インフレ、増税、社会保険料の増加など、2025年現在の家計環境は厳しさを増しています。こうした時代背景のなかで、「株式投資をすれば人生が変わる」「老後は投資でなんとかなる」といった楽観論も見かけます。
しかし本当に、株式投資で人生は変えられるのでしょうか?
この記事では、投資の現実と、より有効な自己投資のあり方について解説します。
株式投資のリターンは現実的にどの程度か?
多くの人が資産形成の手段として株式投資を選んでいます。2024年から始まった新NISAも追い風となり、個人投資家は増加傾向です。
ただし、株式投資の平均リターンは、長期で年利5〜6%程度と言われています。仮に100万円を1年間運用しても、得られる利益は5万〜6万円ほど。
本業で数時間の残業をすれば得られる金額です。もちろん、長期運用や複利効果を活用すれば資産形成は可能ですが、それは10年〜20年単位でコツコツ積み上げる世界です。
つまり、株式投資は「人生を一変させる手段」ではなく、「堅実に将来へ備えるための手段」に過ぎません。
自己投資はリターンの大きな資産形成
それに比べて、自己投資は即効性が高く、収入アップに直結する可能性があります。
たとえば、以下のような自己投資は、年収を押し上げる効果が期待できます。
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資格取得(中小企業診断士、FP、簿記など)
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スキル習得(プログラミング、データ分析、英語など)
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学位の取得や通信制大学での学び直し
これらは、将来的な転職や昇給のチャンスを広げてくれる投資です。
実際に筆者自身も、40代後半で放送大学を卒業し、自己投資がキャリアや収入の選択肢を広げてくれた実感があります。
自己投資にも「戦略」が必要。失敗しないために
ただし、自己投資も万能ではありません。資格取得などは**「合格して初めて意味がある」**からです。難関資格に挑戦しても、結果が出なければ時間もお金も無駄になります。
「努力は無駄にならない」と言われますが、社会は結果を評価します。
重要なのは、以下のようなポイントを押さえて計画的に自己投資を行うことです。
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自分の現在地を客観的に把握する
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過去の学習経験や適性を踏まえた挑戦を選ぶ
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資格やスキルに「再現性のある市場価値」があるかを検証する
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数値目標を明確にする(例:TOEIC◯点、簿記2級取得など)
「経験=自己投資」は危険な幻想
近年、「海外旅行」「高級レストラン」「アート鑑賞」などの体験型支出を「自己投資」と表現する人も増えています。しかし、こうした出費は自己満足に過ぎず、リターンが不明確な浪費になりがちです。
もちろん、趣味や娯楽にお金を使うこと自体は悪ではありません。しかし、それを「自己投資」とラベリングしてしまうと、無自覚に出費が増えてしまいます。
「自己投資」と「娯楽・趣味の支出」は切り分けることが、資産形成の観点では重要です。
「ご褒美消費」は年に1回で十分
2020年代以降、「自分へのご褒美」という消費スタイルが当たり前になりました。仕事を頑張ったからスイーツ、高い化粧品、ブランド品…。たしかに心の潤いは必要ですが、習慣化するとただの浪費です。
1回500円のスイーツも、週2回なら年間で5万円超えます。
ご褒美は「年1回の自分への表彰式」と位置づけ、日常のご褒美はコストをかけず楽しむ方法を考えましょう。
「お金を使う理由」を見直すことが投資力を高める
株式投資も、自己投資も、「投資」というからにはリターンがあるべきです。
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株式投資 → 配当、含み益
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自己投資 → 収入増、転職成功、スキルアップ
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趣味・娯楽 → リターンは不要。心の満足を得る「消費」
このように、「投資」と「消費」の線引きを明確にすることが、家計管理や資産形成における第一歩になります。
まとめ:投資とは未来の自分を支える「戦略的な支出」
2025年の今、物価高と税負担が家計を圧迫し、多くの人が「投資で人生を変えたい」と思っているかもしれません。
しかし、株式投資は急激に人生を変えるものではなく、あくまで10〜20年スパンの備えです。
人生を変えたいなら、まずは自己投資です。そして、自己投資も戦略と検証が必要です。
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資格やスキルは数値目標をもって挑戦する
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「経験=投資」という幻想に惑わされない
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「ご褒美消費」の習慣化は浪費の原因になる
自己投資とは、未来の自分の可能性を広げるための「戦略的な支出」。そのことを忘れずに、日々の行動を積み重ねていきましょう。
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