はじめに:底辺サラリーマンでもここまで来た
私は現在、50代の普通のサラリーマンです。役職もなく、手取りは20万円台。出世も副業もせずにここまで来ました。
そんな私が、30代で貯金ゼロから投資と節約を始め、17年間コツコツと積み立ててきた結果、総資産は7,200万円に到達しました。
「えっ?それならFIREできるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
でも実際には、そんなに甘くありません。
子どもの教育費、親の介護費用、そして老後の住宅費。現実の生活には、投資の皮算用では測れない“支出の壁”がいくつも存在します。
この記事では、「FIREは無理でも、“なんとか逃げ切れそう”な状態にはなってきた」という視点から、総資産7,200万円の立ち位置と、50代サラリーマンとしての現実的な老後戦略をお話しします。
1. 平均と比べてどれくらいの位置?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2023年)」によれば、50代・二人以上世帯の金融資産保有額の中央値は650万円。平均でも約1,396万円です。
それに対して7,200万円は、中央値の11倍以上、平均の5倍超。これは明らかに全体の上位5%以内に入る水準です。
でも、私は特別なスキルも高給取りでもなく、いわゆる“普通以下”のサラリーマン。
それでも17年かけて積み上げてきた結果、ようやく「少し安心できるかもしれない」と思えるところまで来たという実感です。
2. FIREと比較して見えてくる“現実路線”
ここ数年、FIRE(早期リタイア)という言葉をよく見かけます。
その中でよく言われるのが「生活費の25倍を貯めれば、リタイアできる」という4%ルールに基づいた考え方です。
タイプ | 必要資産 | コメント |
---|---|---|
セミFIRE | 3,000〜5,000万円 | 副業・パート収入と併用 |
準FIRE | 6,000〜8,000万円 | 投資+年金で逃げ切りを狙う |
フルFIRE | 1億円以上 | 資産収入だけで生活可能 |
私のような家族持ち、親の介護、教育費持ちには、1億円なんて夢のまた夢。
でも、「投資+年金でなんとか逃げ切る」ことは、射程圏に入ってきたと感じています。
3. 教育費・介護費が資産を圧迫するリアル
総資産が7,200万円あっても、すべてが自由に使えるわけではありません。
むしろ、これから数年間は支出のピークが続きます。
◆ 教育費
-
高校・大学の学費や塾代:年間100万円前後
-
子ども2人ならトータルで1,500万〜2,000万円規模になる可能性も
◆ 介護費
-
母が介護施設に入居中で、毎月10万円以上の費用が発生
-
今後数年続けば、こちらも数百万〜1,000万円単位の支出に
◆ 住宅費
-
賃貸暮らしのため、老後もずっと家賃がかかる
(例:月10万円×30年=3,600万円)
4. 老後資金はどのくらい持つ?──4%ルールの考え方と落とし穴
「資産を年4%で運用しながら、毎年同額を取り崩せば30年間は資金がもつ」
というのが「4%ルール」です。
たとえば:
-
7,200万円 × 4% = 年288万円(=月24万円)
これが維持できれば、年金と合わせて老後も安心――と言いたいところですが、日本人の年金額は思ったより少ないのが現実です。
👉 FIREを目指すなら知っておきたい!4%ルールとは?初心者向けにわかりやすく解説
5. 年金の平均額と取り崩しのバランス
厚生労働省のデータによると、老齢年金(厚生年金+国民年金)の平均支給額は月14.6万円程度。手取りにすると約13万円程度が一般的です。
🔸夫婦合わせても月26〜28万円が目安
🔸生活費としてはやや心許ない水準
そのため、投資資産からの取り崩し(月15〜20万円)と組み合わせることが前提になります。
6. 「4%ルール」の前提条件に注意
この「4%ルール」は、米国のトリニティ大学の研究(トリニティ・スタディ)に基づいていますが、以下のような前提があります:
項目 | 内容 |
---|---|
元データ | 米国市場(1926年〜)の長期データ |
資産配分 | 株式60%・債券40% |
想定リターン | 年7%(インフレ後で約4〜5%) |
期間 | 取り崩し期間30年間 |
成功確率 | 約95%以上(資産が尽きない確率) |
◆ 日本の環境では?
-
日本株の長期リターンは米国ほど高くない
-
為替や税制、インフレの影響も受けやすい
-
初期の暴落(シーケンスリスク)で破綻リスクが高まる
7. 現実的には「3%ルール」が安心
運用リターンが楽観的になりすぎないように、3%ルールで生活設計するのが無難です。
-
7,200万円 × 3% = 年216万円(=月18万円)
-
年金と合わせて合計月30万円台の生活
これなら資産寿命が延び、将来的に介護や医療などの支出増にも備えやすくなります。
8. 「守りの戦略」で逃げ切りを狙う
項目 | 内容 |
---|---|
投資配分 | インデックス中心+現金・債券を5〜10% |
現金確保 | 教育・介護費用に300〜500万円を別枠で |
働き方 | 定年後も緩やかな再雇用・副業でリスク分散 |
節税 | NISA・iDeCoなどをフル活用 |
まとめ:FIREできなくても、“安心感”はつくれる
派手なFIREや億り人には到底届かないけれど――
地味でも、時間をかけて資産を築いてきたことで、50代の今、「逃げ切れるかもしれない」と感じられる安心感があります。
底辺サラリーマンでも、節約と投資をコツコツ続ければ、再現性のある資産形成は可能です。
現実は厳しいけれど、まだ間に合う。
だからこそ、自分に合ったペースで、焦らず準備していきましょう。
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