はじめに
「資産7,000万円」という数字を聞いたとき、あなたはどう感じますか?
多くの50代サラリーマンにとっては“十分すぎる額”に見えるかもしれません。
しかし、FIRE(経済的自立と早期リタイア)を志す人にとっては、まだ「安心とは言い切れない金額」でもあります。
この記事では、資産7,000万円を持つ50代サラリーマンが直面する現実を整理し、「FIREは無理でも逃げ切れるのか?」をシミュレーションしていきます。
資産7,000万円の立ち位置
準富裕層の中核ライン
野村総研の定義によると、純金融資産が5,000万円以上1億円未満の世帯は「準富裕層」に分類されます。
資産7,000万円はこのゾーンの中心に位置しており、世帯全体で見ても上位15%程度の水準です。
生活水準と心理的な余裕
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預貯金と投資を合わせて7,000万円あれば、突発的な医療費やリフォーム費用なども吸収可能。
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ただし「一生働かなくても良い」と言えるラインは、やはり1億円以上。
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精神的には安心できても、生活設計を誤ると老後破綻のリスクは残ります。
FIREには届かない理由
4%ルールで試算
FIREの目安として有名な「4%ルール」を当てはめると、
7,000万円 × 4% = 年間280万円の生活費
となります。
一方、総務省の家計調査によると、2人以上の高齢無職世帯の平均支出は月25万円前後(年間300万円)。
つまり、資産7,000万円では「平均的な支出を賄えるかどうかギリギリ」です。
インフレの影響
2020年代以降、日本も物価上昇の影響を強く受けています。
5%前後のインフレが数年間続けば、生活費は想定以上に膨らみ、280万円では不足する可能性大。
👉 つまり「完全FIRE(早期退職して一切働かない)」には心許ない水準です。
逃げ切れる可能性を探る
逃げ切りとは?
ここで言う「逃げ切り」とは、完全FIREではなく、
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多少の収入源(年金、副業、配当)を維持しつつ
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資産を取り崩しながら、老後破綻せずに乗り切ること
を指します。
年金を加味したシナリオ
仮に65歳から夫婦2人で年金月20万円を受給できるとします。
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年金収入:年間240万円
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資産運用の取り崩し:年間100〜150万円
合計で年間350〜390万円ほど確保できます。
👉 平均的な生活水準を維持するなら十分可能。
資産寿命も30年以上は確保でき、「逃げ切り」の現実味が高まります。
資産寿命シミュレーション
「実際にどれくらい資産が持つのか」をシミュレーションしてみましょう。
前提条件
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65歳から年金:年間240万円
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支出:年間360万円(夫婦2人生活)
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運用利回り:年3%
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初期資産:7,000万円
シナリオ
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年150万円を取り崩す場合
→ 年金240万+取り崩し150万=390万円。支出を上回り、資産は徐々に増える。
→ 90歳時点でも資産5,000万円以上を維持可能。 -
年200万円を取り崩す場合
→ 年金240万+200万=440万円。やや余裕あり。
→ 90歳時点で資産3,000〜3,500万円程度残る。 -
インフレで支出が年間400万円に上昇
→ 年金240万+取り崩し160万=400万円。収支はギリギリ均衡。
→ 運用次第では資産残高は横ばい〜減少。
👉 ポイントは「インフレを織り込むと取り崩し余力が減る」ことです。
リスクと注意点
1. 運用リスク
資産7,000万円の多くを株式で運用している場合、暴落で1〜2割は簡単に減ります。
「逃げ切り戦略」では、株式比率を下げて債券やキャッシュを組み合わせ、リスクを分散することが重要です。
2. 医療・介護費
老後に不確定要素として最も大きいのが医療・介護費用。
夫婦で数百万円単位の出費になるケースもあり、予備資金の確保は必須です。
3. 支出管理
老後は「収入を増やすより支出を減らす」ほうが実行可能性が高いです。
持ち家の維持費、車の買い替え、子どもの援助などを見直すことが逃げ切りのカギになります。
現実的な戦略
1. 部分FIRE(サイドFIRE)
完全リタイアではなく、
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週3日勤務
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在宅副業(月5万円程度)
といった働き方を組み合わせると、資産寿命は大幅に延びます。
2. 投資方針のシフト
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若い頃:株式中心でリターンを狙う
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50代以降:インデックス+債券+現金で守りを重視
👉 「攻めから守り」への切り替えが、逃げ切りには欠かせません。
3. 家計の“見える化”
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固定費を年単位でチェック
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食費や光熱費はインフレに応じて見直し
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老後に必要な支出と「贅沢費」を切り分け
これにより「どこまでお金を使っても安心か」が明確になります。
まとめ
資産7,000万円は「FIREには足りないが、逃げ切りは十分に可能な水準」です。
ポイントは以下の3つ。
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年金・配当・副収入を組み合わせる
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株式一辺倒からリスク分散へシフトする
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支出をコントロールして生活水準を調整する
完全リタイアは難しくても、“働き方の自由度”を得ながら老後不安を和らげることは十分可能です。
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