし実際は、資産が増えるほどリスク管理が複雑になります。
税金、インフレ、相続、運用先の分散。
1億円を超えた人の多くが「お金の不安」から解放されるわけではありません。

むしろ、「減らしたくない」「維持したい」というプレッシャーが強くなる。
私はこの感情を“心理的な重力”と呼んでいます。
お金を増やすことより、それを守るためのエネルギーの方が大きい。
つまり、「1億円の壁」を越えても、次の壁が現れるのです。

■ 準富裕層が目指すべきは「使えるお金」と「使わない勇気」

私が7,000万円に到達して感じたのは、“お金をどう使うか”が資産の質を決めるということ。
高級車を買わずとも、家族旅行に使う。
投資セミナーよりも、健康や学びに使う。
それが長期的なリターンにつながることを実感しています。

また、準富裕層に共通する特徴として「守りの意識」が強い。
ただ、守るだけでは“心の豊かさ”が減ってしまう。
使うときは思い切って使う。
それを「浪費」ではなく「選択」として受け入れる。
これが、資産を“活かす”第一歩だと感じています。

■ 「稼ぐ力」より「減らさない設計力」

50代になると、収入を増やすより支出を減らす方が現実的です。
だからこそ、富裕層への道は“増やす”より“減らさない設計”にかかっています。
私は家計を3層に分けて管理しています。

  1. 生活防衛資金(1,000万円)

  2. 投資運用資金(4,000万円)

  3. 長期備え資金(2,000万円)

この「3層構造」にすると、相場が荒れても心が安定します。
7,000万円のうち一部を現金で持ち続けるのは、「恐怖心」ではなく「戦略」。
富裕層への道のりは、リスクを取らない勇気から始まるとすら思います。

■ 富裕層になるために「もう1段上げる工夫」

もし1億円を本気で目指すなら、年収や投資リターンを上げる工夫が必要です。
ただし、これは“大きく稼ぐ”というより、“小さな流れを複数つくる”こと。
私の場合、配当金、ポイ活など、小さな収入源を増やしています。

1億円というゴールは遠く感じますが、“仕組みで働くお金”を増やせば道は見えてくる。
それは特別な才能ではなく、習慣と継続の結果です。

■ 「数字」より「納得」を目指す生き方へ

富裕層になったからといって、人生が劇的に変わるわけではありません。
本当に変わるのは、数字ではなく考え方です。
「もう十分」と思えるか、「まだ足りない」と思うか。
この“心のリターン”こそが、老後の安心を左右します。

私は、1億円を目指しつつも「いまの生活に納得しているか」を常に確認しています。
富裕層になるよりも、“安心して暮らせる準富裕層”でいる方が幸せかもしれません。
資産の額ではなく、心の余裕。
それが、本当の富裕なのだと思います。

■ まとめ:富裕層とは「自分で決められる人」

富裕層と準富裕層の違いは、資産額だけでなく“選択の自由度”です。
働くか、休むか、使うか、守るか──。
自分で決められる人が、真の意味での富裕層。
数字はその結果でしかありません。

1億円を追い求めるより、「自分にとっての満足ライン」を見つけること。
その瞬間、すでに“心の富裕層”になっているのだと思います。

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