「終身雇用」はもはや幻想なのか──。
かつて日本企業の強みとされたこの雇用慣行が、今や根本から揺らいでいます。特に2025年現在、その崩壊は現実味を帯び、多くの働く人々にとって無視できない問題となっています。
この記事では、トヨタの豊田章男会長の発言をきっかけに、終身雇用の現実、企業と政府の役割、そしてサラリーマンがこれからの時代をどう生き抜くべきかを考えていきます。
トヨタ会長の発言に波紋:終身雇用はもう維持できない?
日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車会長)が、「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言したことは、大きな話題となりました。
この発言の本質は、企業が終身雇用を守るには政府の支援や制度的なインセンティブが必要だという問題提起にあります。
「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい」
政府は企業に対し、雇用の維持、賃金アップ、定年延長などを求めています。しかし、企業側から見れば、これは相当な負担です。なぜなら、企業の本来の目的は「利潤の追求」であり、社会保障や雇用の安定は本来、政府が担うべき責任だからです。
政府が労働組合化している?福祉を企業に押しつける構造
近年、政府はあたかも「労働組合」のような存在になってきています。企業に対して正社員化の推進、賃上げ要請、解雇制限、定年延長などを要求する一方で、自らが雇用の受け皿になる動きは少ないのが実情です。
これは、少子高齢化による社会保障費の増大、財政赤字の拡大という背景があります。つまり、政府は財源が厳しくなっている分、その負担を企業に転嫁しようとしているわけです。
しかし、企業側にも限界があります。労働法制に守られた雇用制度のもとでは、人員削減も容易ではありません。だからこそ、「終身雇用を守るには制度的な支援が必要」という豊田会長の発言は、ある種の“悲鳴”にも聞こえるのです。
リストラの現実:45歳以上が狙われる
多くの大企業が45歳以上を対象に早期退職を募っています。ちょうど子供が高校や大学に通っているタイミングで家計負担が大きい世代です。
企業から見れば、この年代は「人件費が高く、生産性が低く、伸びしろも少ない」と見なされがちです。
ここに終身雇用の幻想と現実のギャップが存在します。安定していたはずのキャリアが、ある日突然リストラの対象になる。それが現実です。
終身雇用神話の崩壊は社会構造そのものを揺るがす
サラリーマンの最大のメリットは「安定収入」です。しかし、その前提が崩れると、住宅ローン、教育資金、老後資金といった人生設計の全体が揺らぎます。
これにより何が起こるかというと、以下のような現象が進行します:
- 住宅ローンの組みにくさ(35年ローンが非現実的に)
- 起業ではなくパート・派遣に流れる高齢者の増加
- 中間層の没落と格差拡大
こうして、富裕層は投資家や経営者に、一般層は不安定雇用に分化する「二極化社会」が形成されていく恐れがあります。
起業=自由?ではない。成功確率は低い
「ならば起業して自立すればいい」と考える人もいますが、現実はそう甘くありません。起業して10年続く会社は1割にも満たないと言われています。
多くの人にとって、起業は経済的なギャンブルに近く、失敗すれば一気に資産を失うリスクがあります。
社会全体が終身雇用を前提に設計されてきた
現在の日本の制度は、年金・退職金・住宅ローン・保険など、ほとんどが「終身雇用」ベースで設計されています。
それゆえに、人の流動性が低くなり、転職しづらい雰囲気が残っています。結果として、成長産業への人材移動も進まず、経済の新陳代謝が滞っているのです。
本来ならば、
- 明確な解雇ルールの整備(=金銭補償での解雇)
- 再就職支援や職業訓練の制度強化
- 雇用の流動性を高める社会設計
が必要とされているのです。
サラリーマンに求められるのは「危機意識」と「自己防衛」
これからの時代、サラリーマンにとってもっとも重要なのは、
「自分の雇用は永遠ではない」という現実を直視すること。
そして、
- スキルアップ(資格、語学、ITなど)
- 複業・副業による収入の多角化
- 資産形成と投資による自立力の強化
が必要不可欠です。
終身雇用という「制度」に守られる時代から、自分の「選択」と「行動」で人生を切り開く時代に変わっているのです。
最後に
雇用制度や社会保障は、確かにすぐには変えられません。そして、制度変更には副作用もあります。しかし確実に言えるのは、「終身雇用に依存する人生設計は危険である」ということです。
サラリーマンだから安泰。会社が守ってくれる。そんな時代は終わりつつあります。
だからこそ、早いうちにライフプランを見直し、
- 「自分は何に依存しているのか?」
- 「5年後、10年後も生き残れる強みはあるか?」
を自問しておくことが、これからの時代を生き抜く最大の武器になるでしょう。
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